世界で一番愛しい人(7)
2019/11/04
夏休みが明けてから、どうも真雪の様子がおかしい気がする。
以前から真雪は反応が鈍いと言うか、大分マイペースなところがあった。しかし、今の真雪は以前に輪をかけて鈍い。夏休みが明けてから、どうも真雪の様子がおかしい気がする。
以前から真雪は反応が鈍いと言うか、大分マイペースなところがあった。しかし、今の真雪は以前に輪をかけて鈍い。
おかしい所はそれだけではない。俺もなんと言えばいいのか迷うのだけど、そう、色気が出てきたのだ。
真雪は決して男の欲情を誘う体格をしてはいない。たしかに顔が整ってはいるが、女性として出るべきところがまったくと言っていいほど出ていなかった。その上腰は括れて線が細いものだから、むしろ貧弱な印象すらある。
とろんと潤んだ目はその場で押し倒したくなるし、今まで真雪にはなかった香りには不覚にも勃起してしまった。後姿は今までと変わりない筈なのに、自然と目が腰や尻に向いてしまう。
真雪と随分ご無沙汰だったのと、練習が辛くて一度もオナニーできなかったのとの二重の効果だろう。少なくとも俺はそうやって自分を納得させた。じゃなければ、俺はあまりにも不埒すぎる。
やはり時を見計らって、真雪をもう一度家に誘おう。それだけを目的にしているようで気が引けるけど、正直結構限界なのだ。彼女がいるのに一人さびしく、というのもむなしすぎる。
盛ったサルのような頭の悪い事を考えながら帰っていると、家の前に真雪が立っているのが見えた。大会明けなので流石に練習の切り上げは早くなったけど、だからと言って女の子が一人で外に出ていい時間じゃない。
「おい真雪、どうしたんだよ?」
「あ、修ちゃん」
俺の心配を他所に、相変わらずののほほんとした返事が返ってくる。危機感も何もない様子に、内心ため息をついた。
真雪に近づいていくと、ふわりと香りが漂ってきて思わず立ち止まる。ひと夏ですっかり変わった少女の匂いに、おもわず興奮して勃起しそうになってしまったのだ。
「どうしたの?」
「あー、いや、なんでもないんだ」
小首を傾げる真雪に、思わず顔を赤らめる。顔を背けるわけにもいかず、こっそりと顔から視線を外す。
そうしたら、ふと真雪の首にチョーカーが巻いてあるのに気がついた。深い赤色のそれは、恐らくおしゃれにつけたものだろう。妙に真雪にあっていた。
いつごろからつけたのかも分からない自分に、呆れるしかなかった。おかげで気の利いた事の一つもいえなかったのだから。
「修ちゃん、じゃなくて。こんな時間に出歩いちゃダメだろ」
「ごめんね。これだけ渡しておこうと思ったんだ」
バッグから取り出されたのは、一枚のDVDだった。ケースは透明で、ディスク自体も白塗りの特徴がないもの。俺は良く知らないが、自分で中身を入れるタイプだったと思う。
真雪は確か機械に疎かったはずだ。夏休み中に覚えたのか、それとも誰かに用意してもらったのか。
「これ、すぐに修ちゃんに見てほしくて。じゃあわたしはもう帰るね。あ、わたしはずっと家にいるから!」
「え? あ、おい! 真雪!」
俺の制止を聞かずに、真雪は小走りで帰ってしまう。家にいるから何なのかも聞けなかった。走ればすぐに追いつくが、そこまでして聞きたいことでもない。
訳が分からない真雪の行動にため息をつき、なんとなくDVDを見る。一体この中に何が入っているんだろうか。
「……あ、誘い忘れた」
せっかく会ったのに、重要な事を忘れていた。どこか間の抜けた自分の行動に呆れる。
とりあえず風呂に入って体を流し、食事をした後部屋に戻った。真雪から渡されたDVDをセットして、早速再生する。
正直、俺はその内容をたいしたものではないだろうと思っていた。それが大きな間違いだとすぐに知る。
液晶の奥では、俺の良く知った少女が犯されていた。
