昔から好きだった彼女との初H

2018/02/06

「はい!…お返しとかぜんぜん気にしなくていいからねw」
高校2年のその日、Nからチョコレートをもらった。
夏に再会を果たし、その後連絡をとって何度か会うようになった。
Nとの関係が友達から恋人へと昇華した時の詳しい経緯は、
思い出すだけでも赤面してしまう。
ともかく、俺は幸せだった。
…でもやっぱり、その日が近づくと
どうしても不安になってきた。
かといってNには心配をかけたくなかったし、Yにしてしまったことへの
罪悪感もあって、俺の抱える“罪”や“不安”は、Nには黙っていた。
その年も杞憂に終わった。
“白い箱”は届かなかった。
チョコレートは、料理のあまり得意ではないNが苦心して作ったであろう、
ちょっといびつなトリュフだった。
かなり苦かったが、嬉しくて誰にもあげずに全部食べた。
ホワイトデーのお返しには、バイトで稼いだなけなしの金をはたいて
ペアリングを送った。
「うわー。無理すんなって…w」とか言いつつも、安物の指輪に涙を
流してくれたNを見て、もらい泣き寸前だった。
そして何事も無く高校3年生になった。
Nは大学受験を控え、部活を辞めた。
俺は、高校に入学したときに大学進学が決定していたので部活を続けることは
できたが、彼女が大好きな弓道を辞めたから、俺も辞めた。
それでも、バイトしたり何なりで、忙しいことには変わりなかった。
彼女は受験勉強の合間にちょくちょく電話をかけてきた。
ほとんどは学校での出来事・テレビ・デートの約束といったなんでもないような
話題だったが、時折暗いトーンで受験への不安を話したり、日々のストレスを
怒りという形で俺にぶつけることもあった。
受験をしない俺にはどうしていいかわからないというのもあったけど、とにかく
「うん、うん」と聞き役に回るよう努めた。
梅雨のある日、彼女は泣きながら電話をしてきた。
大雨の向こう、桜木町まで
来ているという。
「すぐに行くから、近くの店に入って待ってて」と言い、あわてて家を出た。
駅に着くと、Nは屋外にある大きな案内板の前に傘を差して立っていた。
俺「店で待ってろっていったのに…」
N「うん」
俺「…大丈夫?」
N「…うん」
俺「…とにかく、歩こう?」
彼女の手を引き、汽車道を歩いた。
この辺りには、デートで何回か来た事があった。
ワールドポーターズまで来てみたものの、とてもじゃないが映画を見る気分では
なかったので、とりあえずお店に入ることにした。
運ばれてきたハニートーストを見ても、彼女は手をつけようとしなかった。
本来なら、甘いものが大好きで、ケーキやパフェを見るとテンションが
1段階高くなる子だけに…その様子から重症であることが伺えた。
俺は慌てて薄着で出てきたため、店の空調は少し肌寒く感じた。
コーヒーを飲みながら、彼女が自分から話すまで待つことにした。
「ごめんね」
彼女がようやく口を開いた。
「高校受験に失敗した事、思い出しちゃったw」
努めて明るく振舞おうとする姿が痛々しい。
「なんか毎日勉強ばっかりしてたら、気が滅入っちゃってさ。
イヤなことばっかり考えちゃう。
でも、元気でたよ。
ありがと」
結局、ハニートーストを半分残したまま店を出た。
ワールドポーターズを、手をつないで歩く。
彼女はまだいつもの元気を取り戻していなかった。
そんな様子を見て俺は、一抹の不安を感じていた。
「…あのさ、前からあれに乗ってみたかったんだけど、いい?」…嘘だ。
俺は高いところが大嫌いだ。
観覧車なんて、絶叫マシーンだ。
でも彼女のためなら…。
俺「ごめん…やっぱり怖い…」…ダメだった。
まだ1/4くらいのところで。
N「はぁ?高い所ダメなの?w」
彼女が席を立った。
ストップ。
揺らさないでくれ。
頼む。
向かいに座っていた彼女は、隣に座って腕にしがみついてきた。
普通の男なら腕に当たる柔らかい感触にドギマギするとこなのだろうが、
俺はそれどころではなかった。
窓の外は雨。
イルミネーションがキラキラとしていた。
ようやく地面に足を着いたとき、俺はもうグッタリしていた。
桜木町駅へと向かう間もずっと、彼女は腕にしがみついていた。
どうやら少しだけ元気を取り戻したようだ。
体を張った甲斐があったというものだ。
俺「じゃあ、もう遅いし、帰ろうか?」
N「…イヤだ」
どこかで見たようなシチュエーション。
…そうか、Yと初めて繋がったあの日か。
…根岸線の下り電車で石川町まで行き、そそくさと建物の中に入った。
「…わかんないよ…」俺だってわからない。
とりあえず案内板を読んでボタンを押すと、鍵が出てきた。
エレベーターに乗って0503号室へ向かう。
「へぇ。結構広いじゃん…」彼女はなんだか楽しそうだ。
こっちは心臓がバクバクしてるというのに。
いざとなったら女のほうが
肝が据わっているそうだが、なるほど実感した。
とりあえず並んでベッドに腰掛けた。
俺「…いいの?」われながらアホな質問をしてしまった。
N「なにをいまさらw」
彼女は頬にキスをし、「シャワー浴びてくるね」と言ってバスルームへ向かった。
…と、すぐに「お風呂ためていい?」と、大きな声が聞こえてきた。
お風呂に湯を張っている間はずっと、キスしたり、有線をいじったり、
テレビをつけたり、ふたりして初めてのラブホテルを楽しんだ。
お風呂が溜まった。
俺が先に入ることになった。
歯を磨いて体を洗っていると突然「はいるよー」という声がした。
このときばかりは油断していたから、不意打ちをくらって慌ててしまった。

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