ハリケンブルー痴漢(2)
2018/01/12
「んッ!?……んんんっ……」
「どうした?気持ちよくなってきたか?」
「そ、そんなわけ……んくっ……ないでしょう」
「そうか、じゃあもっと刺激を与えてやるとしようか」
「い、いや……もう……ひぅっ」小声ながら、ひときわ高いトーンの嬌声が七海の口から漏れる。
男の右手が胸の突起(と思われる部分)を指で弾いただけでなく、左手が内股にまで入り込み、柔肉をふにふにと擦り始めたのだ。
レオタードで覆われているとはいえ、股間を指で執拗にほじくられてはさしものハリケンブルーも何処吹く風とはいかないらしく、刺激を与えられるたびにピクッ、ピクンッと小さく体を震わせた。
「ふん、こうなっちまったら大人しく感じた方が身のためだぜ?」
「……う……はぁっ……さ、さぁ、それはどうかしら?」
「何だとッ!?」途端、これまで弱々しい声を出して男の言いなりに甘んじていたはずの七海が、一転して強い語気で男に反旗を翻した。
思ってもみなかった反応に狼狽を隠せないでいる男に体を向けて睨みつけると、七海は危機的状況を打開する切り札を取り出す。
それを目にした男の顔色が変わった。
――ソニックメガフォン。
マイクで喋った通りに相手を操ってしまうハリケンブルー固有の武器。
確かにこれならば人質をとられていようが何一つ問題はない。
相手の動きを止めてしまうか、電車の外へ出してしまえばいいからだ。
その狙いに気づいた男の顔は青ざめ、額には冷や汗がつたう。
先ほどの戦闘では、男は動きを止められ、地面に顔面から激突させられ、目が回るほど高速で回転させられたのだ。
操られる恐ろしさなら、嫌というほど思い知らされている。
「そ、それは……ちょっと待て……待ってくれ……」
「ダメよ、覚悟しなさい。せーの、次の駅で電車から降……きゃッ!?」ゴトン!!七海にとっては運がなかったとしか言いようがなく、男にとっては思いがけない僥倖としか言いようがない瞬間だった。
電車が急停車し、バランスを崩した人波がドミノ倒しのように押し寄せ、二人を襲ったのである。
急停止の原因は停止信号である、という申し訳程度のアナウンスの後、進行方向に押し寄せていた人波はゆるゆると重心を元に戻した。
そして我に返った七海の手に、ソニックメガフォンは、なかった。
「形勢逆転だな、ハリケンブルー」
「……あッ!?か、返して、返しなさい!!」
「ダメだね。散々いたぶってくれたこいつでお返しをしてやるよ」奥の手を取り上げられて狼狽する七海に、男の非情な命令が向けられる。
「――敏感になれ」ドクンッ!七海は、自分の胸の鼓動が聴こえた気がした。
男の言葉を聴いた瞬間、体がかぁっと熱くなりスーツの中で汗が滲む。
なんとか体の異変に耐えようとするも抗いぎることができず、「はぁッ……」と切なげな吐息が漏れてしまう。
「フフフ、さすがはソニックメガフォンだ、効果は覿面なようだな。さて、ハリケンブルー、お楽しみの続きといこうか」
「はぁうッ!!んっく……い、いやぁ……あはぁッ……」
(だ、だめ……こんな状態で触られたら……私……)男の愛撫は、前にもまして執拗かつ的確だった。
胸のふくらみを遠慮なく揉みしだき、中央をコリコリと刺激する。
モジモジと閉じようとする股を押し開き、股間の敏感な部分を七海の反応をもとに探り当て、弱点と見るや指先を立てて振動を与える。
感度を高められた体を激しく責められて、七海は悶え苦しんだ。
男の指が動くたびに、ビクンッ!ビクンッ!と跳ねずにはいられない。
与えられる快感に立つことすらできなくなり、それでもなんとか崩れ落ちまいと両足を開くその姿は、まるで股間を開放して男の手を迎え入れるかのようだった。
「はぁッ、はぁッ、ひぐッ……んっ、んんんあぁぁ……」
「おや、だいぶいい声が出てきたじゃないか?ハリケンブルーといえど、股間ほじくられると感じるんだな」
「い、いやぁ……お願い、も、もう……許して……」男の指と言葉による巧みな責めは、七海を確実に高みへと押し上げていく。
心と体を蝕んでゆく甘い刺激に息も絶え絶えとなり、脚をガクガク震わせていた七海は、とうとうバランスを崩して男の肩に掴まった。
その時。
『七海、大丈夫か?』
『うっ、んんんぁ……お、おぼろさん……?』
(嘘でしょ……こ、こんなときに通信なんて……)敵を独り追跡した七海を心配したおぼろからの通信。