可愛らしい子供のような下着だけを着て、はしたなく絶叫しながら、兄貴の上で踊っている。
これで犯しているのが兄貴以外の誰かだったら、まだ自分を無理やり落ち着かせる余地があったかもしれない。しかし、犯し犯されている二人はどちらも俺が良く知る人物なのだ。
顔面が真っ青になる。訳が分からない。なんでいきなりこれほど非日常的な光景が映し出されているのだろうか。
しかもだ。
『ぅおおっ!? すげえ気持ちよくなりやがった! 真雪、奴隷アナル最高だぞ!』
『うれ、しいぃ……。かずやひゃまぁ……ありがとう、ごじゃいまふぅ』
兄貴は真雪を奴隷と呼び、真雪はそれを喜んでいる。兄貴を様付けして、本当の奴隷にしか見えない。
よく見れば、真雪が犯されているのも本来入るべき場所でない。排泄口をぎちぎちに広げられているのに、喜んで自分から上下している。
しかも、変態的な行為をしているにもかかわらず、さらに自慰までし始めた。子供のようなマンコをぐちゅぐちゅにかき回し、胸も自分で弄る。俺が想像すらしたことがないほど淫らな顔で、行為にふけっている。
兄貴は何もしていない。ただにやにや笑いながら、真雪がするのを見ているだけだ。つまり、真雪は自分からこの変態的な行為を行っている事になる。
『真雪、修二にお別れを告げな』
何を言っている、ふざけるな。そう叫びたかったが、俺の喉はからからに渇いてうめき声一つでない。
『んぁぁ、しゅうちゃん、ごめんね? だいすき、だったけど、ひゃぁん! 和也様と、おちんちんのほうがぁ、好きになっちゃったのぉ、ふぁぁん! これからのまゆきはどれいだからぁ、しゅうちゃんもういらないのぉ』
明らかな決別の言葉だった。真雪との思い出ががらがらと崩れ始め、最悪の絶望が競りあがってくる。
なぜこんな事になった。俺は何を間違えた。なんで兄貴が真雪と一緒にいる。
裏ビデオも真っ青の映像を見ながらも、俺の心と体は冷え切っていた。自分の大好きな恋人が主演の、それも奴隷として扱われそれに喜んでいる映像を見て嬉しいはずがない。
真雪が排泄穴を犯されながら尿を漏らし、恍惚とした表情をしている。誰か、あれは真雪以外の誰かだと言ってくれ。
俺の愛しい人はぐちゃぐちゃにされながら、恋人ではない人と恋人のようにキスをする。俺とだってあんなに濃厚なキスはしなかった。
セックスが終わると、兄貴から真雪にチョーカーが渡された。深い赤色の、今日真雪がつけていた物と同じ。
「やめ……ろ。やめてくれぇ……」
決して届かないと分かっていても、言わずにはいられなかった。俺にはそれしかできないのだから。
届くはずのない言葉がいとも簡単に無視され、真雪は欠片も迷わずにチョーカーを付ける。
『よろしくお願いします、ご主人様ぁ』
甘えるような口調で、綺麗な唇が囁いた。
こんなのは嘘だ。必死に自分に唱える。俺はまだ、真雪は以前の純真な少女だと信じたいんだ。
兄貴が結婚指輪と腐れた物言いで、小さなリングを取り出す。それがクリトリスにはめられれば二度と取れない、という説明をされても、真雪は喜んで受け入れるばかりだ。
チンポが排泄穴から抜き出され、真雪の小さなマンコに収まる。愛も何もない、酷く簡単で現実感に薄い光景。しかし、二人は性器同士で明らかに繋がっていた。
せめてそこだけは、俺の思いをあざ笑うかのように真雪が奪われていく。
『あんだけとろとろにしてやったんだ。もうここも入る。しっかり開けよ』
『ふ、ふう、ふううぅぅ、は、い』
それだけではない。真雪の体を無理やり押し込んで、さらにチンポを埋めようとしている。
ずるりと真雪の体が落ちて、チンポがすべて埋まる。あれがどこまで入っているかなど、想像したくない。ただ、腹の中心がぼっこりと膨れ上がった真雪が哀れでならなかった。
