好きな子と再開!今度こそ10年前にできなかった事を……

2018/04/13

彼女は中一の途中で転校してきた。
なんていうか良い意味で大人の雰囲気の子だった。
笑うときもくすっという風で、けっして大口を開けたり騒いだりし
ないし、またそのときの笑顔が一段といい。
かわいいなぁ、こんな子が彼女だったらいいなぁと思いつつも、たまにどうでもいいことを話す程度しかできなかった。
なんせ野球でも強豪と当たると口の中が乾いてしまうほどのチキンハートなオレだったから。
そして3年の途中で、今度はオレが転校することになった。
引越しの荷物を出し終えて家族で一休みしていると、なんと彼女がやってきた。
「これ、クラスのみんなから」
と色紙を渡された。
「ありがと、じゃぁバイバイ」
笑顔で色紙を手渡してくれた彼女に、おれはたったそれしか言えなかった。
最後なんだからダメ元で告れば良いのに、できなかった。
それから10年が経って偶然に再会。
会社が合併することになり、統合が決まった支店の処理に出張に赴いた先に彼女がいた。
一目ですぐにわかった、あの彼女だと。
胸が高なり甘酸っぱい想いが込み上げてきた。
動揺する気持ちを抑えつつ仕事を進め、そして初日の仕事終わりにようやく声をかけることができた。
「久しぶり、元気そうだね」
「ふふふ、中学生のころとちっとも変わってないから、すぐにわかっちゃった」
彼女はあのころとちっとも変わらない笑顔で言った。
確かにオレは童顔だし、中学のころは野球部で坊主頭、そして今は別の理由で坊主頭だ。
そんな短い会話しかできなまま出張も終わりの日、思い切って彼女を誘った。
転向した後のクラスのみんなのことを教えてほしいとか、思い切りどうでもよい理由を付けて。
よく知らない街だったせいで、彼女を誘ったのは見てくれだけのぜんぜん大したことのない店だった。
「ごめん、なんか良くわからないから適当な店に誘っちゃった」
食べ終わり近くにオレが謝ると
「ううん、私も中途入社してここへ越してきたばかりで、おいしいお店とか全然知らないんだ」
「でも、ここの近くに住んでいるんだけれど、すぐそこにすごくい
いカフェがあるんだ。
そこでもう少し話さない?」
と、うれしい展開。
さっそくカフェへ移動。
オレはあんまり飲めないのだが、彼女もあまり強くはないようだった。
それでも一杯また一杯と、二人でグラスを空け続けた。
彼女は中学、高校をあの街で過ごしたこと。
大学は知らなかったが俺と同じで、でも学部が違ったせいで同じキャンパスではなかった。
彼女のほうは、大学野球でたまに試合に出るオレの名前を見つけていたこと。
微妙に近くて遠くて、そしてオレは気づかない距離に彼女はいたんだということに、笑いながらも少し悲しい気持ちに包まれた。
午前零時を過ぎ、カフェの客もまばらになってきたころ、言ってしまった。
「じゃ、そろそろ帰ろうか?」
うん、とうなずく彼女。
店から出るとすぐ近所の彼女部屋の方向は、幸いなことにオレが泊っているホテルと同じだった。
「なんか言え!なんか気の利いたこと言えって>オレ」
彼女のアパートの前に着くまでの、ほんの5分の間、オレの頭の中はぐるぐる空回りしていた。
でも、な~んにも気の利いたことなんて浮かんでこない。
「ありがと、じゃぁバイバイ」
アパートの前でオレがお別れを告げると、彼女はくすっと笑った。
「あの時と、まんま同じだね」
言われて気づいた。
中三の夏、言いたいことも言えないまま彼女にたった一つ言ったことばを、10年以上たってまた全く同じく繰り返してるオレ。
ひとしきり笑ったあと
「じゃぁ、今度またね。バイバイ」
やっぱり気の利いたことなぞ言えないオレ。
次のあてなどないのに、オレはそう告げてホテルへ向かった。
10mほど歩いて振り返ると、もう部屋の中に入ってしまったようで彼女の姿は見えなかった。
通りの角を曲がり、交差点の赤信号で立ち止まったとき、オレの頭のなかで、何かがぐるぐると回り始めた。
「このままでいいのか?いいのか?いいのかって訊いてんだよオイ」
「いいわけないだろ。今度すれ違ったらもう次はねぇぞ!」
込み上げてくる感情に抑えられず、オレは今来た道を駆け出した。
走りながらもらった名刺を取り出す。
携帯の番号が良く見えない、ボタンがうまく押せない。
携帯を握り締めたまま走り続け角を曲がる、彼女のアパートが見えた。
そしてオレは急に立ち止まった。
アパートの入り口で、携帯を持って佇む彼女の姿がそこにあったから。
彼女はオレの姿に気づき、驚いた表情を浮かべた。
彼女へ近づきながらオレは
「今度またって言ったからさ、ずいぶん短いまただけどね」
彼女の表情から驚きが消え、くすっと笑った。
10年前のあの時と同じ笑顔で。
「ホンっと変わってないね、いい意味で」
彼女はそう言ってまたくすっと笑った。
「いや、そうでもないさ。また今度って言ってからたったの5分で引き返して来るくらいには図太くなってるからね。厨房のころとはそこが違う」
「それに、したいことを今、思い切っちゃう図々しさも覚えた」
そう言いながらオレは彼女を抱きしめた。
オレが握り締めたままの携帯は、背中に回した腕の先、彼女の右肩あたりからバックライトで彼女のうなじを照らしていた。
それに彼女の携帯は、オレの右肩あたりからオレを。
「なんか、照れる。私いま、すごくなっちゃってる」
彼女はそう言いながら、おでこをオレの肩の先に押し付けてくる。
「オレは、照れてないけど、すごくヤバイ感じになってる」
そう言いながらオレは彼女にキスをした。

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