車内露出(2)

2018/04/05

香織とドアの間には禿げ頭の男の体があるだけだった。
しかも禿げ頭の男の体は香織を半分しか隠していない。
スカートを捲り上げられた香織の姿は半分だけとはいえ、電車に乗ろうとしているホームの乗客にはっきりと見えてしまうのだ。
香織は再び抵抗を始めた。
電車のスピードはみるみる落ちていく。
残された時間はあとわずかしか無かった。
痴漢達は急に抵抗を再開した香織に驚いて手を止めたが、それも一瞬のことだった。
スカートの裾を掴んで押し下げようとする香織の手を懸命に阻止しようとする。
(早くしないと!、時間が無いわ。)焦る香織の手首が左右の男達の手に掴まれた。
香織はなりふり構わず抵抗したが、再び手を背中に押し付けられてしまう。
不意に背後の男が香織のスーツの上着を肩から引き剥がすように脱がせた。
上着はボタン を留めてあったため完全には脱げ落ちず背中で香織の腕に絡んでしまった。
(あ!) 香織は腕を動かそうともがいた。
…が、絡みついた上着が邪魔をしてまるで思うようになら ない。
いっそ上着から腕を抜いてしまおうとしたが、満員電車の中では体が思うように動か せず、剥き出しにされた白く美しい肩がむなしく揺れるだけだった。
慌てる香織の背中を、 一筋やけに冷たい汗が流れ落ちて行く。
電車はいよいよホームに入り、香織の焦りは頂点に達した。
(ああ、どうしよう。このままじゃ見られてしまう…。) 香織の激しい動揺をよそに、左右から伸びた手がずり下がったスカートを再びたくし上げパ ンティを剥き出しにした。
香織はなおも腕を上着から引きぬこうと懸命にもがいたが、背後の男は冷酷にも、ずり落ちて手首のあたりに引っ掛かっていたショルダーバッグのストラップで香織の両手首をぐ るぐる巻きにして完全に固定してしまった。
香織は絶望感に打ちのめされた。
もはや香織にはどうすることも出来ない、ただ恥辱にま みれるその瞬間をじっと待つしかないのだ。
電車がゆっくりと停止した。
香織はすっかり観念して顔を俯ける。
頬が真っ赤に染まって いるのが自分でも良く分かる。
プシュッ!という音とともにドアが開いていく。
香織にとっては幸運なことに、ホームに は若い男女二人の乗客がいるだけだった。
香織は少しだけ安堵した。
パンティを剥き出しに した無様な姿を見られてしまうのは屈辱だったが、見られる人数が少なければその屈辱感も小さくて済む。
左右の二人の痴漢が香織のスカートから手を離し、電車を降りようとした。
痴漢達の手が離れたスカートは支えを失ってゆっくりと下がっていく。
香織は男達の行動を不審に思いな がらもホッとした。
どうやらこの二人はここが降りる駅だったようだ。
だが痴漢達は香織が考えているよりも遥かにずる賢く悪辣だった。
左右の男に押されて、 道を譲るため禿げ頭が一旦ホームへ降りると、背後の眼鏡の男が香織のスカートを盛大に捲り上げた。
(嫌っ!!) 香織は心の中で叫んだ。
完全に油断していたためそのショックは並外れて大きく、まるで後 頭部をハンマーで殴られたような衝撃を感じるほどだった。
香織の白いハイレグパンティが完全に露出した。
左右の男達はホームへ降りても、出口へは向かわず香織の方を振り返った。
(な、なんてことを…) 香織は男達の情け容赦の無い行動に驚愕した。
このいやらしい痴漢達は香織のハイレグパン ティを見るためにホームへ降りたのだ。
しかも降りることによって禿げ頭の男を香織の前か らどかし、その屈辱的な姿を完全に晒すことまで計算していた。
ホームに立った五人の視線が一斉に香織の体に集まった。
香織は強烈な恥ずかしさに俯け ていた顔を横へ逸らす。
あまりに酷い仕打ちに体が震え、涙が溢れそうになる。
一瞬、電車とホームの間に異様な空気が流れた。
香織はほんの数秒の時間を永遠のように感じながらパンティを丸出しにして立ち尽くした。
再び二人の痴漢が香織の両脇に戻って来た。
若い男女は香織の近くを避けて電車に乗った ようだったが、香織には顔を上げて確認する勇気など無かった。
そして…、 禿げ頭の男が香織と向かい合う形で電車に乗り込んできた。
背が低いため、ヒールを履い た香織の胸のあたりにちょうど男の顔があった。
その表情はだらしなくにやけている。
恐ら く香織の姿を見て全てを理解したのだろう。
香織はさらにもう一人、自分を嬲り者にする悪 魔が増えたことを悟った。
電車が動き始めて男達の愛撫が始まると、香織の体を微かな甘い感覚が走り抜けた。
(まさか…そんな。) 香織は愕然とした。
嫌悪感は依然として激しく香織を責め苛んでいる。
しかしおぞましい感 覚の中に性感の微かな揺らめきが確かに紛れこんでいるのが分かった。
屈辱的な姿を晒した ことによる激しい羞恥心が香織の性感を狂わせてしまったのかもしれなかった。
