左曲がり
2017/11/27
久しぶりにユウくんを見かけたから、声を掛けてみたんだけど、ユウくんったら「あ、久しぶり…」って引きつった笑顔見せて、帰ろうとすんのね。1回した仲のくせに。
まあ、避けてる理由は分かってるんだけど、長くなるから割愛。
早い話が、ユウくんの彼女が前の彼と会ってるとか、私がユウくんを誘ってシちゃったりしたこととか、全部ぶちまける機会があって、その原因の一端が私にあるからなんだけどね。
もちろん反省はしていない。
別れるのも惜しいので、とりあえず「彼女とうまくいってる?」って訊いたら、
「ダメかもしれないねぇ」と遠い目をして答えた。
そういや、会ったときからこの人こんな感じだったな。人のせいにすることができなくて、すぐ自分を責めちゃうようなタイプ。
なんとなく、いとおしくなって「じゃあ、彼女とうまくいく方法考えようか」って言って、部屋へ連れてきた。
「ベッドしかないけど、そこ座ってビールでも飲んでてよ、つまみ作るから」
「いいよ、悪いよ」
ユウくんはキッチンまで来ようとしたけれど、私は強引に座らせた。
ジャケットを脱いで、チューブトップだけになって、下も短パンに着替えて(もちろん洗面所で)、普段はしないけれど、エプロンまでしてみた。
この格好、前から見ると裸エプロンみたいに見えるのね。
でも私、胸ないから谷間は見えないけど。
ちゃっちゃかちゃっちゃか料理を作り、ちっちゃいテーブルに、エノキとシメジのホイル焼き、ナスと豚肉の辛みそ炒め、豆腐のミョウガ添え(コレは手抜き)を並べて、
「すごいね」
と褒められつつ(まいったかコノヤロ)
「でも、和洋中ごちゃ混ぜのところが、おかあちゃんの夕食みたいだね」
とか言われつつ(ほっとけコノヤロ)
ユウくんの隣に腰を掛けて、ビールで乾杯して、とりあえず雑談なんかしてみた。
なるべくユウくんの方に体を向けて、裸エプロンに見えるようにしながら。
雑談の内容で、ユウくんはまだ彼女のことが好きなことが分かった。でも「彼女が元彼と寄りを戻して幸せになるならそれでもいい」とも言った。ただ最後まで見届けたいらしい。
というか、ちっとも裸エプロン(仮性)に食いついてこないのはどういうわけだ。チラ見もしないし。
「みんな仲良くできるといいのにね」
と私はオバカな振りして言ったら、鼻で笑いやがった。
「あ、なんで笑うの? そのほうがいいじゃん」
「いや、無理だよ」
ユウくんは力なく笑う。
「え、なんで?なんで?できるよ」
と私は天然を装って言ってみたけれど、ユウくんは何も答えなかった。
そりゃ、みんな仲良くなるのは無理だ。私にも分かる。なるにしても時間がまだ足りない。
体だけなら簡単なんだけど、心は簡単にひとつにならない。
相変わらず普通の会話は苦手だ。
「ねえ、ゆうくんは他の人としたいと思わないの?」
「いや、もうそういうのはしない」
あ、つまんねぇ。食いついてこないのか。この格好じゃだめなのか。それとも何か、やっぱ谷間か。谷間がないからか。男はやっぱおっぱい好きか。おっぱいがすべてか。このおっぱい星人めが!
「じゃあオレそろそろ――」
「あ、食器洗ってくるね」
「あ、オレ洗うよ」
「いいから、座ってて」
ユウくんが帰ろうとするので、強引に座らせ、私は食器を持ってキッチンに向かった。
食器を洗いながら、このあとどうしようか考えた。
最初はからかうだけのつもりだったけど、やっぱやっちゃおう、うん。
私、前ユウくんとやったときを思い出して、すごく興奮してた。たぶん今日会ったときから。
だから私、食器を片付け終わったら、着てる服を全部脱いだ。
裸なって、駆け足で部屋に戻って、ユウくんの前でバンザイの格好で立ちふさがる。
「マンコマンとーじょー!!」
…あれ?
ゆうくん何も言わない。
きょとんとしてる。
クスリともしない。
やべぇ、すべったか?
見詰め合う私とゆうくん。
沈黙が広がる。
ホントにやばい、恥ずかしくなってきた。
顔が赤くなるのが分かる。
たまらず私は、電気を消して、ユウくんをベッドに押し倒した。
「えっ、ちょっと――んっ」
何か言おうとするユウくんの口を強引に塞ぎ、舌を捻じ込む。
ぷはっと息継ぎをするとシャツのボタンを急いで外しにかかる。
上から順番にボタンを外して、一番下のボタンを外し終わっ…
たかと思うと、ユウくん上から順番にまた付け始めてる。
ちょっと何やってんのユウくん!!
私は、ユウくんの両腕を取ってバンザイの格好で押し付けた。
「ミオちゃん、やめよ。ねえ、ほらオレ彼女いるし…」
もう男の人ってめんどくさい、とりあえずセックスする大義名分が欲しいのね。えっと、どうしよう、考えろ私。
「マンコマンはオチンチンを食べないと死んでしまうのだ!!」
違うね、うん。
何言ってんだ私。
ごまかすために私はユウくんのシャツを捲り上げて、乳首に吸い付く。
「あふっ」
何だか知らないけど、ユウくんの抵抗がなくなった。ええ!?あのセリフが効いたの?
