カナコとの出来事
2018/10/06
カナコとの出来事
第一章 カナコ・・・出会い
8月の始め、暑い日差しが照り付ける毎日。あれは、まだ僕が初めて伝言ダ
イヤルに電話をかけるようになって間もない頃であった。ここ何日か恒例のよ
うに昼休みにオープン伝言に録音していたが、返って来る返事は何度もはじめ
ましてって入れてくるサクラと援助目当ての女子校生ばかりだった。やっぱり
伝言なんてこんなもんかなぁと半ばあきらめかけていた。
ある水曜日の夕方、いつものように伝言の返事をチェックするとレスは3件。
1件めはいつものサクラ。2件めはぼそぼそ言っていて良く聞き取れない。
また今日も駄目だったかぁ。と思いつつ3件めのレスを聞く。しかしそのレス
はいままでと違う雰囲気を感じた。レスの内容はこんな感じだった・・・
「こんにちは。私、こういうところに初めて電話するので何を話してよいのか
わからないのですが、あなたのメッセージを聞いてとてもやさしそうでゆっく
りと落ち着いた感じがしたのでお返事してみました。私は新小岩に住んでいて
あなたと同じように結婚しています。年齢は25才です。ちょっと住んでいる
ところが離れているようですが、もしよろしければまたメッセージ頂ければ嬉
しいです。それでは失礼します」
とてもかわいいらしく、それでいてしっかりとした口調で話ていたのが印象的
だった。すぐにメッセージを返した。内容はこんな感じだった・・・
「お返事ありがとうございます。とてもかわいらしい声をされているのが印象
的でした。横浜と新小岩だったらそれ程遠くもないですよ。私は東京へ仕事で
行く事も多いですしね。もしよければ一度電話で直接話できたらなぁと思いま
す。もしよろしければPHSの番号をお伝えしますがいかがでしょうか・・」
その週に3回ほどメッセージのやり取りを繰り返し、翌月曜日にPHSに電話
をくれることになった。
月曜日、その晩は前の会社の連中と飲みに行く約束が入っていた。店に入りP
HSの電波状況を確かめた。アンテナは1本か2本。場所によっては入らない。
これはまずいなぁ。でも今更店を出るのもなんだし・・・。そう思いながらも
飲み会が盛り上がってしまい、22時頃お開きとなった。念の為PHSの留守
電を聞いてみたがなにも入っていなかった。やっぱり電話なんかくれる気はな
かったのか?それとも電話してくれたが繋がらなかったのか?でも何度かメッ
セージのやり取りをしていて、少なくともサクラではないと感じていた。
一応、彼女のBOX番号にメッセージを入れておくことにした。
「今日は、友達と飲み会でした。PHSが届かない店に入ってしまったので、
もしかして電話くれても繋がらなかったのではないかなと思ってメッセージ入
れておきます・・・」
しかし、その週に結局返事はこなかった。やっぱり伝言なんてこんなものか。
翌週、僕は珍しく朝にオープンの録音をしようと電話をかけた。すると新しい
メッセージが入っていた。録音日時は金曜日の夜11:30。その声を聞いて
僕は飛び上がるほど嬉しくなった。彼女からの返事だった。
「お返事が遅くなってごめんなさい。月曜日に電話したのですが繋がりません
でした。そのあとは子供が風邪ひいたりして忙しくて今になってしまいました。
またPHSに電話してみます。本当にすいませんでした」
よかった、ポアされたわけではなかったんだ。取り敢えずレスを返しておく。
「時間があったらでかまいませんので今日の夕方6時頃にPHSに連絡頂けま
すでしょうか?。よろしくお願いします」
そして夕方6:10、PHSに着信。
浜「はい」
カナコ「はじめまして。大石と申しますけど、浜さんですか?」
浜「あ?、はいはい。分かります。電話ありがとうございます」
カナコ「今電話してて大丈夫ですか?」
浜「ええ、大丈夫です。お待ちしておりました」
最初はお互い緊張気味に話し始めた。彼女は3才の男の子がいて昼間は保育園
に預けてお菓子屋さんでアルバイトしているそうだ。5分ほど軽く話をしてい
ると緊張も解けてきた。話も結構合いそうである。
浜「ところで、もし時間があったら一度お会いして食事でもしませんか?」
カナコ「ええ、そうですね。どうしたらよろしいでしょうか」
浜「カナコさんの都合のいい日はありますか?私の方は今週だったら水曜
と木曜以外なら時間取れます」
カナコ「急なんですけど明日の火曜日はいかがでしょうか?主人が休みで、子
供の心配しなくてもいいものですから」
浜「わかりました。結構ですよ。では明日の火曜日、夜7時に銀座マリオ