『ふ、ぅあ……。まゆきは、和也様の性奴隷になることを誓いますぅ。修ちゃんの事を忘れて、ずっとマンコ濡らしていつでも入れられる、変態ペットとなります』
変態以外の何者でもない宣言をして、二度と取れない奴隷の刻印をはめられる。
兄貴が犯しぬいて真雪は受け入れ続ける、映像の残りはそれだけで埋められていた。俺は涙を流しながら、変わってしまった少女を見続けることしかできない。
頼むから、少しでも嫌がる様子を見せてくれ。そう思いながら映像を見たのに、ついに真雪は歓喜以外の感情を表すことはなかった。
『真雪、奴隷になれてよかっただろ』
『あぁ……はい、奴隷、最高です』
目の前で二人の、主従の近いのキスが行われる。ぴちゃぴちゃと音が立つほど濃厚なキスをしながら、兄貴の視線がカメラに向いた。
真雪を犯した悪魔の目は、笑っていた。
この目は俺に向けられた目だ。真雪が犯されるところをこうして見せ付けられ、絶望に泣いている俺を嘲笑うためにわざわざ向けられたんだ。
画面がブラックアウトする。それと同時に、俺の拳は画面に叩きつけられていた。完全に割れて二度と動かなくなったそれを無視し、怒りに震えて立ち上がる。
怒りで脳が焼き切れそうになる。視界が真っ赤にそまり、何も考えられない。
家をすぐに飛び出て、全力で真雪の家に向かった。
「真雪! おい真雪ぃ!」
骨折するのではないかという勢いで、扉を叩いた。中から反応はない。
ドアノブを破壊するつもりで回すと、あっさりと扉が開いた。鍵なんて最初からかかってなかったのだ。暗い家の中を走って、真雪の部屋に突撃する。
真雪は、何もなかったかのように自然体で部屋の中心に立っていた。
「そろそろ来ると思ってたよ」
「ふざ……っ!」
俺に何も言わせないうちに、真雪は背中に隠していたスプレーを発射した。思い切りそれを吸い込んでしまい、何度もせきをする。そのたびにまた煙をすってしまい、ついに床に倒れた。
「ゲヒッ……ゴフッ……おい……!?」
いきなり攻撃してきた真雪に怒りを覚え立ち上がろうとしたところで、体が上手く動かない事に気がつく。スプレーに何か仕込まれていた、そう気づいたときには既に遅く、俺は立ち上がる事すらできなくなっていた。
「ふふ……修ちゃんって本当に鈍感だよね」
「ふざけるなよ真雪! これは……あれは何なんだ!」
「だって……」
俺の言葉を無視して、真雪が服を脱ぎだす。その内側の姿に、俺は絶句するしかなかった。
俺はまだ、心のどこかであれは真雪ではない、少し確認すればまた元通りだと思っていた。それが今、もろくも崩れ去る。
真雪の裸体が、俺の瞳に映し出される。しかし、それはただ裸になっただけではない。
白い肌の上には下着を着ておらず、代わりに荒縄が絞められていた。少女の少ない色気を搾り出すように淫靡に、ぎりぎりと体に食い込んでいる。さらに下半身には前後にバイブが収められており、縄で固定され震えていた。
股からだらだらとはしたなく蜜を漏らし、内ももを化粧している。俺を見下ろす真雪の表情は、渡されたDVDで何度も見たかつての面影のない淫靡なものになっている。
「わたし、この格好で修ちゃんと会ったのに、ぜんぜん気づかないんだもん」
ぱっくりと割れた陰部に挿入されているものは、自分のチンポよりも遥かに大きかった。そんなものを前後に二本くわえ込めて、しかも感じる事ができるようになってしまった真雪に驚愕する。
「修ちゃんも見たでしょ? わたしがご主人様のおちんちんと結婚したところ。これがその証なの。修ちゃんがサッカーなんかやってるから、わたしの心も体も全部ご主人様のものになっちゃったんだよ」
荒縄をぐいと広げて、隠れていた恥丘を開く。そこには、映像にあったリングが淫液に濡れて輝いていた。
「なんで……なんでだよぉ。俺が、悪かったのか?」
