姉「さ、寒い……」
2017/05/15
姉「暖めて」
弟「え?」
姉「うー、ぬくい」キ゛ュッ
弟「ちょ、止めろよ姉ちゃん」
姉「やだ。春になるまでこうしてる」
弟「止ーめーろー」
姉「はぁ、落ち着く」
弟「止めろって。寒いなら服着込め」
姉「人肌の温もりが欲しいの」
弟「彼氏に頼め」
姉「彼氏いないもん、弟だけが頼りだもん」
弟「あぁ、分かったよ勝手にしてくれ」
姉「サンキュ」
姉「弟って平熱高い?」
弟「計ってないから知らないけど」
姉「なんか、抱きついてたらぽかぽかする」
弟「知らん」
姉「ねぇ、これから毎年冬ごとに、私専用のカイロになるつもりない?」
弟「ないよ」
姉「えー? お姉ちゃんと一緒の布団で寝れる特典付きだよ?」
弟「いらん」
姉「弟の不感症ー」
弟「変な言葉使うな、アホ」
姉「あー、弟カイロいい感じだなー」
弟「……」フ゛ルッ
姉「どした、弟?」
姉「……ちょっとトイレ」
姉「残念。カイロの単独行動は禁止されています」
弟「トイレまでついてくんの!?」
姉「姉ちゃんを凍えさす気か?」
弟「鬱陶しいから止めろ」
姉「じゃあ、トイレの外で待っとくから」
弟「そうまでして俺に引っ付いときたいか?」
姉「だって離れたら寒いし」
弟「こたつ入れよ」
姉「だからー、人肌の温もりがいいんだって言ってるじゃん」
弟「あのさ、ついてきていいからトイレ行かせて。そろそろ漏れる」
姉「あ、ごめん」
弟「うー、寒い寒い…」
姉「うー、寒い寒い…」ヒ゜ッタリ
弟「真似すんな」
姉「だって本当に寒いじゃん」
弟「そしてうやむやな内に一緒にトイレ入ろうとすんな」
姉「あぁー、弟と片時も離れたくないぃぃー」
弟「暖房的な意味でだろ?」
姉「違うよって言って欲しい?」
弟「いや全然。キモいよ姉ちゃん」
姉「ひでー。弟がいじめるー」
弟「いいから離れる。トイレの外で待機しとけ」カ゛チャシ゛ャコ゛ー
弟「……ふぅ」カチャカチャカ゛チャ
姉「あてっ!」コ゛ンッ
弟「……なんでトイレの前で耳そば立ててんだよ」
姉「いやぁ、カイロの動向を持ち主として正確に把握しとこうかと」
弟「人の小便の音聞いてたのか?」
姉「そこまでこのお姉ちゃんに言わす?」
弟「……変態」
姉「あぁそうさ、私は変態さ!」
弟「もう引っ付かないでね、姉ちゃん」
姉「いやー、カイロが勝手に自主独立してくー」ヒ゜ッタリ
弟「だから引っ付くなっつうのに」
姉「えへへ…」
姉「さっきはすまんかった」
弟「結局離れないし」
姉「よいではないかよいではないか。お詫びにお姉ちゃんのおっぱい当ててあげるから」ふに
弟「……」
姉「どう? 気持ちい?」
弟「えっ、もう当ててんの?」
姉「当ててるよ! バッチリ当ててるよ!」
弟「全く気づかなかった」
姉「これでもBカプはあるんですが」
弟「B(笑) 今日びBカップで喜べと言われても」
姉「お前は今、全世界の貧乳女子を敵に回した」キ゛ュウゥゥ
弟「ぐえぇぇぇ……首絞まってる、首絞まってる!」
弟「ハァ…ハァ…ぐへっ」
姉「これに懲りたら、二度とBカップ馬鹿にすんなよ」
弟「はーい……オェッ」
姉「さて、それじゃまたカイロに暖めてもらおうかね」ムキ゛ュッ
弟「姉ちゃん」
姉「うん?」
弟「姉ちゃんに体温奪われて、今度は俺が寒いわ」
姉「そう?」
弟「うん、ほら」ヒラヒラ
姉「おわっ、手ぇ冷たっ!」
弟「だから人間カイロはもう終わりに……」
姉「大丈夫!? ちょっと待ってね、すぐに暖かくしてあげるから!!」
弟「え?」
姉「お姉ちゃんの手は暖かいから、暖まるまでずっと握ってていいよ!」
弟「……抱きつくの止めさせようとしたら、さらに悪化した気がする」
姉「寒いの寒いの飛んでけー、寒いの寒いの飛んでけー」
弟「姉ちゃん、恥ずかしいから止めて」
姉「だって、弟の手が冷た過ぎるんだもん。私は心配だよ」
弟「末端冷え症なんだからこれくらい普通」
姉「じゃあ別に私に体温奪われた訳じゃないじゃん」
弟「まぁ、その辺は物は言い様というか」
姉「嘘つき! 罰としてしばらくカイロ役止めさせてあげないから!」キ゛ュウゥゥ
弟「元から止めさすつもりはないだろ」
姉「そうとも言うけども」
姉「うー」ムキ゛ュキ゛ュ
弟「姉ちゃん、力こもってる。苦しい」
姉「姉を騙すような弟なぞ苦しんで死んでしまえ」
弟「そんなに騙されたのが悔しかった?」
姉「そうだよ。本気で心配してたのに」
弟「ごめん、姉ちゃんがちょっと鬱陶しかったからさ」
姉「素直すぎるぞ、弟」
弟「でも、一応反省はしている。だから許せ」
姉「許してほしくば、私の言うことを聞くんだな」
弟「言うこと?」
姉「うん。今度は、弟からお姉ちゃんをギュッってしてほしいなって」
弟「嫌だ」
姉「即答かい!」
弟「いくらなんでも、弟が姉を抱きしめるってシチュエーションはないと思うんだ」