わかんないけど、今のうちに、シャツのボタンを外して前をはだけさせ、ついでにズボンのベルトとボタンを外し、下着の上からペニスを触る。
「ユウくん勃起してるよ」
私は必殺上目遣いでユウ君を見る。
「ミオちゃん…目がおっさんになってるよ」
なんだと!ゴラァ!
おっさんと思うならおっさんで結構!
私はへっへっと下卑た笑いを装いながら、強引にユウくんのズボンを下着と一緒に剥ぎ取る。
勃起したペニスが飛び出した。
片手で握り、擦り始める。
どんどん隆起していく。
「ユウくん、どんどん硬くなってるよ。興奮してんじゃないの?」
「べっ別に興奮してるわけじゃ…ただの生理現象なんだから」
なんです?そのツンデレなセリフは?ワザと?
私はなんだかハイになっちゃって、ユウくんに跨り、ペニスを頬張る。(要はただのシックスナインなんだから!)
私は亀頭を舌で絡めたり、カリ首のところをなぞってみたり、深く咥えたりして、ペニスを弄り倒す。ユウくんは吐息を漏らして、私の足首を握る手に力が入る。かわいいな。ユウくんは。
ペニスの先から、明らかに私の唾液じゃない汁が出てきている。
おしっこ?
そんなわけないよね、うん。
「ユウくん、何か出てきたよ、何かなぁコレ」
私は亀頭の先をつんつんして、そのねばねばした液体を指先で伸ばしてみる。
そのとき、ぐいっと太腿が引っ張られた。
ずりっと私の体がユウくんの上をすべり、目の前のペニスが遠ざかる。
えっ?
私のアソコに何かが触れる。
「ひゃん!」
ユウくんが、私のを舐めた。
舌が私の敏感な突起に触れて、思わず体がびくっとなる。
「ちょっと待って、ユウくん、ちょっと、やっ」
私、ハイになって忘れてたんだけど、そういや、舐めるの好きでも、舐められるの苦手だった。
いや、アレは気持ちがいいんだけど、もうちょっとお互いが慣れてからっていうか、少なくとも、セックス2回目でやるもんじゃないっていうか、そういうのがあって、私、セックスに対してはリベラルな方だと思うんだけど(リベラルの使い方合ってる?)、なんかそれだけは、つまり分かりやすく言うと、
恥ずかしい。
やめて、ユウくん。
ごめん。
「マジで、んっ、やめて、ユウくん、やだっ、あっ」
両手でお尻をぐいっと広げられて、小刻みに舌で刺激される。やだ気持ちいい。自分でもどんどん溢れてくるのが分かる。ユウくん苦しくないのかな。
「やんっ、ユウ、くんっ、私ので、窒息、はんっ、しちゃうよ」
何馬鹿なこと言ってんだろ。
ユウくんは私の体を持ち上げると這い出てきて、うつ伏せの私のお尻を高く持ち上げた。
私は肘を突いた四這いの格好で再び攻められる。指で敏感な突起を弄繰り回されたかと思うと、膣をかき回される。時には繊細に、時には乱暴に。私のアソコはユウくんの指を求めてヒクついて纏わりつく。このコこんなテク持ってたの?
「あぁ、そこは違う穴だよぉ」
指はクリトリスを刺激しながら、舌がアナルに触れる。ちょ、マジやめて、恥ずかしい。
耳の先が熱くなってるのが分かる。
でも、熱いのは恥ずかしいだけじゃない。
「やぁぁぁん、気持ち、いいよぉ」
もう、なんでもいい。好きにして。
私の体はびくんびくんと振るえ、指先まで力が入り、貧血の時のようにくらくらとして、もう、ユウくん!ユウくん!いっちゃうんだからぁぁぁぁ!
私はぐったりして、うつ伏せのままベッドに倒れこんだ。
気がつくと、ユウくんは立ち上がってベッドから降り、パンツを履こうとしていた。
ちょっと待って、やめちゃうの?
私は足を通したパンツに手を伸ばしてユウくんの動作をとめる。
「ちょっと、どこ行くの?」
「いや、帰るよ。もういいでしょ」
「まだしてない」
「1回逝ったでしょ、もうしたことでいいじゃん」
「まだ入ってない、ユウくん逝ってない」
「別に挿入だけがセックスじゃないし、男が逝く回数でシた回数を決めなくてもいいでしょ、ミオちゃんには自由なセックス感を持って欲しいな」
なんなの、そのフェミニズムぶったセリフ。
「私まだ逝ってない。あんなの演技なんだからね」
嘘だけど。
「やっぱ、まずいよこういうの」
この後におよんで、まだそんなこと言うか。
「私そんなに魅力ない?胸のない子は嫌い?」
「そんなことないよ」
「絶対そうだよ。ユウくんの彼女、巨乳さんだもん、ユウくん巨乳好きでしょ」
ユウくんは私から目を逸らした。
「…違うよ…