ベッドシーツ血に染めて
2021/08/01
俺としては二人目の彼女だった。
大学二年の秋に文化祭を通じて彼女と出会い、付き合うことになった。
沖田芽衣という、口にすると少しくすぐったい気持ちになる可愛い名前だ。
背格好は小さく、幼稚な言動、行動を取るので、年が一つ上というのを忘れる。
付き合ってからは尚更で、就活大変なんだよお。と口を膨らませる彼女に対して
まだ早いだろと普通に言ってしまい、二日間、目を合わせてくれなかったことがあった。
芽衣は三姉妹の末っ子だ。付き合ってから聞いた話だが、なるほどと納得してしまった。
「あたしはねー、しっかりしてるねってケンくんに言われたんだから」
と量の少ない胸を張る彼女は、頼れるかどうかはさておき後輩からの信頼を寄せられていた。
同学年のゼミ生からは愛玩動物よろしく可愛がられており「ばかにすんじゃねー」と怒り狂う哀れな小人をたまに見る。
信頼を寄せる後輩からも「沖田先輩の家に行くとテイルズ手伝わされるんだよね」
と、どこか子供めいた部分を匂わせていた。今はキングダムハーツに夢中だ。
子供っぽさが目立つ、年上のチビ娘だった。
そんな彼女と付き合いだして半年のこと。俺は勇気を出して芽衣に迫った。
月が綺麗な夜、一人暮らししている俺の部屋で。
彼女は俺の腕を枕にするのが大好きだった。
その日もそうして同じベッドで寝ていた。月を見ながら、やるぞ、やるぞ、とどこかの宗教みたいに願掛け。
丸くなりきれていない月を見ながら、その裏にいるであろう神様に祈っていた。
どうか上手くいきますように。
「芽衣」
「うん?にゃに?」
俺の前ではこんな調子だった。ネコっぽい語尾も、他の人間が使おうものなら蹴飛ばしているだろうが、天然のチビ娘ならではの業だ。
俺の腕を抱きながらこっちに寝返る。可愛い。うさぎのようにひくひく鼻を動かして、両手でかゆそうに掻く。
月明かりが小さい芽衣の顔を照らしている。
「キス、していいかな」
「え!? えー。……キス」
赤面するわけでもなく、怯えるわけでもなく、視線を下にうつむかせる。
付き合って半年。大学二年生と三年生の二人。同じベッドで寝るような仲だったが、未だえっちを許してもらえていない。
一度それとなく身体を触ったら、「くすぐったいよ」と身体をよじらせ、興奮してきた俺が胸を触ったところで殴られてしまった。
「そういうのは、だめ!」
その時は布団から上半身だけ起こして、壁に張り付き、怒った。
ご、ごめん、ごめんよ。と謝っても許してもらえず、その日は俺の為に床に布団を敷いてくれた。
それ以来、キスすら達成できていなかった。彼女はそういうことが、ダメらしかった。
オナニーとかするのか聞いたところ、リアルで「おなにー?ディ○ニーのキャラ?」と返ってきたことがある。
「唇を合わせるだけでいいんだ。ちゅって」
「えー……でも……」
月が動いた。いや、雲が動いて光の角度が変わったのだろう。彼女の表情に影がささる。
俺は祈った。雲に半分姿を隠した月に、その裏にいるであろう神様に。
芽衣はうさぎに似ていると思う。
両手が鼻を掻く動きが機敏で、この時期は花粉症で目を赤くしていた。
耳が長く生えているならば、常にひよひよ動いているに違いないと思う。
月の神様、頼む。マジで。そう願った頭の中に、餅をつく獣が沸いて消えた。
月が、動いた。
「……私は、うーん。うーんと。うーん。いや、じゃ、ない。かな」
しどろもどろ。視線を右に左に彷徨わせ、どうしよう?と俺に助けを求める。
でも俺に助け船を求めたところで、困らせている本人なのだ。力になれない。
それでも「ねえどうしよう?」と一緒に悩んでほしいらしい。
か弱い視線を振り払って、肩をがっと掴む。
チビだけど年上としてのプライドがそうさせるのか、嫌なら嫌とはっきり言う子だった。
だからこの無言は、肯定なんだと受け取った。
白地に黄色い水玉模様のパジャマに触れる。下にはまだ見たことの無い肌が潜んでいる。
柔らかい。肩の骨がちょっと当たる。二の腕に触れた指先は、その弾力性に喜びを感じている。
彼女の目が閉じた。また鼻を掻いた。両手でしゅしゅっと。うさぎのような彼女。色の白い肌が余計にそう感じさせる。
俺は無言で彼女の唇に触れた。柔らかい。俺の最も柔らかい部分は、唇に違いなかった。
その唇でもってして「柔らかい」と感じるほど、柔らかい。
長いキスだった。どちらも止め時を分かりかねていた。
鼻息が荒くなる。芽衣も俺も。
少しだけ舌を出した。先っぽだけ、芽衣の唇に触れてみた。
