馬鹿な私・・・

2018/08/20

こんばんは。
恭子です。
年末年始に帰省できなかったこともあって、1月の3連休に実家に行ってきました。
私の実家は、かなりの田舎です。
周りに遊べるようなところは何もありません。
いつものことなのですが、実家に戻るとやることがなくて退屈してしまいます。
外では静かに雪が降る中、私は暇を持て余していました。
部屋で退屈しているうちに・・・私の心の奥底に潜んでいる『もうひとりの自分』に誘惑されていました。
誰かに見られる恥ずかしさ・・・(あの興奮に身を委ねたい)その思いはみるみる膨らんで、フラストレーションが募ってきます。
頭をよぎるのは、昨夏に行った渓流沿いの露天温泉のことでした。
見知らぬおじさんに裸の自分を覗かれたあのときの興奮は、今も鮮烈に記憶に刻みついています。
(また行ってみたいな)でも、それは無理でした。
雪道をあそこまで長距離ドライブするだけの自信はありません。
ふと思いついたのは『銭湯』でした。
実際に行ったことはないのですが、隣町に銭湯があることは昔から知っています。
(銭湯なら。)かつて地方都市に住んでいたころの思い出がよみがえります。
(もしかしたら、あのときみたいに。)番台があって、そこに男性が座ってたりしたら・・・田舎とはいえ、いまどき番台式の銭湯なんてまだあるでしょうか。
可能性は低いと自分でも思っていました。
それでも、無性に行ってみたくなってきます。
だめもとでした。
隣町ですから、車で行けばそんなに遠くありません。
こうやって悶々としているぐらいなら、行ってみて諦めたほうがましです。
お風呂に必要なもの一式を用意して、家の車に乗りこみました。
エンジンをかけてスタートします。
道路の両側は、ほんのり雪景色でした。
隣町に行くだけとはいえ、慎重に運転します。
運転しながら、ついつい内省的になっていました。
(なんで、こんなことに夢中になっちゃうんだろう)自分で書いたら説得力がないことは百も承知のうえですが・・・私はこれでも、普段は本当に真面目なキャラクターなのです。
臆病なほど慎重な性格で・・・周りの子たちのようにチャラチャラすることができず、いつも損してばかりいます。
(こんなことしてちゃいけないって、わかってるのに)馬鹿な真似をして傷つくことになるのは、ほかでもない私自身でした。
後々、自己嫌悪に苦しむことになるのも目に見えています。
それでも引き返す気にはなれませんでした。
大胆に振る舞えている瞬間の自分を想像すると、わくわくしてくるのです。
果樹園の網に薄く被った雪が、白いベールのようです。
目的の銭湯の建物が見えてきました。
駐車場に車を入れます。
荷物を持って、車から降りました。
吹きつける冷たい風に、身が縮こまります。
かじかんでくる手で、トートバッグを握っていました。
戸を開けて、建物に入ります。
(あ。)入ったとたんに、もう私の目論見は崩れてしまいました。
(残念)思ったとおりです。
やはり、ここの銭湯は番台式のつくりではありませんでした。
『フロント式』とでも言えばイメージしていただけるでしょうか。
まあ、せっかくだからお風呂には入っていこうと思いました。
フロントのおじさんに料金を払います。
私を見るおじさんの目は、よそ者の女を見定めているような感じでした。
こんな田舎町の銭湯です。
通ってくるのはいつも決まった常連の人たちばかりでしょうし・・・『見かけない顔だ』と、珍しがられたのかもしれません。
女湯側ののれんをくぐって、中に入りました。
いたって普通の、銭湯の脱衣所です。
ミニロッカーに貴重品を入れて、鍵をしました。
服を脱いで、棚の中の脱衣カゴに入れます。
全裸になった私は、奥のガラス戸を引いてお風呂場に入りました。
大きなお風呂も、たまにはいいものです。
湯船の中で脚を伸ばしながら、そう思いました。
(いい気分。)お湯が少し熱めなのも、私の好みです。
(車で来れば、すぐなのに)
(なんで今まで来たことなかったんだろ)私以外にも3人がお風呂に入っていました。
みんなおばあちゃんばかりです。
過疎化が進んだこの地域で銭湯を利用する人は、やはり限られているのかもしれません。
髪を洗い、からだも洗って、最後にもう一度お湯につかりました。
先にあがっていったおばあちゃん・・・新しくやって来たのもおばあちゃん・・・本当におばあちゃんばかりです。
(帰ろう)自分で持ってきたシャンプー類やハンドタオルを手に取って、お湯から出ました。
脱衣所へと戻ろうと、「がらがら」ガラス戸を引きます。
(あっ)そこに裸の男の子が立っていました。
私と目が合った瞬間、慌てて自分の前をタオルで隠しています。
