妻を他人に抱かせた結果…4

2024/09/26

水っぽい放屁のような音が鳴り、股間から白く濁った体液が零れ出す。

「じゃあ二回戦目いきましょうか。いいですよね、キジマさん」

友一は咄嗟のことに、半ば反射的に首を縦に振ってしまった。
妻が雌になる姿を、今までに見たことのない姿を、もっと見たいと、
心の片隅で思っていたのが表に出てしまったのかもしれない。
その体液を滴らせる部分がゆっくりと動いていき、体液に塗れて光りながら猛る黒々とした肉の棒の先に触れた。

あれよあれよと言う間に尻が下ろされていき、その大きなものが肉の裂け目を再び押し拡げながらめり込んでいった。
サトウの膝に乗って友一に向かって脚を開くような形で、二人が再び繋がった。
サトウが腰を遣って突き上げ始めた。酔っ払いでもしたかのような嬌声が上がった。

「あひぃっ、そんなっ、んっ、ゆ、許してぇ……こ、こんなの、ユウくんに、全部、見られちゃうぅっ!」
「見て貰うのに意味があるんですから、いいじゃないですか。ほら、奥さん、まだまだ硬いでしょ。これが軟らかくなるまで気持ち良くしてあげますから、楽しみにしててください」

割り込むタイミングを逃した友一は、どうすることもできなかった。

涙目になって顔を引き攣らせて椅子に座り、妻の体内を貫いているものに比べれば惨めとしか言い様のないものを握り締めることしかできなかった。
目の前では貫かれて乱れる妻の全身が躍っていた。
友一の目には、智香が自ら腰と尻を振っているようにすら見えた。
「キジマさん、奥さんの筋みたいなオマンコ、元に戻らないくらいぐちゃぐちゃにしてから返しますから、楽しみにしててくださいね」
悪魔の笑い声が聞こえた。

サトウと智香の交わりは延々と続いた。肉と肉がぶつかる音。粘り気のある水音。荒い息遣い。
甲高い嬌声。甘えるような声。ベッドが軋む音。こうした情交の艶めかしい音が途絶えることはない。
上になり、下になり、右から左から、前から後ろから、サトウが智香を責め立て、智香が快楽に蕩ける様を見せつけられた。

恥ずかしいからとずっと拒まれていた騎乗位や後背位も見せつけられたし、その際には、やれ「奥さんのお尻の肉最高ですよ」、
やれ「お尻もいいですけど、太腿が腹に当たる感触も気持ちいいですよね」と、聞いてもいないのに感想を語られさえした。
サトウの腰に跨って腰を振り、友一に向かって四つん這いになってサトウに尻を捧げ、智香は快楽に叫び、注ぎ込まれる精液を悦びの声を上げて飲み込んだ。

友一は悪夢のような時間の中で、最愛の妻が他の男によって雌にされていく様を凝視し、憑かれたように股間のものを扱き立てていた。半ば腫れ上がって疼きと痛みを発するそれは、既に何度も精液を放ち、最早出すものなど残っていないにも関わらず、一向に収まる気配を見せない。

正常位で絡み合う二人が体の向きを変えて友一に尻を向け、結合部を見せつけた。
射精の予告だ。サトウの動きと共に情交の音が一層激しくなり、やがて一気に終息に向かった。
既に何発も撃ち出しているのに逞しさを保ったままのペニスが震え、涎を垂らして絡みつく肉の穴に大量の体液を注ぎ込んでいくのがわかった。

組み敷かれた智香の手足はしっかりと絡みつき、サトウを受け容れ、求めている。
「あ、ああ、出てる……まだこんなに、沢山……熱いの……これ、好きぃ……」と夢見心地で呟きながら、体を震わせている。
友一からすれば冗談としか思えない長い射精を終えたサトウが上体を起こした。

「あんっ、待って、タロウくん……離れちゃ嫌ァ……」
抗議の声を上げて智香が手を伸ばす。
その手に導かれるままに上体を倒し、キスの雨を降らせながらサトウが甘く囁く。

「そろそろ交代してあげないと旦那さんが可哀想だよ、トモカ。
旦那さんの相手もしてあげなよ。そうしたらまた可愛がってあげるから」
いつの間にか、その口調からは丁寧語が消え、呼び方も名前に変わっていた。
智香も同様で、サトウのことを名前で呼ぶようになっていた。

