婚約してた彼女の浮気現場を垣間見て[後編]
2017/12/08
階段を上がった先は左右二つの部屋に分かれている。
一つはピアノの個人レッスン用、一つはリトミックといって、早い話が幼児の音楽教室用で、幼児は踊ったりするための広い部屋だ。
結衣が飾り付けをするのもそこだった。
リトミック用の部屋の扉は少し開いていたため、俺は階段の一番上から一段下がったところに座り、そこで部屋の中の音を聞こうとした。
男女の声がした。
結構テンションが高く、お酒が入っているのかな、と思わせるようだった。
最初は話の途中だったために、何を話しているのか判らなかったが、途中から話が変わって結婚の話になった。
扉は真ん中の部分がガラス張りになってるため、そこからそっと覗くと、両者とも扉に背を向けた形でL字形に座っていた。
一瞬だけ覗いて、すぐにまた階段に座った。
「あーあ、俺ももうすぐ結婚だわ」
一度しか会ったことがないので、確信は持てないがおそらく晃一の声だった。
「なんでー、嫌なの?結婚っていいと思うけどなあ」
これは間違いなく結衣。
「まぁ、いいっちゃあいいけどさあ」
「なんで?嫌な理由でもあるの?」
「えー、だって結衣と結婚できないじゃーん」
笑いながら晃一が言う。
(こいつは何を言っているんだ)と頭の中で“イラッ”という効果音が鳴るのがわかる。
「何言ってるのー。晃一は加奈ちゃん(晃一の彼女)を幸せにしなさい」
「加奈は幸せにするけど、結衣は俺のアイドルだからさ。ってかふられたし(笑)」
「まー、タイミングが悪かったよ。でも、私は和真のアイドルだから、もう手出しちゃダメだよ」
この結衣のセリフはすごく嬉しかった。
この時点で出ていってやろうとも思ったが、何を思ったかもう少し二人のやり取りを聞いていようと思い、階段に腰掛け続けた。
一瞬の沈黙が流れた後に、「ちょーっと・・・」という結衣の声がした。
慌てて扉のガラス部分から中を覗いてみると、晃一と思しき男が結衣の肩に手を回していた。
「いいじゃん」
晃一が言う。
「ホントにだーめ。晃一酔いすぎー。私も酔ってるけど、晃一よりはマシだな。ここまでで終わり!おさわりは厳禁です」
笑いながら結衣が言う。
断りながらも、断った後で空気が悪くならないように気を遣っているのだろう。
結衣らしい断り方だ。
「えー、じゃあキスだけしていい?」
「いや、ホント無理。加奈ちゃんいるでしょ。私も和真いるもん。だからダメでしょ。」
「俺も加奈いるし、結衣には和真くんいるよ。だからお互い結婚する前に最後」
と言うが早いか、後ろからだとはっきりは見えなかったが、晃一が結衣のあごを持って強引にキスをしたと思う。
「ちょっと、ほんとやめて。手伝ってくれるって言ったから連れて来たんだよ。こんなことしたらもうみんなで遊べないよ」
結衣が怒って、というよりも悲しそうに言った。
そんな結衣の悲壮感とは対照的に、晃一は笑いながら、「別にみんなで遊ぶときはそのとき。大丈夫でしょ」と言う。
さらに晃一が言い放った一言に、俺は脳を揺さぶられた気分だった。
「だって、前に俺らエッチしたじゃん」
その言葉を聞いたとき、本当に脳天からキリで穴を空けられたんじゃないかと思うくらい、全身に電流のようなものが走った。
あれをショックと言うのかもしれない。
付き合った後、成り行きでお互いの恋愛の話を聞いていたが、晃一と付き合ったなんて話は聞いたことがなかったし、付き合わないのにセックスするなんてありえない、と言っていたはずだ。
「あの時は別れたばっかで、何かおかしかったから。もう過去のことでしょ。お互い忘れよ」
結衣がこれまた悲しそうな声で話す。
「一回も二回も一緒だよ。あの後だって結衣、俺に好きって言ってくれたじゃん」
「あの時はね。若かったんだよ。今は和真が好きだから・・・。あのとき私が『中途半端なことしてごめん』って言った時、『俺らこれからも友だちだよな』って言ってくれてすごくホッとしたんだから」
気のせいか、結衣の声が涙混じりになってきた気がする。
「あー、ごめん。そうだね」と晃一。
晃一がこれで怯んだと思った俺は、少し落ち着いた。
そして、この場は見なかったことにして、一度外に出て音を立てながら入って行ってほうが、とりあえず平和なんじゃないかという事を考え始めていた。
でも、性欲に支配された男はそんなものではめげなかった。
「ごめん。でも、結衣の涙見てたらホント抱きたくなった」
そう言いながら、また結衣に覆いかぶさりキスをした。
そのまま今度はそのまま胸を掴み弄り始めた。
「イヤ、イヤ・・・」と体をよじっていたが、晃一が自分の顔を結衣の顔の横に持ってきて、耳を舐めた瞬間に「んっ」という声が出た。