「んー、よくわかんない。でも修ちゃんはぜんぜんダメで、和也様はすごかったのぉ」
「うぅ……うぐ……くそぉ……! 何で……俺は……」
兄貴を盲目的に受け入れている真雪を見て、俺は泣くことしかできなかった。
扉が開き、誰かが入ってくる。誰かかを考えるまでもない、俺の情けない感情は一瞬で吹き飛び、代わりに殺意が限界まで溢れてくる。
「クソ、テメェェェ!」
「うるせぇよ」
俺の鳩尾につま先がめり込んだ。体が動かない今では防御どころか筋肉を絞める事すら難しく、あっさりと呼吸を奪われてむせる事しかできなくなる。
「ちっと考えりゃ分かるだろうに、あっさりと罠にはまりやがった。本当に馬鹿だな、お前。そんなんだからこいつを取られるんだよ」
「あん」
兄貴は真雪に後ろから抱きつくと、胸やマンコを愛撫する。真雪はまったく嫌がらずに、ただ甘い声をあげていた。あまりに惨めな真雪の状態なのに、俺は目を背けることしかできない。
「おいおい、ちゃんと見てやれよ。お前が玉遊びで楽しく遊んでる間に、愛しの真雪ちゃんがどうなったか見せてやってるんだろうが」
「あん、ひゃあぁん……ご主人様ぁ……。まゆき、もう我慢できないですぅ」
「ずっと入れっぱなしだったもんな。ほら、俺のを立たせてみな。そしたら犯してやるよ」
「はぁい。まゆきのお口で、ご主人様のおちんちんにご奉仕させていただきます」
「な……ふざ……!」
まるで真雪を物か何かのように言う兄貴をにらめつけようとする。しかし視界に写ったのは最低の男の顔ではなく、恥知らずな真雪の尻だった。
真雪は兄貴のチンポを旨そうにくわえ込んで、尻をふりふりと振っている。二穴とも大きく開き赤く充血し、荒縄で彩られると言う幼い陰部に不釣合いな姿を見せていた。
「真雪、そんなに尻を振ってると愛しの修ちゃんの目が離せなくなるぞ」
「んんっ……ちゅぶうぅ。別に愛しくないです。まゆきが愛しいのは、ご主人様だけですぅ」
ちゅぶちゅぶと音がするほど吸い付いていた口を離し、信じられない事を言う真雪。自分の涎でべちゃべちゃのチンポに擦りついている。
「可愛いペットだ」
「ありがとうございます。ちゅぅ……れろ」
犬か何かのように真雪の頭を撫で、信じられない事に真雪は喜ぶ。怒りで熱が這い上がり、ゲヒゲヒとせきをしながらも言葉を吐かずにはいられなかった。
「ふざ、けるな! まゆきは、ものじゃ、ないんだ!」
「あの坊やはあんな事言ってるが、お前はどうなんだ、真雪。奴隷やめて人間に戻るか」
「んふぅ……いやです、まゆき、ご主人様の奴隷がいいです……ちゅっ」
「だってよ。残念だったな。いや、いっそこいつの奴隷にでもなってみるか?」
「そんなのいやですっ! 修ちゃん、痛いしすぐ射精しちゃうんだもん。和也様の奴隷がいいの」
「くっくっくっ! そういう事だ、早漏修ちゃん。ヘタクソなお前じゃご主人様になれないとよ」
全く別人になってしまった真雪の考えに、涙を流さずにはいられない。たとえもっとも惨めな姿を晒したとしても、そうやって真雪のあさましい姿を哀れむしかなかった。
目の前にいる少女のどこに、以前の真雪があったというのだろう。俺が好きになった真雪は、一体どこに行ってしまったんだ。
「真雪……愛して……いたのに……。なんで、こんな事に……」
「はぁ? まだそんな事言ってんのかお前。本当に救えないバカだな」
「なん……だとぉ!」
最低の人間が俺を哀れむように見ている。ふざけるな、お前にそんな目で見られるいわれはない。
「お前、愛してますーってそれっきりで何もしてないだろうが。それで終わりなら誰も苦労しねぇよ。好きなら好きなりに努力するところがあるだろうが。それを自分が楽しむだけで後は放置してるから、俺が美味しく貰ったんだよ」
「詭弁、だろうが!」