酷く親しげな二人の態度からは、肉体の距離だけでなく、心の距離までもが縮まっていることが窺い知れた。
間に何も入り込めない、密着状態と言えるほどに。
智香が甘ったるい声で言う。

「でも、タロウくんの、まだ硬いよ……もっと……欲しい……」
「旦那さんはいいの?」
「だって……」
「あれ、もしかして、旦那さんのチンポより俺のチンポの方がいいの?」

智香は何も言わずに友一を一瞥した後、何かを堪えるように目を逸らし、微かに頷いた。

「そうか。トモカは旦那さんのチンポより俺のチンポの方が気に入っちゃったんだ」
智香が再び頷く。
「ちゃんと言葉にして欲しいな。旦那さんにも聞こえるように、はっきりと言ってご覧。でないと抜いちゃうよ」
「そ、そんなの、言えない……」
「今は正直になっていいんだよ。その方が旦那さんも興奮するから……ね。
言ってくれたらまたたっぷり可愛がってあげるよ。こんな風に」
囁きながらサトウが腰を軽くくねらせる。サトウの下で智香が悦びの声を上げた。
「ほら、こんな風にしてあげるから」

友一は固唾を呑んで智香の反応を待った。既に勝敗は明らかだったが、智香が敢えてそれを言葉にして形にするのかどうか、そのことが自分と智香の関係の、
決定的な分岐点であるように思えた。

「……タ、タロウくんのお、おっきい、お、おちん……ちんの方が……好き、なの……ユウくんのじゃ……駄目……」

この瞬間、初めての生挿入や初めての中出しをサトウに奪われた時以上の衝撃が友一に襲いかかった。
何か決定的なものに亀裂が入ったのを彼は理解した。

「旦那さんのじゃない方が好きなんてやらしいね、トモカは。
じゃあ好きだって言ってくれたことだし、たっぷり気持ち良くしてあげるよ。

あ、そうだ、旦那さんに謝っておかないと駄目だよ。今日は俺とエッチするから相手をしてあげられませんって」
「う、うん……」と頷き、申し訳なさそうに友一の顔を見た。「あの、ごめんね、ユウくん……
私、タロウくんとするから、今日は、その、相手をしてあげられないの……ごめんね、本当にごめんね……」
「お、おい……」

あまりのことに友一が何かを――それが何かは本人にもわかっていなかった――口走ろうとするも、その発言はこの場の誰にも待ち望まれてはいなかった。

「よく言えたね、偉いよ、トモカ」
「は、恥ずかしかったよぅ……」

二人は甘い声をかけ合いながら、水気に富んだキスを交わし、そのまま絡み合った体を蠢かせ始めた。
友一の口から出かけた言葉はそのまま消えた。
腰を遣って智香を責め立てながらサトウが言う。

「ねえ、トモカ。今日だけなんて勿体無いと思わない? また逢いたいと思わない?」
「え……でも……」
ちらりと智香が友一を見る。

「旦那さん抜きでさ、俺と二人で一日中気持ち良いことしようよ。
トモカの大好きなチンポで、沢山気持ち良くしてあげたいんだけど、駄目かな」
「そ、それは……嬉しいけど……ユウくんに悪いし……」
「旦那さんがオーケー出せばいいってこと?」
智香が無言で頷いた。

「だそうですよ、キジマさん。僕達が二人で逢ってセックスするの、許可してくれませんか」
「お、お前、ふざけるのもいい加減にしろよ! 触るだけっていう最初の約束も破って……
挙句にまた会わせろだって? 冗談も大概にしろ!」
組み敷いた智香を啼かせながらサトウが涼しげに応じる。

「全部キジマさんがオーケーしたことじゃないですか。おまけにオナニーまでしといて……
自分が許可出しておいて、後になって結果に納得できないから怒るなんて、そんなのないでしょう。
トモカがこんな風に僕のチンポを好きになったのも、全部あなたが悪いんですよ。自業自得です」
「あっ、んぅ、ユ、ユウ、くん……」
激しく貫かれながら智香が友一を呼ぶ。
「な、何だ、智香、どうしたんだ」
「ね、ねえ、お願い……私、今日だけじゃ、嫌なの……またタロウくんに、逢いたいの……お願い、許して……」

