妻と上司の裏ビデオが引き起こした大騒動
2023/09/28
金曜夜遅く、帰宅すると寝室で妻がまるで廃人のように焦点が定まっていない感じでたたずんでいた。
妻は私の顔を見るなり、何かに怯える子供の様に私に抱きついてきて号泣、そして嗚咽その尋常ではない様子から妻に何かとてつもなく大きな災いが起ったと感じた。
しかし何を聞いても泣くばかり、まともな会話は何一つもできないまま、ひたすら震えすがってくる妻を抱きしめ慰める、そんな二日間を過ごした。
日曜夜、泣き疲れたの子供のように眠った妻をベットにそっとおき、私は妻の同僚であり、また私の趣味友でもあるN村に電話をした。
妻はバリバリのキャリアウーマン
家庭より仕事を優先してきた人
しかし玄関先には妻の仕事関係の私物が無造作に
会社で何かあり、そして会社を辞めてきたと
電話に出たN村は、私から電話がある事を分かっていたかのように、そして何を言うか決めていたかのように眈々と語った。
N村曰く
月曜頃から社内で妻への噂話が出てきていたと
その内容は妻がネット配信されているいわゆる裏ビデオに出ているらしいと
火曜日にはそのURLが社員に出回り、水曜日にはN村を含む多くの男性社員が間違いない確信していたと
そして金曜日の朝、出社すると会社のほとんどのパソコンに、その裏ビデオから切り取った妻と分かる画像が、これでもかと大量に送られてきており、社内はパニック。
それどころか関係各位、取引先にも同様に大量に送られており、通常業務にも支障が出る大問題に。すぐさま妻と同じく画像に映っている上司が会議室に呼ばれ、上役数名の怒号が激しく飛び交う尋問を受けていたと
そしてランチタイムで社員が少なくなったのを見計らったように、真っ青で今にも倒れそうな二人が上役の管理下の元、無言でデスクの私物をまとめて退社していったと
システムエンジニアのN村は日曜日の夜の今になっても、その後始末の仕事に追われていると
N村は「お前のパソコンにもその一部を送ったから、確認しろ」と
残念ながら画像の中の裸の女は明らかに妻だった。
サイト内の動画も見たが、それはそれは酷いもの。たとえ自分の妻でなくともその性癖でない人間には耐え難い映像の連続
少し器量の良い妻は人気があったのか、エグいタイトルを付けられシリーズ化されており、その汚い動画はそのサイト内だけで十数本もあった。
相手は私達の結婚式にも出ていたので、妻の上司とすぐに分かった。
寝室から私を探しにきた妻が絶叫しながらパソコンを奪い叩きつぶし泣き叫んでいたが、すでに私は妻を慰める事も抱きしめる事もできなくなっていた。
そんな私の態度を察し更に錯乱。台所に走り包丁で首を切ろうとした。
しかし私は体が動かずそれをただ見ているだけ。
妻の鮮血を見てハッと我に帰り、慌てて手当をし救急を呼んだ。
幸いにも傷は縫わなくても済む程度の浅いもの。
しかしその激しく錯乱した様子から救急隊員が保護が必要と判断、病院へ
妻がやっと薬で落ち着いた頃、連絡した義父母と義妹が到着
しかし私が言葉を発する前に義父に思いっきり殴られた。
すでに駆けつけてくれたていたN村が間に入り、これまでの経緯を丁寧に説明してくれたが、義父母家族達は信じてはくれず私を罵倒するだけ。
業を煮やしたN村がノートパソコンで説明
あまりに衝撃的な映像に義父母家族はへたり込んだ。
私は結婚生活が破綻した事を謝罪した上、妻が落ち着いたところで離婚しますと宣言。
義父母家族は無言で頷くだけだった。
その後、医師の説明でしばらく精神科に入院すると言われたが、現役の教員でもある義父が固辞し、無理やり妻を実家に連れ帰った。
全てに無気力になり会社を休み続けていた水曜昼
妻会社の顧問弁護士から今後について話をしたいと連絡があり、その夕方先方の事務所へ
事務所には既に会社の幹部と目も当てらない程やつれていた上司妻が話を進めていた。
顧問弁護士の曰く
今回送られてきた画像や映像によって、業務に支障が出たばかりでなく社の信頼は失墜し、関係各社との取引先にも影響が出た。
