血の繋がっていない妹と同時に浮気された結果なし崩しエッチ!そして…
2018/11/02
どうして裕子がヒロシと待ち合わせているんだ?
初夏のある土曜日。俺・聡眞(さとま)は、繁華街の駅前の物陰で呆然とした。
彼女・裕子が他の男と待ち合わせ、腕を組むと嬉しそうに繁華街の奥へ消えていく。
それも、俺の前では穿かないような超ミニスカートに生足、バストラインがくっきりとした真っ赤なタンクトップ。見たことのない格好だ。
予想していたこととは言え、ショックだった。俺は、人混みの陰に隠れて二人をつけた…………
実は、今日、有名アーティストのコンサートがあった。裕子の好きなアーティストで、いつものようにチケットを取って誘うと…………
「私、今回は友達と行くから、妹さんでも誘ったら?」と断られてしまった。
何かおかしい。そう言えば、ここの所、Hも積極的に誘ってくれなくなった事が思い当たった。
そこで、バイト先の友人と示し合わせ、複数の友人と裕子と俺で飲みに行き、べろべろに酔わせ、二次会のカラオケで携帯をチェックすると…………でるわでるわ。ヒロシとの逢い引きメール。ヒロシは、バイト先に出入りしている取引業者の男だ。いわゆるイケメンだが、ちょっとチャラ男っぽい。
「早くあんな奴と別れろよ。俺のHの方がいいんだよね」
「うん……あなたの×××の方がいいわ」要するに定番のやりとりだが、俺は真っ青になった。
さらに履歴を見てみると…………やっぱり。例のコンサートに行く話が出てきた。彼女は奴にチケットを取ってもらったらしい。なんてこった…………。
俺は、会場のカラオケボックスをそっと出て、連絡を絶ったが、向こうからも何も言ってこない。だめかも…………
何はともあれ集合場所に行って、怒鳴り込んでやろうと思ったのだが、何となく気後れしている内に、裕子とヒロシは寄り添ったままコンサートホールへ入っていった。
俺もチケットを持っているので、入ろうと思えば入れるのだが、ためらって立ち止まっていると…………同じように会場に入らないで立ち止まっている女の子がいた。だぶだぶのTシャツにジーンズ。コンサートに行く格好ではないよな。
あれ? 妹の美由紀だ。でも、美由紀も真っ青な顔をして、心ここにあらずと言った感じだ。
俺は、美由紀の方に向かって歩み寄っていった
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ちなみに、俺は◎◎大学の2年生。自宅から通っており、同い年の妹、美由紀と父母との四人家族。美由紀も同じ大学に通っている。
妹:美由紀。………………血のつながっていない妹。
「美由紀、そんなところで何しているんだ?」
「お、お兄ちゃん……どうしたの? びっくりしたよ」美由紀は元々大きな目を、更にまん丸に見開いて振り向いた。
「美由紀こそ、どうしたんだ?」
「あれ、私の彼氏。何でお兄ちゃんの彼女と一緒に居るのよ?」
「えっ、まじで? てか、あんな奴とつきあっていたのか?」
「うん…………つきあってまだ半月だけど…………何なの? これ?」
「とにかく、中に入ろうか?」
「でも、チケット……ないよ」
「ジャ、ジャーン」俺はチケットを差し出した
「何でお兄ちゃんが持っているの?」
「それを聞くなよぉ……orz」
俺たちの席は二階席。アリーナ席を見下ろすと、真っ赤なタンクトップを着た裕子と、真っ黄色のシャツを着たヒロシの姿が見えた。
ヒロシの奴……アリーナ席かぁ。やっぱり社会人は違うな。
美由紀の横顔を見ると、寂しさ、辛さといった中に、思いがけない場所で兄と再会した事への安堵感も漂わせていた。親や大学をネタにいつも通りの他愛ない話をしていると、前座が始まり、会話は中断。つまらない演奏を聴きながら、俺は、深く回想した。
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「僕」が幼稚園で"馬田聡眞"(うまだ さとま)と呼ばれていた頃、母が離婚した。
前の父親は母や僕にまで暴力をふるう人で、物心ついた頃から殴られていた。「着替えが遅い」「食べ物を残した」と。
母が「叩かないで」と僕をかばうと、母が殴られた。
小学校入学の少し前。家の中に知らない人が何人も出入りしているかと思うと、民生委員というやさしいおじさんが僕に言った。「お父さんとお母さんはりこんすることになったから、もう叩かれることはないんだよ」
僕と母は家を出て母の実家に引っ越した。おばあちゃんとの3人暮らしとなり、名前も母の旧姓、鈴木聡眞になった。母が働きに行く間は、優しいおばあちゃんが相手をしてくれた。
ところが、小学校2年生の9月におばあちゃんが亡くなった。
(遺産相続の関係らしく)母と僕は、狭いアパートに引っ越して、学校も転校した。
子ども部屋も無いアパートに、フルタイムの仕事から帰ってくる母は疲れ切っていて、いつも不機嫌だった。