だが皮肉にもそれは七海をますます追い詰める結果となってしまった。
まさか敵の愛撫を受けて喘いでいるなんて。
それも電車の中で、周囲の目がある中で。
そんな痴態を、どうしておぼろに言うことができよう。
今や七海の頭の中は、通信で助けを求めることよりもいかに快感に耐えて平静を装うか、で占められてしまったのである。
『どうしたんや、そんな小さな声出して?何かあったんか?』
『な、なんでも、はぁっ、はぁ……ないです』
『そか?ならええんやけど……敵は見つかったんか?』
『……んあぁぁッ!!』なんとか声を押し殺しながら通信していた七海だったが、突然小さいながらも嬌声を上げてしまった。
男の手が再び胸と股間への愛撫を再開したのである。
(だめ、今はだめ……お願い……バレちゃうから……)
『七海?七海?どうしたんや!?』
『い、いえ……なんでもないです……敵はいませんでし、た……』
『まったく、無茶はほどほどにしいや。早よ戻ってくるんやで』
『あぅ……はい……』
「ククク……そりゃ通信機能ぐらいはついているよな。最初は感じすぎて独り言言い出したのかと思ったぜ」
「んっく……はぁっ、ひぅ……」
「本当にバレずに通信できてたのか?聞いている限りではかなりアヘ声が出てたぜ、クククク」やはり男は、七海が通信中であることに気づいていてなお、いや、気づいていたからこそ愛撫の手を緩めなかったのだ。
それでも、なんとか怪しまれることなく通信を終了までこぎつけた精神力は、見事というほかない。
七海の口から、安堵の溜め息が漏れる。
だが、その溜め息も再び喘ぎ声へと変わるのだった。
「さて、ハリケンブルー、そろそろイキたいだろ?」
「そんなこと……んあぁぁ、はぁっ、な、ないぃ……」
「まあそう遠慮するなよ。待ってろ、直に触ってやるからな」
「んっんんんっ……え?え?あ、ああぁぁ……」戸惑う七海をよそに、男は左手だけ元のジャカンジャの姿に戻す。
そこには甲虫の腹のような、こげ茶色の醜悪な腕が現われた。
男はその醜悪な腕をおもむろに七海の股間にあてがうと、スーツの繊維を掴んでビリ、ビリッと引き裂き始める。
まさかの事態に、七海は「ひぃ」と小さく悲鳴をあげた。
いくらジャカンジャとはいえ、並の敵では戦闘用スーツを引き裂くなどできようはずがない。
戦闘の時には鈍重な動きで気づかなかったが、まさかこの敵がここまでの剛力を持っていようとは。
引き裂いた部分から外気が流れ込んでヒヤッとしたかと思うと、みるみるうちに股間部分に穴が開き、七海の秘部が外へ露出する。
ソニックメガフォンで敏感にされた性感帯を散々弄ばれたせいで、秘奥は既に濡れそぼっており、雫が糸を引いてこぼれ落ちた。
その雫を指ですくい取ると、男は七海に見せつけるように口へと運び、そしてその指をゆっくりと秘奥へと突き入れた。
ちゅぷっ。
「んんんああっあはあぁ……」
「ククク、なんだかんだ言ってびしょびしょに濡らしてるじゃねえか」
「うそ……うそよ……んんんんッ、あはぁッ、だめ、だめッ」
「焦らして悪かったな、そろそろイカせてやるぜ」
「くっあぁ、だ、だめなの……動かしちゃ……あっはあああああ」ずぷっ、じゅぶじゅぶ、ぴちゅっ。
男が指を動かすたびに電車内に淫猥な水音がこぼれ、押し殺すことを忘れた七海のあられもない声が響き渡る。
もはや、観客は誰もが二人の行為に注視していた。
それは、好奇・好色の目でもあり嫌悪感溢れる目でもあった。
大勢の視線が自らに突き刺さっていることを痛いほど感じながら、七海は絶頂へと押し上げられてしまった。
「ひああッ……だ、だめッ、出ちゃうの……出ちゃうから、だめぇーッ」
「おらっ、イクところを乗客の皆に見てもらえよ!」
「あああああーーッ、ひあぅッ、はぁうッ、で、出ちゃうぅーッ!!」ぷしゃあああああ……。
七海が痙攣しながらひときわ大きな喘ぎ声を上げたその時、秘部から大量の飛沫が勢いよく床へと噴射された。
「はぁっ……はぁっ……ん……ぁう……」
「ハハハハ、潮を噴きながらイくなんてさすがはハリケンブルー、『水が舞い、波が踊る』ってか?クククク、ハハハハハッ」男の哄笑を遠くで聞きながら、自らが分泌した液で水溜りができている床に、七海はぴしゃっと音を立てて崩れ落ちた。
ENDハリケンブルー痴漢12