彼女は少しだけ驚いたようだったが、徐々に伸ばす舌を受け入れてくれた。
生暖かい口の中に――まだその先端だが――興奮する。甘いわけではない、生き物に満ちた味が舌に伝わってきた。
少しずつ舌を伸ばす。彼女の舌に触れた。
「うむぅ」
舌先で彼女のものの表面を嘗め回す。「んふっ」と満更でもない声が上がる。
芽衣の身体を抱きしめる。ぐっと強く抱きしめ、腫れた股間の一物をぐいぐいこすりつけた。
彼女のお腹に堅くなった物を押し付ける。その感触に興奮して、舌の動きは激しくなる。唇から涎が洩れる。
ひとしきり口の中を嘗め回し、満足などしていないが、一度唇を離した。
服の上から優しく胸を触る。抵抗はない。見ると、彼女の表情は惚けてしまっている。
快感に酔っているのではなく、初めての快感に脳が対処しきれないようだった。
見たことの無い電気信号がひっきりなしにやってきたのだろう。
彼女の胸の感触は、前回の未遂の時とは比べ物にならないくらい色気がある。
自分の太ももにぬめった感触が触れる。早くも我慢汁が溢れ出しているらしい。
服の上から触るのに耐えられなくなり、剥ぐことにした。
相変わらず遠い宙を眺めている芽衣の両腕を上げ、可愛らしいパジャマを捨て去る。
ズボンも穿いたままだったが、露出した姿がノーブラだったことに大きな興奮を感じ、そのまま胸にしゃぶりついた。
乳首をほおばり、舐め回す。
「ひゃぁん!」
さっきとは全く違う反応が見られた。舌のざらついた部分で表面を走らせると、泣く様に声を上げる。
身体も小刻みに動き、あわせてくねらせた。
「き、気持ちいぃ。気持ちいぃいいよぉ?」
さっきとは比にならないほどの快感を得ていることに自分も興奮し、次第に舐め方が荒くなる。
「ううううううう、うふううううう、ひゅん、ひゃあ、あああ、ああん!」
芽衣の小さな手が俺の頭を押さえつけた。
「もっとぉ、もっと舐めて!もっと激しいのがいいの」
舌を押し付けるように、乳首をべろべろ舐めた。
「う?、う?、う??????!」
気付くと彼女は股間を俺の足にこすりつけていた。盛りのついた動物のような行動だが、興奮を感じる。
うんうん喘ぐ度に、芽衣の可愛らしい身体が壊れるほどに暴れた。
腰をひたすら強く押し付け「いいよ?!すごくいいよおぉぉ?!!」とよがっている。
「う、う、うあ、うひゃあっ、あっ、あっ、あっ、うううううああああああああああんっ!!!」
強く股間を押し付け身体を弓なりに震わせ、そのままぐったりしてしまった。
「逝っちゃったの?」
「何、逝っちゃったって。どこに?」
はあはあお腹を上下させながら、さらっと冗談みたいなことを言った。
「気持ちよすぎて、きゅーんとなっちゃうような感覚を『逝く』って言うんだよ。絶頂を迎えたんだ」
「ぜっちょう?ああ、よく分からないけど、そうかも」
ふうふう言って、上半身裸の彼女は俺に抱きついた。目を合わせずに、恥ずかしそうに「気持ちよかった」とささやいた。
「……あっちゃんは、どうやったら逝くの?」
「ええとね、ちんちんが硬くなって、気持ちよすぎてきゅーんとなると逝ける」
「どうすればいいの?」
「……してくれるの?」
無言だった。
「……芽衣のあそこに入れさせてくれたら、逝ける」
え、と小さく声が上がった。
「それ、セックスじゃない?」
「そうだよ」
「そういうのは、だめ!」と言われたあの日のことを思い出す。神様、なんとか今日はお願いします。
願ったが、月は雲に隠れていた。暗くて彼女の表情がよく分からない。
何も言わなかった。
無言は肯定だと、信じた。
「ズボン、脱がすね」
一緒にパンツも取る。裸にしてやる。初めて見る芽衣の裸は、想像以上に細い。
チビだチビだと思っていたが、裸にすると華奢だった。繊細なガラス細工を見ると出てくるように、破壊衝動が湧いて出る。
めちゃくちゃにしてやりたい。俺の固くなったペニスで挿入し、溜まりに溜まった精液を膣の中に噴出させ、
それに止まらず体中にぶっ掛けてやりたくなった。
「あっちゃんも脱いでよぅ」
不満そうに俺の袖を引っ張った。我慢の限界なので、乱暴に上下とも脱ぎ捨て、芽衣の上で四つんばいになった。
二人とも裸だ。ペニスはぎんぎんだ。触れれば熱い白濁液が彼女の身体を汚すだろう。
「そ、そんなの入れるの?」
不安そうな声に構わず、俺は芽衣の入り口にペニスをあてがった。ぐぐ、と押し込んでみる。
「いたあぁい!」
抵抗感があった。入れる前から膜があるように感じた。処女膜ってどこにあるんだ?
