「あたしの弟」小学校時代

2017/05/04

「わーっ、返してよぉ!」
「きゃっはは。ほーら、ここまでおいでー」
あたしは弟が手にしていた紙をひったくって
駆け出した。大あわてであたしを追いかけてくる。バタバタバタ。
ドタドタドタ。
ばたんっ。
ガチャ。部屋中を駆け回った挙げ句に、あたしは誰もいない
おとーさんの書斎に入ってカギをかけた。ドンドンっ。
ドンドンドンっ。「お姉ちゃん、開けてよっ! 開けてよーっ!」弟は半べそをかきながら書斎のドアを叩く。「なになに…、『ぼくは、超機動ソルジャー グレート
ファイターの大ファンです』」あたしはわざと大きな声で、紙に書いてある文章を
棒読みで朗読する。「読まないでよーっ! 返して、返してぇー」涙混じりの声で弟は、しつこくドアを叩き続けている。
けれどあたしはお構いなしにいじわるを続ける。「『先週の”絶体絶命、勇者大ピンチ”は、とても
こうふんしました。』なに、これ。
あんたバッカじゃないのぉ?」
「わぁーん、ああーーん」とうとう弟は泣き出した。もう、すぐに泣くんだから。
だらしないの。「おかーさぁん、お姉ちゃんが…お姉ちゃんがぁぁ」まずーい!
すぐにドスドスという威勢のいい足音が、ドアの向こうから
聞こえてきた。外で洗濯物を干していたおかーさんが
やって来た。ドンドンドンっ!「未甘っ、あんたまた倫悟を泣かしたね!」
「あたし何もしてないもんっ」
「いいからここ開けな」
「や……やよっ。おかーさん、あたしをぶつもん!」
「早く開けないとぶたれる数が増えるよ」おかーさんの声は激しさこそ抑えてはいるけど、その迫力は
十分すぎるほどだ。かちゃ…。
バンッ!カギを外したとたん、おかーさんが入ってきて、いきなり
あたしの頭にげんこつを入れる。ぼかっ!「痛ぁいっ!」ぽかっ、じゃないよ。ぼかっ、よ。小さなコブができたんじゃ
ないかと思うくらい、本当に痛い。
カッコ悪いけど思わず涙が出ちゃった…。「何回言ったらわかるんだい! 倫悟をいじめるなって
あれほど口をすっぱくして言ってるだろう。
今度やったら物置に閉じ込めるからねっ!
わかったかい」あたしは思いっきり不機嫌な顔をして、おかーさんの目をのぞき込む。「わ、か、っ、た、の、かい!」鬼のような恐い顔で厳しく聞き直す。「わかったわよ…」小さく、ふてくされたような声であたしは答えた。「わかってないようだね。もういい、こっちに来な」おかーさんがすごい力であたしの腕をつかんだ。いけない、物置に閉じ込められちゃう!「やっ……、ごめんなさい! お母さん!
あたしちゃんとわかったから! やだ、許してっ」強くあたしの手首をにぎって、あたしをにらんでいた
おかーさんは、何度も謝ってからやっと手を離してくれた。「本当にわかってんだろうね?」
「うん……」
「返事は…」おかーさんがそう言いかけて、あたしは「はいっ」と、言い直した。おかーさんはあたしよりずっと大きくて、おとーさんと
同じくらい身長がある。少し太り気味だけど力はものすごく
強くて、おとーさんはもちろん、町内会のお祭りのときの
腕相撲コーナーでも、よその子のお父さん(すっごく体が大きい
人だったのよ)を負かして優勝したくらい。
おまけにとっても恐くて、しょっちゅうあたしの頭に
げんこつをする。倫悟にはそんなことしないくせに。おかーさんが洗濯物を干しに戻った後で、こそこそと
部屋に戻ろうとする倫悟を、あたしはつかまえた。「あんたのせいでおかーさんに叩かれたじゃないの」
「ぼ、ぼくのせいじゃないよぉ」
「あんたのせいよっ。あんたがおかーさんに告げ口なんか
したからでしょ。ごめんなさいは?」
「そんなのひどいよ。お姉ちゃんがぼくの手紙、勝手に
読んだのが…」
「へえ、あたしに逆らうの。いい度胸ね。
今度おかーさんがいないときには覚えてなさい」あたしはクラスの男子でも震え上がらせる、得意の恐い目で
倫悟をにらんだ。「わ、わかったよ。謝るよ。ゴメン」
「ゴメン、じゃなくて”ごめんなさい”でしょ」あたしはいじわるに訂正させる。「ご……ごめんなさぁいっ」納得がいかないといったふうな謝り方だったけど、
あまりいじめるとまたおかーさんに告げ口されるから、
この辺にしておいた。「まったく。いい年して何が超機動ナントカよ。
いつまでたってもコドモなんだから」あたしはぶつぶついいながら、自分の部屋に引き上げた。** **彼女の名前は古津 未甘(ふるつ みかん)。
12歳の小学校6年生。勝ち気で短気だが、運動神経は
抜群によく、おまけになかなか可愛い部類に入るため
学校でも人気がある。ただし、しょちゅう男の子とケンカを
しているため、一部の男子からは嫌われ(または怖がられ)て
いる。しかしそれもこの時期の子供にみられる、
「好きな子にはつい、いじわるをしてしまう」
などの類だろうと思われる。