昔の優しい母ではなく、文字通りの鬼ババに変貌。いつもヒステリックに怒鳴られていて、家に帰るのがイヤだった。
友達と遊ぶと言っても、アパートに友達を呼ぶことは許されておらず、出来たばかりの友達も離れていった。
勉強を見てくれる人もおらず、分からないところが雪だるま式にふくれ、更に勉強が楽しくないという悪循環。元々悪かった成績はみるみる下がっていったが、母は「勉強しなさい」と怒鳴るだけ。でも、一人で留守番しているときはマンガばかり読んでいたっけ。
3年生の新学期。持ち上がりのつまらないクラスに若田美由紀(わかた みゆき)ちゃんという転校生が入ってきた。
美由紀ちゃんのお母さんは3年前に亡くなり、お母さんの記憶は殆どないそうだ。授業参観会には、おじいちゃんが代理できていた。
そのためか、いつも寂しそうな目をしていた。
休み時間、いつものようにひとりぼっちで校庭の片隅でアリの行列を眺めていると
「何見ているの?」とのぞき込んできた。
「アリさんだよ。アリさんっていいなぁ。家族みんなで暮らしていて」
「うん」
美由紀ちゃんも上手くお友達が作れなかったらしい。
僕たちのクラスは、小さなグループがいくつかあって、グループ間では公然と対立していたが、新任の女性教諭は授業を進めるので精一杯。僕や美由紀ちゃんにお友達が居ないことなど見抜けていなかった。(どのグループにも入れてもらえなかった)
休み時間のたび、僕たちはちょうちょを追いかけ、アリの行列や池のオタマジャクシを見ながら過ごしていた。雨の日は図書室で読書や、美由紀ちゃんに勉強をちょっと見てもらうことも……。
美由紀ちゃんの家はお父さんと二人暮らしで、放課後は近所にいるおじいちゃんと伯父さんの家(=実家)に帰るという。(夜、父親が迎えに来る)
でも、しつけに厳しい伯母さんや、成績優秀な中学生の従兄弟に囲まれて、息苦しいとも。
「いいなぁ、ひとりでお留守番。わたしなんて伯母さんや従兄に気を遣って……」
「でも、つまんないよ」
休み時間ごとに校庭の隅っこでアリを観察している僕と美由紀ちゃんに関心を払うクラスメイトはいなかったが、自分のことを分かってくれる友達がいるだけで楽しかった。
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6月のある土曜日の昼下がり。
電話を受けた母が切羽詰まった声で僕に言った。
「聡眞、悪いんだけど今晩、お友達の所に泊まってくれない?」
「ええっ」
遠方に住んでいる母の姉の家が火災に遭い、泊まりがけで見舞いに行くという。
「僕も行く」
「だめよ。火事場に子どもが行くものではありません」
「…………」
「誰の所に頼もうかしらね」
「クラスの男の子なんてイヤだよ。だったら一人でお留守番する」
「3年生の子どもを置いて泊まりがけなんて行けるわけ無いでしょ!!」
母がクラス名簿の男の子の所を差しながら「○○クンは?」と聞くが、みんな僕を仲間はずれにするのでイヤだ。
「もうっ、いやっ!! いい加減にしてよ!!。あんた!!男の子の友達、いないの?」母はヒステリックに怒鳴った。
「うん。いない。一人もいないよ」
「休み時間はどうしているの?」
「美由紀ちゃんとしゃべっている。美由紀ちゃんしか話し相手いない」
「えっ?、女の子と??」
「うん。そうだ、美由紀ちゃんのところならいいよ」
「そんな……父子家庭だし、女の子の……」
「じゃあ、ぼく一人で留守番している。じゃなきゃ付いていく。男の子の所に電話しても無駄だよ。」
母は、大きなため息をつくと、ためらいがちに電話のボタンを押した
「すみません……鈴木聡眞の母ですけど。初めまして。誠にあつかましいのですが」
母は泣きそうな声をしていたが、声のトーンが急に明るくなり電話が終わった。
「美由紀ちゃんのお父さん、泊めてくれるって」
「えっ、本当?」
僕と母は大あわてで支度をして、美由紀ちゃんのおうちに行った。
大きくて綺麗な二階建ての家では、美由紀ちゃんのお父さんが迎えてくれた。
母は何度も何度もお礼を言うと、駅まで駆けていった。
「わぁ、聡眞くん来てくれた!!」
「まあ、何もできないけどゆっくりしていってくれ」と美由紀ちゃんのお父さん。
がっしりした体格だが、やさしそうなお父さんだ。僕を殴った昔のお父さんとは大違い。
僕は、美由紀ちゃんに促されるまま二階の子ども部屋へ。
真っ白な壁紙が貼られた大きな部屋には机とベッドとテレビと本棚があった。
(夜は別の部屋で父親と寝ているので、ベッドの上に寝具はない)
「ねえ、ゲームしようよ」
初めて上がり込んだクラスメイトの部屋。最初は面映ゆかったものの、次第にほぐれてきてゲームをしたり、漫画をみせてもらったり。
美由紀ちゃんのお父さんは、庭の手入れをしていたが、夕方には台所に入り、晩ご飯のカレーをご馳走になった。