友一の思考は、一瞬、真っ白になった。
今まで我儘一つ言わなかった智香。
いつも彼の後ろに隠れていた智香。

もう少し自己主張をするようになればよいと思っていた智香。
自分の言うことを聞いてばかりでなく少しは我儘になってもよいと思っていた智香。
その智香が、知り合い、想い合い、愛し合ってから初めて、我儘を口にした。初めて、自分に逆らった。
その今までずっと友一が待ち望んでいた瞬間は、しかし、最も残酷な形で彼の元に訪れた。
決定的な亀裂がどんどん広がっていくのがわかった。もう修復はできない。

「あっ、でも、でも、タロウくんにして貰わない時は、ちゃんとユウくんにもさせてあげるから……」

して貰う、と、させてあげる。
それは智香の心の中で友一が占める位置の決定的な変化をこれ以上ないほど端的に示したものだった。
もう本当にどうしようもないのだ。友一は眩暈を感じて椅子に背を預けた。
息苦しさを振り払うようにして二人に告げる。

「……ああ、いいよ。もう、好きにしろ」

返事は言葉ではなかった。激しい情交の音と、智香が上げる歓びの声だった。

「トモカ、もし出来ちゃったら、俺の赤ちゃん産んでくれる?」
「ひっ、ん、でも、ユウくんが……」
「旦那さんが、じゃなくて、トモカはどうしたい?」
「う、産みたい……タロウくんの赤ちゃん産みたいよぉ……」
「そう。じゃあ、ピルはトモカにあげるから、どうするかは二人で決めてね」
「うん、うんっ、わかったよぉっ、ユウくんにお願いして、許して貰えるように、頑張る、ねぇ……」

男女の音に混じって聞こえてくる心を削るような会話は、友一には全く意味の理解できないものだった。
わかっているがわからない。聞こえているが聞こえていない。無意識が理解を拒絶している。

友一は目の前で絡み躍る肉体を茫然と眺めながら、この破局の原因を考えた。
結局、悪いのは友一自身だったのだ。
倦怠期に根気強く向き合うのではなく、即効性のある劇薬に安易に手を出した怠け心。
他の女を抱いてみたい、他の男に抱かせてみたい。そんな性的好奇心を満たすために、神聖な夫婦の絆を踏み躙ったこと。

いくつも破滅を回避する選択肢を提示されていたにも関わらず――考えてみれば、いつも決めたのは友一で、サトウは決断そのものは常に友一に委ねていた――好奇心を自制心で押さえられず、それを選べなかったこと。
何もかも責任は友一に帰する。悪いのは彼自身だった。
これは自分の救いがたさに与えられた罰なのだ、と彼は思った。
だから、甘んじて受け入れよう。智香に他の男に抱かれるように強いた以上、それで生まれた結果は全て引き受けよう。

智香が他の男との関係を望むなら、目覚めさせてしまった責任を取ろう。
貴島智香という清楚で真面目な女を破壊してしまったツケを支払おう。
友一はそう決心した。
だが、自分一人が報いを受けることに納得できるほど、友一は器の大きい男ではない。

彼は自分が報いを受ける以上、他の連中も報いを受けなければ納得がいかない。
携帯電話から例のスワッピング募集サイトにログインし、T・Sのプロフィールページを開く。
信頼度評価画面を開き、評価を入力する。
「最高」にチェックを入れ、「ペニスサイズもテクニックも言うことなし! まだ若いのに凄い人です。
妻と一緒に今までにないくらい燃え上がりました。

妻も何度もイカせて貰ったと大喜びです。良い体験をさせていただきました」と感想文を書く。
T・Sは夫婦や恋人の絆を踏み躙る馬鹿共のために用意された報いだ。
そういう連中は精々、高評価のスワッピング相手を探し出して最愛のパートナーを差し出し、一生残る悔いを抱けばよいのだ。
評価を送信した友一は携帯電話を投げ捨て、手で顔を覆い、声を上げて泣いた。
ベッドの上では鳴り止むことのない男女の生々しい音が響き続けている。

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