いや、声ではなくてあれは息だった。
晃一は耳がポイントだと思ったのか、しばらくの間耳を舐め続けた。
「いや・・・んっ・・・はぁっ」
結衣が声にならない声を出し始める。
いや、これは廊下で見ている俺の耳には届いていなかった。
いつもは耳元で聞こえる結衣の声を頭の中で思い出し、聞こえているような気になっていたのだと思う。
そのまま晃一は耳から首筋へと顔をずらし、首筋から結衣の正面へと顔を持ってきた。
そして、一瞬、結衣と顔を正対させた後、結衣の唇に自分の唇を重ねた。
さっきは瞬時だったキスが今度は、1秒、2秒、3秒、4秒と続いた。
唇を一度離して、もう一度重ねる。
顔と顔の角度が付き、先程のキスとは違って、明らかに同意の上のキスだった。
ここからは部屋に入っていくことも、その場を立ち去ることも、俺の選択肢には無かった。
というよりも完全に思考がストップして、そこで覗いて見ているしか出来なかった。
俺の下半身は当然ギンギンに硬くなっていた。
このスレのことが頭に浮かんだ。
晃一は結衣の全身にキスをしながら、結衣の服を脱がせていく。
結衣は上半身を脱がされかけたところで、手元のリモコンで電気を消した。
胸を見られたくないのだろう。
だが、晃一にとって見れば、この行為は“完全にこの女をものにした”と思った瞬間だろう。
そこからは普通の男女だった。
電気を消したが、窓からは夜の街の光が入ってくるので、こちらから二人の姿は割とはっきり見えた。
晃一は結衣の胸に顔をうずめる。
「あっ・・・あっ・・・恥ずかしい。見ないで」
結衣が言うが、晃一は返答することなく、愛撫を続ける。
そのまま胸と同時に下半身へと手を伸ばす。
恐らく下着の上から、結衣の股間を触りだした。
「んっ、んっ、ダメだって・・・いやっ」
そう言いながら、とても本気でだめだと思っている様子は無い。
さっきの「ダメ」とは180度違う「ダメ」だ。
そして、晃一は結衣の下着を取り、結衣は衣服を何も着けていない状態になった。
窓からの光が彼女を浮かび上がらせ、影絵のようできれいだった。
でも、結衣を触っているのは俺ではなかった。
下着を脱がせた晃一は口で結衣の股間を愛撫しようとした。
しかし、さすがに「恥ずかしい。絶対ダメ!」と今度は本気の拒絶をした。
それには晃一も素直に応じ、指での愛撫を始めた。
結衣は感じてくると、相手にしがみつく癖がある。
その時も最初は「んっ・・・」といった大人しい感じだったが、だんだんと「あっ、あっ!やばい、きもちっ・・・あん」という声に変わり、その細い腕は晃一の体に巻きつけられていた。
晃一の愛撫は執拗だった。
声を出すこともなく、黙々と指を動かす。
と言っても、こちらからは晃一が動いているのは見えない。
ただ、男と女が密着し、女が声をあげているだけだ。
晃一が愛撫を続けていると、結衣の声がさらに激しさを増した。
「結衣めちゃめちゃ濡れているよ。気持ちいいんだ」と晃一。
「そんなこと言っちゃやだ。恥ずかしい・・・」と結衣。
そして・・・。
「やばい、無理・・・はずかしっ・・・あんっ!あっっ・・・いく・・・」
結衣は晃一の指だけで絶頂を迎えてしまった。
ぐったりする結衣に対して、晃一は「今度は俺を気持ちよくして」と、フェラチオを要求し、寝ていた体を起こし立ち上がった。
そして結衣の顔の前に自分の股間を持ってきて、結衣の手をとり、自分のペニスを触らせた。
最初はぐずるような仕草をしていた結衣だが、しばらくすると自分の顔を晃一の股間の前に持っていき、フェラチオを始めた。
不思議な光景だった。
自分の彼女が他の男のペニスを咥えている。
結衣は晃一の股の下部に顔をうずめる。
睾丸に対する愛撫をしているようだ。
そこから顔の位置は上がっていき、ペニス本体への愛撫を始めた。
暗くて結衣の顔が動いているくらいしかわからないが、音だけは確実に“ペチャッ、ペチャッ”と聞こえてきた。
そして晃一の「結衣フェラめちゃうまいね。和真にしこまれたわけ?めちゃ気持ちいいわ。やべー。口でイッちゃいそう」という声も聞こえた。
それを聞いた結衣は俺のことが脳裏によぎったのだろう。
フェラをストップした。
それに気づいたのか晃一が、「なに?もうここまでしたらやめれないでしょ」と言った。
結衣は「もう辞めよ・・・」と言うが力は無かった。
晃一はそんな結衣を見下すかのように、「思って無いくせに」とニヤニヤしてゴムをしながら、結衣を寝かせ、結衣の足を開いた。
結衣は抵抗する様子もなく、晃一に身を委ねている。
晃一は寝かせた結衣の足の間に自分の腰をうずめた。
(ゴムはするんだな)と、ぼ…