子供の頃の羞恥体験

2021/08/28

これは氷魚が中学生(13歳)の時のお話です。
実家のすぐ近くに総合病院があったので、幼い頃はずっとその病院で診察してもらっていました。
しかし、この日の出来事を境に、総合病院を利用することはなくなりました。
例によって風邪を引いた氷魚は、1人で病院へと向かいました。
かなり体が丈夫になったおかげで、前回利用してから半年くらい期間が空いています。
(その時は小学生でした)いつものように小児科に行こうとして、足が止まりました。
中学生はまだ小児科で良いのだろうか?それとも大人と同じで内科に行くべきだろうか?悩んでも分からないので、とりあえず小児科に行ってみることにしました。
氷魚「……あのぉ、風邪ひいたみたいなんですけど」受付の看護婦「はい、診察券出して。中で待ってて下さい」どうやら、小児科で良かったみたいです。
待合室には小学校低学年くらいの子が何人か親と一緒にいたと思いますが、細かい部分は覚えていません。
待合室の壁の向こう側が、狭い待機スペースになっていて、丸イスと籠が置いてあります。
患者は呼ばれる前に上半身の衣類を脱いで待つシステムになっているのです。
普通の内科だったら他の患者さんがいる所に脱衣所なんて用意しないのでしょうが、小児科なのでその辺の配慮は一切ありません。
まあ、氷魚もこの方式に何の疑問も感じていませんでしたし。
だけどこの日初めて、服を脱ぐことをためらいました。
中学に入ってからまだ数ヶ月ですが、剣道部で鍛えられていたため小学6年生の時とは比較にならないくらい体に筋肉がついてきていました。
成長期とも重なり、日々パワーが上がっていくのが実感できるくらいでした。
脱ぐのをためらったのは、恥ずかしいと思ったせいではなく、場違いな気がしたからです。
やっぱり内科に行ってみれば良かったか……と、後悔した覚えがあります。
待機スペースの先は大部屋になっていますが、カーテンで区切って診察室が3つ作られています。
(ただし四方のうち、奥の面は遮蔽されていない)呼ばれたので中に入ってみると、40歳くらいの痩せた男性の医者と若そうな看護婦さんが待っていました。
先生が「どうしましたか?」と訊くので、氷魚は「風邪引いたみたいで熱がある。あと、気持ち悪い」と答えました。
実際、熱は大したことないのですが、朝からずーーーっと軽い吐き気があったのです。
医者は氷魚の喉を診て、聴診器で胸と背中を調べた後「診察するから、ベッドに仰向けに寝て」と言いました。
言われた通りに、靴を脱いでコロンと横になると、看護婦さんが氷魚の側に来ました。
「お腹診るのに邪魔だから、少しズボンを下げますね」返事をする前に看護婦さんの手が氷魚のズボンに伸び、ボタンを外し、チャックを下げました。
続いてズボンの腰の所を掴み、思い切り引っ張ったのでした。
この日、氷魚はジーンズを穿いていました。
当時はスリムタイプが流行りだったせいもあり、軽く引っ張ったくらいでは簡単に脱げたりしません。
その結果……察しの通りです。
ズボンと一緒にパンツまで脱げてしまったのでした。
医者にしてみれば、診察の邪魔にさえならなければ、パンツを穿いていても脱いでいても関係ありません。
看護婦さんも直すのは面倒だと思ったのか、直してくれませんでした。
おかげで局部丸出しです。
上半身はとっくに裸。
下半身もズボンとパンツを膝頭のところまで下げられてしまったので、全裸も同然の姿です。
この時の恥ずかしさといったら、言葉では表現できないほど強烈でした。
中学生の頃といえば、最も羞恥心の強い時期です。
体も大人へと変化しつつあります。
この時の氷魚といえば、陰毛がだいたい生え揃った頃。
まさに思春期真っ只中で、子供から大人へと変わる途中でした。
同性の友達にも見られないようにしていた場所を白昼の元に晒されて、恥ずかしくないわけがありません。
しかし先生は何事もなかったかのように、診察を開始しました。
胸やお腹を手でポンポン叩いて「ここ痛くないか?」とか訊いていました。
今思うと、風邪の診察とはあまり関係の無い検査のようでした。
確かに「風邪だ」と言って病院に来た患者が、全員風邪だとは限りません。
別の病気にかかっていないか確認する義務が医者にはあります。
……などと思い当たったのは何年も経過した後の事。
この時は恥ずかしさで頭の中がパニックでした。
男の先生に見られるのはまだ我慢できるとして、若い看護婦さんも明らかに氷魚の股間を見ていました。
さらに奥のスペースにいた看護婦さんたちからも、素っ裸でベッドに寝ている氷魚の姿が見えるのでしょう。
通り過ぎるたびに、こちらを見ていきます。
彼女たちにしてみれば、氷魚なんてほんの子供です。
医療に携わっていれば、他人の裸なんて日常的に目にします。
だから、彼女たちは中学生の男の子のペニスに興味を持ったわけではなく、単に自然に見えてしまっただけのことなのでしょう。
しかし見られている本人にとっては大事件です。
手を伸ばせば届くくらいの距離から、数分間に渡って観察されてしまったのです。
ショックでした。

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