「い、いたい、いたいよ、あっちゃん、痛いよ!」
芽衣の両手が俺の肩を掴んだ。抵抗しようとしているのか、何か掴まずにいられないのか。
俺は芽衣が逃げ出さないように、上半身で彼女の細い胸板を押さえつけた。
悲鳴が洩れないようにキスで口をふさぐ。少しくらいなら無理をしても大丈夫だと判断し、抵抗を続ける芽衣の入り口に強く、ペニスを押し入れた。
「んぐうううううううう!!!」
キスの狭間から悲鳴がこぼれる。入った。ペニスが膣に挿入された。
「芽衣、入ったよ。俺のちんちん、芽衣の中に入った」
「いたい、いたあい!痛いよ!抜いて、抜いてぇ!」
もうちょっと我慢して、といいながらペニスを前後させた。
ぬっぬっという感触と共に、芽衣の膣が俺のペニスを味わう。膣全体で、俺のペニスを嘗め回す。
その快感は、今までに無い。
「きっ、きもっち、いい!きもちいい!芽衣、お前の中、気持ちいい!」
「やだあ!抜いてぇ!痛いの、本当に痛いんだってばあ!動かないでええぇぇえ!」
構わずペニスで攻撃を続けた。悲痛な声が突く度に出るが、それすら快感となっていた。
「ぐう、うっ、うあっ、あっ、あうっ、あうう、あうううん、ふっ、ふっ、うふううう」
芽衣は半分泣いていた。俺はそれでもペニスで突き続けた。壊れろ、壊れろ、とどこかで声がした。
「あっ、あっ、ああっ、ああああ!ふあ、ふあああ!」
ペニスの運動を激しくさせた。芽衣の膣が全身で喜びを感じている。ペニスが膣と融合してしまいそうだ。
ぎっ、ぎっ、ぎっ、と安物のベッドが揺れる。「あっちゃんの匂いがして好きなんだあ」とよく寝転がっている場所だ。
「あー!あー!ひいっ!いひいっ!あ、あ、あ、あああ」
芽衣の表情は苦痛に満ちている。俺がやってるんだ。俺が彼女の弱い部分に、ペニスを刺しいれているんだと思うと興奮は頂点に達した。
腰全体に電気が走る。その感覚がペニスの先端に集中した。
「射精るっ、射精るっ、芽衣、精子出すから!射精するからなっ!」
「あ!?やあっ!やだあぁっ!外ね!?外に、外に出してねっ!?」
「射精る、射精る、射精ちまうっ!」
寸ででペニスを引き抜いた。そのまま顔に持っていき、芽衣が驚いた表情を見せたのと同時に勢いよく精子が噴き出る。
びゅう、びゅっ、びゅるびゅるっ、びゅびゅぅっ、びちゃっ
肩で息をして、芽衣を見た。頬が涙で濡れている。いまさらながら自分のしでかしたことに慌て、大謝りした。
なんども頭をベッドにつけたところで、芽衣も息絶え絶えに言葉を漏らした。
「――逝けた?」
「逝けた。射精したろ、そうなったら、逝けたってことなんだ」
「じゃあ、これ精子なんだ」
芽衣は顔に張り付いた白濁色に触れた。ねばぁっと粘液性の強いそれを、指で塗りつぶす。
「本当に白いんだね」
「赤くなる人もいるらしいけどな」
「……水、ほしいな」
コップに水を汲み、お互いひと段落したあと一緒に風呂に入った。
一緒に入るのは初めてだ。スリムでいて緩やかな曲線を描く芽衣の裸を、風呂場の照明で眺めていると、また少しだけ勃った。
風呂から出て、ベッドを見る。照明をつけると見事に処女の証がシーツを染めている。
「うわ、赤い……」
「血だから」
「これ、洗濯しなきゃ」
翌日、シーツを持って近場のコインランドリーに二人で行った。
染みの部分に念入りに洗剤を着け、ごんごん洗濯機を揺らせる。
二人してベンチに座り、洗濯が終わるのを待っていた。
途中、寝てしまった芽衣の頭を撫でてやると、両手で鼻を素早く掻いた。