ンの○○銀行の前でお待ちしています。背格好とか服装とか目印にな
るようなものを教えて頂けますか?」
カナコ「では薄い青のワンピースを着ていきます。背は155Cmくらいで、
髪は肩くらいまでのストレートです」
浜「僕はダウンタウンの浜ちゃんに似てるんですぐ分かると思いますよ」
翌日、果たして彼女は本当に来るのであろうか。
翌日、火曜日。僕は車を西銀座の地下駐車場へ入れた。時間は夕方6:30。
ちょっと早かったか。伝言ではじめて会うこともあって緊張してきた。どんな
女性が来るのだろうか?声はかわいかったがとんでもないバケモノが来たらど
うしよう。もしそうだったら逃げようか。でもPHS番号は押さえられている。
食事くらいはして追い返すか?でも結構かわいいかもしれない。頭の中をいろ
いろな想像が駆け巡る。
6:50、PHSが鳴った。
浜「はい」
カナコ「大石ですけど、すいません。ちょっと遅くなってしまいます。7時半
くらいになってしまうと思いますけど。本当にごめんなさい」
浜「ああ、いいですよ。適当に時間つぶしてますから、あせらないでいい
ですよ。走って怪我しないようにゆっくり来て下さいね」
カナコ「ありがとうございます」
この電話でとても気分が落ち着いた。これでドタキャンはなさそうだし、どん
な女性にしろ性格がとてもよさそうではないか。
7:20、またPHSが鳴った。
浜「はい」
カナコ「今、有楽町に着きました」
浜「分かりました。○○銀行に前にいますから」
さあ、いよいよご対面の時が来る。心臓がドキドキしてきた。え?っと確か青
いワンピースって言っていたなぁ。駅から歩いてくる人波に視線を向ける。
そして、やがて青いワンピースを来た女性がこちらへ歩いてきた。彼女か?す
っごいカワイイ娘だぞ?彼女だったらテレはいらない特上だぞ?違うかな?
でも歩きながら視線が泳いでいるぞ。誰か探しているみたいだ。きっとそうだ
声をかけてみよう。
浜「あの。大石さんですか?浜ですけど」
カナコ「あっ、はいそうです」
彼女はちょっとうつむきながら答えた。かなり緊張しているみたいだった。
浜「はじめまして。すごくカワイイ方なんでビックリしましたよ。私はこ
んな感じなんですけどどうですか?」
カナコ「カワイイだなんてそんなことないですよ。浜さん29才っておっしゃ
ってましたけど若く見えますね」
浜「取り敢えず、お食事でも行きますか?なにか希望はありますか?」
カナコ「希望は特にないですけど、今日は仕事忙しくてお昼食べてないのでも
うお腹ぺこぺこです」
すこし笑顔が出てきた。
浜「じゃぁ、イタリア料理でいいですか?」
カナコ「あっ、私パスタ大好きなんです。うれしいなぁ」
食事をしながらいろいろと話をした。初対面なのに何かと話が合った。食事の
好みや服装の趣味、他愛もないことだが好みが合うということだけでとても親
近感が沸いた。カナコは結婚前に某企業の受付け嬢をしていたそうだ。受付嬢
にふさわしい雰囲気をまだ持っていた。しゃべり方やしぐさもとても好感が持
てた。僕の名刺を受け取る時なんてもう「では頂戴致します」なんて言いな
がら受付嬢そのままという感じだった。ワインの酔いも手伝って話題は途切れ
ることなく続いた。気が付くと時間は10時になっていた。
浜「まだ時間大丈夫?もう10時だけどダンナさん心配するんじゃない?」
カナコ「ええそうですね。浜さんも奥さん心配してるんじゃないですか?」
浜「取り敢えず外出ましょう」
会計をしていると後でカナコが財布からお金を出していた。
浜「ここは、いいですよ。僕が払いますから」
カナコ「でも私今日遅刻しちゃったし」
浜「じゃあこの次機会があったらお願いします」
カナコ「はい。今日はごちそうさまでした」
外に出て歩き始める。カナコはちょっとほろ酔い気分のようだ。ちょっと足元
がふらついていた。
浜「カナコさん大丈夫?」
カナコ「はい。ちょっと酔ってしまったみたいですね。つかまって歩いてもいい
ですか?」
浜「もちろんですとも」
僕の右腕につかまりながら暫く歩いて行った。腕にカナコの胸が軽くあたる。
服の上からはよくわからなかったがかなり大きそうだ。DかEカップくらいかも
しれない。このままどこかへ行ってしまおうか。でも今日はもう時間が遅い。
浜「カナコさん、何時頃まで大丈夫ですか?」
カナコ「やっぱり11時頃までには帰らないと・・・。浜さんは?」
浜「僕は何時でも大丈夫だけど。でも今日は帰りましょう。ダンナさんと
お子さんが待ってますよ。でもまた会って頂けます?」
カナコ「はい。また時間作ってお会いしましょう。今日は本当に楽しかったで
す。