「お前がきっちり満足させてやれてれば、俺が付け入る隙なんてなかったんだよバカ。それに俺も愛してるぜ、奴隷としてだがな。それで、きっちり奴隷として満足させてやったんだ。その姿は、今バカの前に見えてるだろう」
真雪の尻はまだ俺に淫靡な姿を見せている。少女の柔肉が動くたびにぐにぐにと動いて、むせ返るほどの淫臭を放っている。
こんなものが、真雪が満足している姿だと言うのか。ただ淫欲に溺れているだけじゃないか。
「勝手にほえてりゃいいさ。どうせもう手遅れなんだからな。お前はただの負け犬なんだよ」
クソ野郎が真雪を立たせ、尻に入っていたバイブを抜き取る。その拍子に、あん、と真雪の期待が混ざった声が上がる。
そそり立ったそれは、俺のものよりも遥かに大きく長い。そんなものが、いとも簡単に真雪に進入した。あの映像のように、しかし映像のものよりも遥かに過激な姿で晒されている。
「んあぁぁぁ! おしりぃ、しゅごいいぃぃぃ! ごしゅじんさまああぁぁぁ、あああぁぁぁぁぁ!」
どれほど過激な事をされれば、人はここまで変わるのだろうか。真雪の尻は淫乱さを増して、勃起したものをきつく締め付けている。
俺がもっとちゃんとしていれば、真雪はこんな目にあわずにすんだのに。そう思わずにはいられない。
「ほら、まだ分かってないバカに言ってやれ! お前は誰のものかをな!」
「んんんっ! まゆきは、かずやさまのものなの! んひゅうぅ! おちんちんとけっこんして、ずっとしあわせにどれいするのぉ! しゅうちゃんなんて、もうしらない!」
「よし、いい奴隷はずっと犯してやるからな!」
「んああぁぁぁ! うれしいぃぃぃ! しゅごいのぉぉっぉ! ふわぁ、んっ、きゅうぅぅぅぅ!」
荒縄で体を縛られても、変態的な行為で犯されても、奴隷として扱われても。それが兄貴であるなら真雪は全て喜んだ。
俺に愛液が飛び散るほど近くで見せ付けても、嫌がるそぶりは見せない。いや、むしろ見られる事を喜んでいるふしさえある。
真雪の美しい裸体は何も変わっていないのに、中身が丸ごと入れ替えられたかのようだ。いや、事実入れ替えられたのだろう。俺からあの悪魔を愛するように。どんな行為でも喜んで受け入れるように。
少女の姿は美しいと言う言葉を保ったまま、淫靡さも手に入れていた。こんな状態の俺が、勃起してしまうほどに。
「ほら、そろそろイっていいぞ。新しいお前の姿を見せてやれ」
兄貴は言いながら、手の中にあるリモコンのようなものを操作した。同時に真雪のマンコにつきささったままの、大きなバイブが高速で振動する。
「んんああぁぁぁ! イく、イくのぉぉぉ! おしっこもらしながらイっちゃううぅぅぅ!」
「思いっきりイっちまえ!」
「ああああぁぁぁぁぁぁぁ! イくうぅぅぅぅぅぅ!」
真雪が幼児のように尿を漏らしながら絶頂する光景は、信じがたいものだった。たとえ一度映像で見ていたとしても、あれほど惨めな光景が本当にあるなんて。
床を伝ってきた尿が、俺の服にまで染みこむ。そんなものの臭いにまで興奮してしまい、最低の気分だ。この狂った空間に、もう一秒たりともいたくない。
勢いは弱まったものの、まだ出続ける尿は太ももを流れて落ちていく。そんな状態で体を弄られても、真雪は快楽に鳴きながら喜んでいた。
「ほら、坊やを無視してやるなよ。あんな情けないのでも、付き合ってたんだろ?」
「ふわぁ……え? あれ、修ちゃんまだいたの? まゆきの用はもうないよ。ばいばい」
「だってよ」
あっさりと別れの言葉を吐いて、また快楽にのめりこんでいく。嘆くでも怒るでもない、完全に眼中になかった。
俺を無視して、二人の変態的なセックスは続く。もうそちらには視線を合わせずに、動かない体を無理やり動かして逃げた。尿や愛液で体が汚れたけれど、そんなものはもうどうでもいい。