姉「そんなの、私が弟を抱っこしてるんだからあんまり変わんないじゃん?」
弟「ぶっちゃけ、なんか照れ臭いし」
姉「なるほど。つまりはお姉ちゃんを女として意識してしまっていると」
弟「ちっげーよ。馬鹿か」
姉「いいからいいから。いつか好きな人が出来た時の練習と思って、遠慮なくお姉ちゃんをギューッとなさい」
弟「でも、それって結局姉ちゃんが寒いだけなんだろ?」
姉「うん、そう。でも、反省してるなら出来るよね?」
弟「……分かったよ、やればいいんでしょ。やれば」
姉「オッケー!! さすが私の弟だ!!」
弟「なんか、上手くハメられた気がするなぁ……」
弟「じゃあ」
姉「ん」ギュッ
弟「……姉ちゃん、鼻息荒い。なんか怖いよ」
姉「だってさ、男の人にこうして抱っこしてもらうの、初めてなんだもん」ムフー
弟「姉ちゃん、彼氏いたことなかったっけ?」
姉「中学の時の彼氏は、奥手だからチューまでしかしてくれなかった」
弟「そりゃまた、時代に逆らったほのぼのカップルですこと」
姉「弟は? 彼女いないの?」
弟「黙秘権を行使します」
姉「黙るってことは喋ってんのと一緒だぞ?」
弟「まぁ隠すことでもないからバラすけど、イナイ歴=年齢」
姉「嘘。絶対モテると思ってたのに」
弟「どういう贔屓目だよ。俺なんか全然モテないって」
姉「勿体ないなぁ。私が他人ならほっとかないのに」
弟「んなこと言っておだてても、抱っこは延長しないからな」
姉「チッ、バレたか」
弟「……。ついでにもう抱っこ止めてもいい?」
姉「駄目」
弟「もう満足したでしょ」
姉「まだまだ。弟が灰になるまで続けるんだから」
弟「おいおい……」
姉「ね、弟。こっち向いて?」
弟「何だよ」
姉「いいから」
弟「……はい、向いたよ」
姉「へへへ……正面からギューッ」
弟「うわっ!?」
姉「やっぱり思った通り。正面の方があったかい」
弟「何してんだよ、姉ちゃん。暖を取るってレベルじゃねーぞ」
姉「照れやがって。可愛い奴め」
弟「こんなの、普通に抱きあってるだけじゃん」
姉「お姉ちゃんは寒いんだ。諦めて姉を暖めることに専念しな」
弟「何その傍若無人」
弟「ねぇ、いつになったら離れてくれんの?」
姉「うーん、強いて言うなら私が満足するまで?」
弟「じゃあ、どうすれば満足するのさ」
姉「じゃあ、好きな時に弟が暖めてくれるって約束したら、今日は満足してあげる」
弟「自分で自分の墓の穴を掘るような条件を出さないでくれ」
姉「とか言って、弟だってお姉ちゃんギュッってするの、まんざらじゃないクセに」
弟「なんでそうなる」
姉「だって弟さっきから、私を力ずくで退かしたりしないじゃん」
弟「まぁ、それは確かに」
姉「それって本心では、お姉ちゃんに甘えたい心があるってことなんじゃないの?」
弟「いや、それは姉ちゃんが本当に寒そうだったから……」
姉「寒そうだったから、文句言いながらも、お姉ちゃんのカイロになってくれてたの?」
弟「……そうなるかな」
姉「ふふ、ありがと弟。さすが私の弟だね」
弟「言葉巧みに袋小路へ追い込まれた気分だ」
姉「あぁ、ぬくいぬくい。姉弟で暖めあうって素晴らしい」
弟「俺は困るけどな」
姉「なんで?」
弟「言わずもがな」
姉「えー、なんでよー。二人でギュッってしてたら楽しいじゃん」
弟「ハァ……もういいよ。俺ちょっと風呂入ってくるから」
姉「あ、じゃあ私も入る」
弟「姉ちゃんはくんな」
姉「えー」
弟「いいから、黙って俺が風呂から上がるの待ってなさい」
姉「はーい」カポーン…
弟「……」
姉「……」
弟「なんで?」
姉「なにが?」
弟「俺、ちょっと待ってろって言ったよね?」
姉「うん言った」
弟「なのになんで俺のいる風呂に来てんの?」
姉「寒かったから」
弟「……馬鹿じゃないの」
姉「馬鹿じゃないよ」
弟「いや、馬鹿だ。間違いなく馬鹿だ」
姉「馬鹿って言う方が馬鹿なんですー」
弟「もう死んじゃえよ姉ちゃん」
弟「姉ちゃん、さすがにこれはないよ。早く出てって」
姉「うー、裸んなったら余計寒いや。暖めて」ぴと
弟「ちょ……!」
姉「むふふ、Bカップといえど直に当てられたら無視できまいて」
弟「いい加減にしろっての! あんまやり過ぎると俺だって怒るぞ!」
姉「股間ふくらませながら言っても説得力ないぞ」
弟「これは単なる生理反応だから……!」
姉「まぁまぁ、とりあえず湯船に浸かればそのブツも隠せますよって」
弟「……なんて姉ちゃんだ」ちゃぷん
弟「……で、案の定一緒に入ってくるんだ?」
姉「もち。だって寒いし」
弟「体くらい洗えよ。汚いな」
姉「弟が体を洗ってくれればいいんだよ!」
弟「誰が洗うもんか。つーか、姉ちゃんが風呂から上がるまで湯船から出ない」
姉「弟が先に上がらなきゃ、誰が風呂上がりの私を暖めるの?」
弟「知らないよ…