香織はしだいに燃え上っていく自分の体が信じられず、汚らわしい痴漢の愛撫に感じてし まうことに恐怖した。
左右から伸びた手は香織のパンティの膨らみを代わる代わる撫で上げ、背後から伸びた手がバストを捏ねまわしていく。
禿げ頭はその胸の谷間に顔を埋め、両手で香織のヒップを撫で回す。
香織はその愛撫のひとつひとつが性感に火を灯していくのをただ黙って見ているし かなかった。
(もう、やめて…) 香織は弱々しく心の中で抵抗したが、四人の男に纏わりつかれて一時も休むことなく性感を刺激され、次第に息を荒くしていく。
眼鏡の手が香織の胸から離れた。
替わって禿げ頭の手が香織のバストに伸びてくる。
香織は滅茶苦茶に揉み上げられる自分の胸元を見下ろしながら動揺した。
バストは痛みや嫌悪感の中にはっきりと痺れるような熱いざわめきを感じ取り、次第に張りを増し始めていた。
(そんなに激しくしないで…) 香織は禿げ頭の遠慮の無い玩弄を恐れた。
愛撫が激しければ激しいほど体中に染み渡る快感も大きくなってしまうからだ。
香織はなんとか女としての反応を悟られまいと男達の蹂躙に耐え続けた。
突然、しばらくなりを潜めていた背後の眼鏡が、ワンピースの背中のファスナーを下げ始めた。
(まさか、そんな…) 香織はその意図を察して愕然となった。
満員電車の中で香織のバストを露出させるつもりな のだ。
刻一刻と高まっていた官能の波が一瞬にして引き、かわりに羞恥心と恐怖が香織に襲いかかった。
一斉に噴き出した汗が背中や脇を伝い落ちていくのが分かる。
「やめて…、バカなことはよして。」 香織は男達だけに聞こえるぐらいの小さな声で囁いた。
だが、香織の願いが聞き入れられる はずもない。
ドアの間際で痴漢達に取り囲まれた状態では、他の乗客に見られることはほと んど無いが、それでも電車の車内で胸をはだけるという異常な事態に、香織の心は恐れおの のいた。
ファスナーが腰のあたりまで下ろしきられると、眼鏡の手が肩紐にかかる。
香織は心臓が破裂してしまいそうな程の緊張感に震え上がる。
男の手はワンピースになったインナーのス トラップをゆっくりと外した。
そのまま香織の細い腕に沿ってストラップを引き下ろしてい く。
いつの間にか周りの痴漢達の愛撫が止んでいた。
彼らは香織の豊かな胸が白日のもとに晒される瞬間を見逃すまいと香織の体を貪るのを止め、脱がされていく様子をじっと見守って いた。
香織はストラップレスのブラジャーをしていた。
そのためワンピースの肩紐が無くなると、たちまち白くなだらかな肩がすべて露わになる。
男達のギラギラした視線が、剥き出しにさ れた肌に容赦無く突き刺さった。
(嫌っ!、やめて)なんとか抵抗しようとするがまるで身動きが取れず、ワンピースは今や香織の胸に辛うじて引っ掛かっている状態だった。
背後から伸びた手が、あくまでゆっくりとワンピースの胸元を摘んだ。
眼鏡の男はまるで壊れ物を扱うように慎重に胸から生地を剥がしていく。
三人の男が固唾を飲んで見守る中で行われるその行為は、まるで何か厳かな儀式が執り行われているようであった。
(あ、駄目…) 香織は純白のブラジャーが剥き出されるのを、恥辱に震えながらただ黙って見ているしか無かった。
禿げ頭の男が香織の胸のすぐ目の前という特等席で、露わにされていくブラジャ ーを至近距離から食い入るように見つめている。
両側の男達も首を突き出し、涎を垂らさん ばかりに香織の胸を覗き込んでいた。
香織のブラに包まれた形の良いバストが完全に姿を現すと、男達の口から次々にため息が洩れた。
香織は恥ずかしさに真っ赤になった顔を背け、襲いかかる屈辱に耐えた。
次には今とは比べ物にならないほどの羞恥に耐えなければならないのだ。
だが、ふと気が付くと香織の胸はどういう訳か恥辱にまみれながらも不思議と疼くような昂ぶりを覚えていた。
(……変だ、わたし…まさか期待しているの?、こんな酷いことされて…昂奮してるの?) 香織は自分の不可解な心の動きにひどく動揺してしまった。
男達の放つ熱気が香織の理性を狂わせ、突き刺すような視線が徐々に性感を刺激していく。
高まる男達の期待感の中で、いよいよブラジャーの背中のホックが外された。
押さえつけ られていたバストが開放される感触に、香織の胸の疼きはさらに大きくなり、甘い戦慄が体 中を駆け巡る。
眼鏡の男の手は香織の体の前にまわると、手の平でそっとブラのカップを包み込んだ。
香 織は強烈な羞恥心に苛まれながらも背けていた顔を戻すと、何かに吸い寄せられるように胸 元へ目を落とした。
(ああ、とうとう胸を直接見られてしまう…) 満員電車の中でバストを剥き出しにするという異常な行為に、沸きあがってくるのが羞恥心なのか昂奮なのか、香織にはもう分か…

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