やっとの思いで部屋の外まで逃げて、薄暗い廊下にぽつんと一人だけなのに気がついた。まだ狂ったセックスは続いていて、耳に届く真雪の艶声がやけに脳に響く。
蚊帳の外に立つ事で、やっと気づいた。この空しさは、真雪を奪われた喪失感なのだと。
頭が割れそうなほど痛い。なのに、服に染み付いた真雪の淫臭と聞こえてくる声で勃起してしまっている。
あんな行為は最低で、死ねばいいと思う。けど、そんな事を言うのは自分がそこにいないからだ。もう届かないから、心の中で罵って自分を慰めようとしているだけだ。
やけに頭が痛い。それだけを考えて、俺は泣き続けた。
世界で一番愛しい人を奪われた日の話だ。 それから、俺もただで過ごしてきたわけではない。何とか真雪を助け出そうと、手を尽くした。
結果は言うまでもない。惨敗だ。
最初は必死に説得を試みた。しかし真雪には全く伝わらず、とっととどこかへ行ってしまう。
俺と真雪の仲は悪くなったわけではない。当事者以外から見れば、以前と変わらないようにも見えるだろう。ただ、真雪は以前のように、自分から俺に近づいてくる事がなくなっただけだ。
真雪の様子すら、外見上は以前と変わらないのだ。本当に誰にも気づかせずに、少女は性奴隷になった。だからだろう、俺は油断しきっていたのだ。
だんだん俺はあせっていき、兄貴が快楽で縛っているなら俺も快楽で取り返せばいいと頭の悪い結論に達してしまう。性交に関するあらゆるを仕込まれた真雪と言うのを、ぜんぜん理解していなかったために。
一度押し倒すのには成功した。マンコにチンポを入れるのにも成功した。けど、その後すぐに射精させられて、真雪を逃がしてしまった。
それから、真雪の攻勢が始まったのだ。俺と真雪が会うたびに、あらゆる手を使って誘惑してきた。チャンスを逃すまいなどと考えて誘いにのりセックスをし、その度に手で足腰が立たなくなるまで射精される。
普通に犯すことができたのも、最初の数回だけだ。一回射精すれば引き抜かれ、あとは動けなくなるまで手でヌかれる。それを何度も繰り返すうちに、犯すことすらできなくなっていた。
これは危険だと気づいたときには、もう手遅れだった。俺は真雪を見るだけで勃起し、体が動かなくなってしまう。あとは人気のないところに連れ込まれ、俺が崩れ落ちるまで手で射精される。
いつしか、真雪から逃げるように行動するようになっていた。それでも見つかってしまえば動けなくなり、あの淫靡な笑顔を向けられると股間がいきり立つ。普通の道でもスーパーの中でも、視線のない所でお構いなしに犯される。
仕掛け人は兄貴だった。俺は兄貴の前で真雪の手で何度も射精させられるという無様を晒し、動けなくなると二人のセックスを見せ付けられる。
俺はその時に僅かな希望も自信も、そして真雪を救うと言う気力も全て砕かれたのだろう。本当に兄貴に屈した瞬間だった。
そして、今の俺がやっている事。それはただ情けないだけで誇りも何もない事だった。
『んあああぁぁぁぁ! ひゃああぁぁぁん! あうううぅぅぅぅ!』
俺が耳を貼り付けている壁の先には、兄貴の部屋でセックスをしている真雪がいる。
女に対して自信が持てなくなった俺は、もう誰かと付き合おうと思えなくなった。同時に真雪の手淫も忘れられなくなり、わざと真雪に遭遇しては情けない悲鳴を上げて射精してもらっている。
それですら足りない時は、こうしてセックスの声を盗み聞きしながらオナニーをしていた。
分かっている。自分でもバカなのだと。でも、もう止められない。俺は真雪の心の代わりに、体にすっかり惚れてしまったのだ。一番淫欲に溺れているのは俺だった。
理解していても、どうにもならない。自分でも止められない。
だから俺は、こうして夜な夜な声を拾っては射精している。
取り戻せない少女に、涙を流しながら。終