具体的に下請け数社がまとまって月曜日午後には取引停止を通告してきたと
送られてきた画像は、サイト内の数ある映像から、妻と上司が勤務時間内に社内及び関係会社の駐車場や社屋内での性行為や猥褻行為を抜粋したものである。
その他、ホテルや公園など他の場所や業務時間内と判断できないものは含まれていない。
つまりは一連の大量の画像メールは妻と上司の告発であると解釈できると。
関係各社からは二人に対しての責任を求めているだけでなく、監督責任として社にも求められている。
そこで社として関係各社と共に、二人に対して公然猥褻罪及び業務妨害罪など考えられるあらゆる刑法で告発する。
また、取引停止期間の損害賠償についても裁判を起こし必要に求める。
二人に対して我々は一切の妥協はしない。徹底的に糾弾すると
しかし上司妻さんと私も当事者であり最大の被害者
精神的苦痛は計り知れない。
そこで我々からの告発は週明け月曜日に行う。
それまでに離婚交渉や慰謝料請求などの交渉を済ませて頂ければと
ある意味、私達への温情かもしれないが、今から弁護士探してどうこうなどあまりに時間がなさ過ぎる。
上司妻を見る限り、現実を受け入れる事もままならない状態
顧問弁護士は続けて、お二人には弁護士を紹介します。
時間的猶予こそできませんが、それまでは最大限サポートしますと
既に大きな流れが出来ており、お願いするしかなかった。
この時点で子供がいる上司妻は離婚を決めかねていたが結局は離婚した。
上司のその後を考えれば選ばざる得なかっただろう。
私はそのまま同じ事務所内で担当弁護士と打ち合わせ
離婚は確定、財産分与や慰謝料など希望を伝えた。
交渉は全て弁護士と義父で行われ、共通名義のマンションや家財、貯蓄については妻側が完全放棄。
慰謝料として妻名義の貯蓄300万円余りの全てを受け取る事に。
上司から上司子供への支払いを優先し慰謝料は200万円
当人同士会う事もなく、全ては他人事のように進み、土曜日には離婚成立し全ての名義変更や支払いも終わった。
会社側の怒りは本物だった。
週明け数日で上司はあっけなく逮捕され後に起訴
義父が逮捕よりはと、あれ程嫌がった精神科に入院させ、なんとか妻は在宅起訴に
そしてそれぞれ罰金刑の判決を受けた。
損害賠償請求も妥協はなかった。
取引先停止は両名が起訴されるまでの期間、その経済的損失は個人ではとても払いきれない額
社はそれを二人に求めてきた。
妻側は義父が早期退職した上、あらゆる不動産を処分し和解に持ち込んだが、上司側は結局結審まで行き、かなりの額の判決を受けた。
ここまで本当にあっという間だった。
結局、不貞行為の詳細は映像しか分からない。
何がきっかけでいつから始まったのかも。
妻を見たのはあの病院が最後
映像はDVDにて上司と妻が各々自宅で隠し持っていたが、編集作業した上司自宅パソコンから共通ソフトで流出したらしいと
また、関係各社へ送られた画像メールは、あくまで告発として受け取り、告発者の特定や告発はしないと非公式だが全ての社員にアナウンスされたようだ。
騒動が起こってから、私はほぼ仕事を含めて無気力
一連の経過や結果の全てはN村が教えてくれた。
同じ大学からの付き合いである妻とは共通の友人知人も多く、騒動後多くの人間関係は破綻や疎遠に
私も居辛くなり故郷へと戻った。
あれからかなりの年月が経ったが、未だ独身。
元妻と上司のその後は知らない。
きっとN村に聞けば分かるが、聞く気はない。
ただ、死んだとしたら教えとは言ってあるから、何処かでまだ生きてはいるだろう。
人はかつて愛した人をここまで裏切れるのか。
地獄に落とそうとしているのに、何もないような顔をして一緒に生活をできるのか。
人はここまで人を騙せるのかと人間不信
その不信感はいくら時間が経っても消えない。
女はもう信じられないし信じない。
何より自分自身の事が一番信用できない。
なぜなら私が妻と上司の痴態映像を初めて見たのは、妻会社で裏ビデオ騒動が起こる7ヶ月も前の事。