ぱっと見で、小学校の5年生ぐらいの印象でした。
全裸の私に目が釘付けになっています。
傍らでは、おばあちゃんが幼児の女の子の服を脱がせていました。
きっと、孫ふたりを連れてきたのでしょう。
男の子のほうは、相変わらず私のことをみつめたまま固まっています。
私は、一瞬にしてどきどきしていました。
そんな感情はおくびにも出さず、自分の脱衣カゴの前に行きます。
東京ではまず考えられないことですが、うちぐらいの田舎だと・・・小学生の男の子が家族といっしょに女湯に入ってくるのは、そんなに珍しいことではありません。
でも、(どう見たってあの子はもう高学年。)さすがに女湯に入って来るには、違和感のある年齢です。
(それなのに。)お年寄りばかりだからでしょうか。
なんとなくそれが許容されている雰囲気でした。
向こうにいる別のおばあちゃんは、平気な顔で自分のからだを拭いています。
内心のどきどきを押し隠したまま、私はバスタオルを手に取りました。
まったくの、思いがけないシチュエーションです。
(私のこと、すごい見てる)もしかしたら、あの子にとっても・・・ここのお風呂で20代の女と出くわすなんて、衝撃的な出来事なのかもしれません。
しかも、この顔、この容姿の私・・・子供とはいえ『きれいな女の人だなぁ』って思われてるだろうという自負はありました。
男の子は、かぶりつくような表情で全裸の私をみつめてきています。
(イヤぁ、見てる)彼の視線を、完全に意識している自分がいました。
何食わぬ顔で自分のからだを拭いてみせますが・・・裸でいることの恥ずかしさに、耳が熱くなってきます。
バスタオルで髪をもしゃもしゃ拭きながら、男の子の様子を窺っていました。
すると、「ぼく、先にジュース飲んでからはいる」おばあちゃんに、おねだりしているのが聞こえてきます。
私は、瞬間的にこの男の子の意図を見抜いていました。
(ああん、これって現実なの?)ジュースは時間稼ぎの口実に違いありません。
この子は、まだこの場から離れたくないのです。
(あ。)また目が合ってしまいました。
彼はすぐに目を反らしていますが・・・この子はこの子なりに知恵を使っているのが、私には手に取るようにわかります。
私は完全に知らんぷりをしていました。
偶然にも、千載一遇のチャンスが迫ってきているのを感じます。
(そんなに見ないで)心の中で彼の視線に恥じらいながら・・・何事もない顔で、自分の髪を拭い続けます。
「まったく、S太は・・・」おばあちゃんは、困ったようにつぶやきながらも、「・・・な子だかんなあ」孫に甘えられて、どこか嬉しそうです。
腰にタオルを巻いた『S太くん』が、自販機でジュースを買っています。
(どきどきどき・・・)私は丁寧に自分のからだを拭いていました。
(どきどきどき・・・)
「飲んだら来いよ」おばあちゃんが、幼い女の子のほうだけを連れてお風呂場に入っていきます。
「うん」S太くんが、丸イスのひとつに腰かけました。
私からは4?5mのところ、ちょうど洗面台の前あたりです。
うつむき加減でジュースのパックにストローを通しながら・・・でも、その視線は明らかにこっちを見ています。
(どきどきどき・・・)確信していました。
この子は、もう完全に異性を意識している『男の子』です。
(本当はもうエッチなくせに)子供の特権とばかりに、私の裸を眺めようとしています。
私の中でスイッチが入った瞬間でした。
(どきどきどき・・・)からだを拭いていたバスタオルを、カゴの中に入れます。
バレッタで髪を留めようと、両腕を頭の高さに上げたまま・・・(ああん、見て。)からだの正面をS太くんに向けました。
(イヤぁ、恥ずかしい)S太くんが、目を見開いて私のからだを直視しています。
(見ないでぇ)彼の存在など、まったく気にかけていない素振りを続けます。
(恥ずかしいよぅ)バレッタの位置が定まらず、そのまま何度も留め直すふりをしました。
(ああん)彼の目線が、私の股を見据えています。
(イヤあ)もともとあまり濃くないヘアが、生乾きに逆立っていました。
きっと、縦の割れ目が見えてしまっています。
(恥ずかしい)羞恥心でいっぱいでした。
男の子の前で全裸でいる恥ずかしい私・・・そんな自分にどきどきして、昂ぶりを抑えられません。
(もっと。もっと恥ずかしく)ひざががくがく震えそうになります。
(私のこと見てて)無表情のまま、首を横に傾けました。
片足立ちになった私は、(ああん、見てて)頭を横にしたまま、その場でとんとんとん・・・耳に水が入っているふりをして、軽く跳ねてみせます。

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