一方、未甘にこっぴどくやられていたのが、弟の
古津 倫悟(ふるつ りんご)。実は未甘とは二卵性双生児。
姉とは正反対で、引っ込み思案で内気な性格。
体も小さく、スポーツ関係は全般的に苦手で、体育は常に
「もう少しがんばりましょう」
好きなものはTVゲームや漫画、アニメ。12歳にして
早くもそっちの道に入りかけている少年だ。
顔は姉に似て、男の子なのに可愛い顔立ちをしており、
クラスでも男子とよりは、ゲームや漫画好きな女の子達と
よく遊んでいる。未甘はおとなしい倫悟をしょっちゅうからかったり、
いじわるをしたりしている。別に倫悟のことが嫌いな
わけではない。ただ、倫悟が困ったり、嫌がったりする
のを見るのが面白いのだ。
倫悟の方はといえば、確かにいじわるされたりしたときは
未甘のことなど大嫌いだと思っているが、それでも姉を
非常に頼りにしている。クラスの男子が倫悟をからかって
泣かしたりしていたら、即座に割って入って、ケンカを
始める姉を本当は慕っている。
本音では姉のことが好きなのだが、普段はいじわるばかり
されているため、なかなか素直になれない所がある。**倫悟**ひどいよ、お姉ちゃん。こっそり書いてたファンレター
勝手に取って読むし、お姉ちゃんが全部悪いのに、ぼくの
せいだって言って謝らせるし。
ふん、お母さんにぶたれていい気味だ。お姉ちゃんなんか
物置に閉じ込められて「おかーさん、出してぇ」って
泣いてりゃいいんだ。
ぼくは自分の部屋のベッドの上で、さっきからお姉ちゃんの
悪口ばかり考えていた。本当にぼくら、双子の兄弟なのかな。どう考えたって
ぼくとお姉ちゃん、似てないよ。性格だって違うし、
体だってお姉ちゃんの方がずっと大きいし。
でも、学年は同じ…。
誰が見たってお姉ちゃん、中学生ぐらいに見えるよ。
背は高いしさ、他の女子と比べたって胸もあるし…。や、やだっ…、ぼく、何考えてんだ。こんなやらしいこと
考えちゃうなんて…。
知らないうちに、ぼくのほっぺたは赤くなっていた。「こらっ」
「わあっ!?」勝手にぼくの部屋のドアを開けて、お姉ちゃんが入って来た。「何よ、いきなり大声あげたりしないでよ。
びっくりするじゃない」
「そっちこそ、なんでいきなり入ってくるのさ。
ぼくがお姉ちゃんの部屋にノックせずに入ったら、
いっぱいぶつくせに」
「あたしは女の子なのよ。レディの部屋にノック無しで
入れるわけないでしょ」
「あんなに他の男子をなぐったりけったりして
何がレディだよ…」
「何か言った?」
「なんでもないよ」ぼくはふん、とそっぽを向いた。「なんの用なの」ぼくは顔をそむけたまま、ぶきらぼうに言った。「おかーさん買い物に出かけたしさ、仲直りして
一緒に遊ぼうよ」えっ、お母さん出かけちゃったの!
やばいよぉ。お母さんがいなかったら、お姉ちゃん、ぼくに
何するかわからない。怒らせたら本気でぼくのことなぐるもん。「ぼく、これから遊びに行こうかと思って…」
「今までゴロゴロしてて、なんで急に遊びに行くのよ」
「そんなのぼくの勝手じゃない」ぼくは自分でも情けないくらい、弱っちい言い方で言い返した。
あまりお姉ちゃんに逆らうと、ろくなことがないからだ。「あたしがわざわざ遊んであげるって言ってるのに、
あんたは外へ遊びに行くって言うのね?」わあ…まずいよ。喋りながらもお姉ちゃんの言い方は、
顔色と一緒にだんだん恐くなってくる…。「だ…だって…」ぼくの声は消え入りそうなくらい小さかった。「あたしを怒らせるのと、素直に遊んでもらうのと
どっちがいいの?」出た。お姉ちゃんの二者択一。
どっちを選んだっておんなじじゃないか。
でもそんなこと、絶対口には出せない。「どっちなの?」ぼくが何も答えず黙っていると、さっきよりも恐い声で
聞いてきた。「お姉ちゃんと遊ぶ方…」なんだか先生に叱られてる子の気分だ。すごくみじめ。「そう。じゃ、何して遊ぼっか」少し機嫌を直したお姉ちゃんは、あれこれ考え始める。
どうせどんなのにしたって、結局ぼくをからかったり
いじわるしたりする気なんだ。わかってるんだ。「うーんと、それじゃあねえ。”しりとり”しよ」
「えー…」ぼくは思わず不満そうな声を出してしまった。「あたしが決めたことがそんなに嫌なの」また機嫌が悪そうになる。ぼくはあわてて訂正した。「いいよ、しりとりするよ」
「じゃあね、しりとり」
「り…。り、り……漁師」
「し、し…ね。えーと、鹿」
「か……か…カメラ」
「ラッコ」お姉ちゃんはなぜかしりとりが大好きだ。たいくつな時は
ぼくをつかまえてしょっちゅう相手をさせる。
こんなのどこが面白いんだろ。「てがみ」
「み……みぃ?」
「早くいいなさいよ」もう15分は続けている。い…

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