混浴の岩風呂で嫁たちに何があったのか?
2018/09/26
去年の夏、仲の良い夫婦4組で温泉に行ったんだ。俺を含む男4人は学生時代からの仲閒で、どいつも30代後半。4組とも子供がいないこともあって、結婚後も家族ぐるみで付き合ってる。
行き先は有名な温泉地でもないし、泊まったのは古くて小さな宿。たまたま改修直前だったせいか、俺たち以外の客は2~3組だけだった。
軽く風呂に入り、安っぽい夕飯を済ませたら、男4人は部屋で麻雀。女4人はビールを飲みながら楽しそうにお喋りしてる。この4組でたまに旅行するんだが、だいたい夜はいつもこんな感じだ。
麻雀の前にロビーの自販機でビールを調達する。やっぱりこれがないとな。ついでにタバコを一服してたら、宿泊客らしき若い男3人組が通りかかった。
「岩風呂って、この奥?」
「たぶんそう。宿のおじさんがロビーの奥が入り口って言ってたし」
「この表示じゃない?うわっ、字が小っせえ!」
3人とも学生か、せいぜい高校に上がったばかりくらいだろう。そう言えば宿の前に自転車が並べてあったのを思い出した。夏休みに友達で連れ立ってサイクリングか。うーん、青春だなぁ。そんなオッサンを気にすることなく、3人はそのままロビーの奥へ向かった。
部屋に戻ると、嫁さんたち4人が手拭いを持って出掛けるところだった。風呂は夕飯前に入ったが、せっかくの温泉だからまた行ってくると言う。部屋は4組一緒で、夫婦ごとに寝床用の間仕切りがしてある。すぐ脇でジャラジャラやられたら、落ち着いてお喋りもできないんだろう。半荘を何回やったかな。ジャラジャラし始めて2時間は過ぎてたと思う。連続でラスを引いたりと流れが悪かったんで、俺の提案で一旦休憩。験直しにもう1回ビール買ってくるかと部屋を出たところで、さっきの男の子3人組とまたすれ違った。湯上がりほやほやの火照った顔だ。
「ここの岩風呂、最高だったよなー」
「あーもうダメ。俺、足腰立たねーしw」
へえ、今出たとこか。男のくせに、という言い方も何だが、えらい長風呂だな。熱燗で1杯やってたわけでもないだろうに。まあ、男でも風呂好きはいるしな。
「なあ、明日の朝、また行く?」
「あったり前だろー」
男の子たちの声を背中で聞きながら、ロビーの自販機で再びビール調達。ついでにタバコを一服してると奥から嫁さん4人が出て来た。
「なんだ、今まで入ってたんだ?」
「うん、岩風呂が気持ち良かったから長湯しちゃった♪」
うちの嫁、普段から風呂は長い方だが、4人だと拍車が掛かったらしい。どの奥さんも心から満足した様子。まあ、これも温泉の楽しみなんだろう。
一服を終えて部屋に戻ると、女4人は化粧水をつけ、早くも就寝モードだった。ここで再びジャラジャラやり始めるのは、さすがに気が引ける。負けが混んでた俺としては、もうちょっと頑張りたかったが、時間もかなり遅かったんで、とりあえずお開きにした。牌を片付け、寝る前にもう一風呂。今度は男4人で繰り出す。
「なあ、ロビーの奥に岩風呂があるらしいから行ってみようぜ」
俺の提案に友人3人は「いいねえ」と従った。岩風呂は奥まった場所。改装中のせいか、明かりは裸電球がいくつかあるだけだ。想像したよりこぢんまりしてて、狭い脱衣所が1ヶ所に、浴場が1ヶ所・・・。
(えっ?)
「ここって・・・混浴だよな?」
「んー?俺たち以外、客なんてほとんどいないんだし、関係ねーだろ」
「よーしっ、お前、どっかから巨乳の女子大生を調達してこいw」
馬鹿なことを言い合いながら友人たちはドヤドヤと風呂へ。俺も続いた。浴場の中もかなり小さく、大人5~6人も入れば満員になりそうだ。
「おいっ、ここタオル禁止だってさ」
湯船に浸かろうとした俺に友人が声を掛ける。見ると確かに浴室の壁に、『タオル・手拭い等は湯につけないでください。変色します』と書いてある。湯は透明っぽいが、何かの成分が含まれてるんだろう。まあ長い付き合いだし、恥ずかしがるような相手でもないけどな。洗い場もスノコが何台か置いてあるだけの貧相な造り。湯自体は悪くないけど、薄暗いし、2時間もいる場所じゃないよな。第一狭い。独りなら風情があっていいかもしれんが、4人じゃ・・・。
ここで思い出した。そういや、あの男の子3人組も岩風呂に行ってたんだよな。ここ以外に風呂がないってことは・・・まさか嫁たちと混浴してたのか?
部屋に戻ると女4人はもう就寝中。起こさないよう、嫁の隣の布団に潜り込む。
出る時にもう一度確認したが、他にそれらしい風呂はなかった。というか、ロビーから出入りできるのは岩風呂だけだったし。嫁たちも男の子たちも、岩風呂に行ったのは麻雀を始める少し前。どっちも出たのは中断する少し前だろう。ということは丸々2時間、あの狭い浴場に7人一緒にいたのか?タオルも手拭いもなしで?
嫁は34歳。そりゃ20代の頃と比べたら少し弛んできた気もするが、胸はかなり大きいし、まだまだソソる体の持ち主だと思う。他の嫁さん3人も嫁と同年代のはず。もちろん裸は見たことないけど、3人とも均整の取れたそれなりのプロポーションだ。
まあ男子中高生から見たら、30代半ばの女なんてオバさんもいいとこ。至近距離で全裸になられても案外平気なのか。俺の高校時代もそうだっけ?
いや、至近距離どころじゃない。あの狭い風呂だ。さすがに7人一緒に湯船に浸かるわけにはいかんだろうけど、普通に入浴しても、体の接触があって不思議じゃないよな・・・。
隣にいる妻は、俺の思いも知らず満足そうな寝息を立ててる。気になり始めると、浴場のすえた臭いも、スノコが妙にネトついたことまで変に思えてくる。悶々としながら、いつの間にか俺も眠りに落ちていた。
翌朝、女4人がガヤガヤと部屋に戻って来る物音で目が覚めた。もう9時を回ってる。麻雀疲れか、男4人はすっかり寝坊したらしい。
「まだ寝てたの?宿の朝ご飯の時間、終わっちゃうじゃない」
向こう側の布団では友人が奥さんに叩き起こされてた。
「お前ら早いな~、何時から起きてたんだよぉ・・・」
「7時起きよ。みんなで朝風呂行って来たんだから」
何というか、こういう時の女の行動力、俺はついて行けんわ。眠い目を擦り、朝飯を食べに行く。他の客はとうに済ませたようだ。
「朝風呂って大浴場?」
「岩風呂よ。気持ち良いから今朝も2時間入って来ちゃった♪」
友人夫婦の会話を聞きながら、昨夜の男の子たちの、「明日の朝、また行く?」「あったり前だろー」という言葉を思い出した。3人はもう出発したらしく、宿の前に並んでた自転車はなくなってた。引っ掛かりは取れないが、岩風呂で何かあったのか、今も聞けずにいる。