猛烈に後悔した処女喪失体験談

2023/02/19

私はそのとき二十歳。
○○大学に通う二年生でした。

その日は当時入っていたバドミントンサークルでコンパがありました。
カラオケボックスの一室でコンパは宴たけなわ。
私もそんな談笑の輪の中に交じっていました。

「どうだ、宮原、佐伯さんとは順調なのか」

隣に座る一つ年上の多田さんが話しかけてきました。
彼は同じサークルの先輩です。
四角い、面長の顔だち。
背が高く、広がった鼻は……言っては悪いかも知れませんが、どこか豚を連想しました。

「ええ、まあ」

私は我知らず、頬を赤くしました。
佐伯さんは二つ年上の先輩です。
今年の春先にサークルで知り合い、彼から告白されて、付き合うようになりました。
私にとっては高校時代以来、二年ぶりにできた彼氏です。
交際は順調でした。

ただ最近はデートのたびに体を求められるのが悩みでした。
私はまだ、どうしてもそこまでは踏み切れないんです。
今時の女子大生にしては珍しいかも知れませんが、実は私──宮原有希子(ゆきこ)はまだ処女なんです。
高校のときにクラスメートの男の子とお付き合いして、キスや軽いペッティングまでは経験しましたが、最後の一線だけは許しませんでした。
古風な考えかもしれませんが、結婚前に処女を失うことへの抵抗感があったからです。
それに初体験への不安や破瓜の苦痛に対する恐怖もありました。

ただ、だからといってセックスに興味がないわけではありません。
性への好奇心は人並みか、もしかしたら人一倍あると思います。
いずれは佐伯さんとそういう関係になってもいいかな……そんなふうにも考えていました。

「でも、気をつけろよ、あの人、あっちこっちに彼女がいるって噂だからな」
にやり、と笑う多田さんに、私は表情をこわばらせました。

「えっ……浮気してるってことですか?」

大音響のカラオケが鳴り響いて、周囲はおおいに盛り上がっています。
楽しい雰囲気の中で、私はひとり大きなショックを受けていました。

「あ、冗談だよ、冗談」

すまなさそうに謝る多田さんの言葉にも私はうなだれるだけです。
裏切られたショックで目の前が真っ暗になっていました。

「きっと宮原が本命だ、自信持てよ」
多田さんが慣れ慣れしく私の肩を抱いてきます。

「佐伯さんとはエッチとかしまくってるんだろ。ラブラブじゃないのか?」
「私たち……その……まだ」
「あれ? まだエッチしてないの? ……もしかして宮原って、処女?」

多田さんは爛々と眼を輝かせて、私の顔を見つめました。
男性経験がないことをあっさりと見破られ、恥ずかしさを感じながら、私はこくん、とうなずきました。

「ふーん、いまどきの女の子にしては珍しいな。
このサークルのメンバーはほとんどエッチ体験済みと思うけど……興味はないのか?」
「興味って……?」
「セックス」
と、多田さんが真顔で言います。
あまりにもストレートな表現に私は言葉を失いました。

まったく興味がないといえばウソになります。
──えっ、ユキちゃんって『まだ』なの? ──
驚いたような友人の言葉がふと耳元でよみがえりました。

周囲の友人にも初体験を済ませた人はたくさんいます。
もしかしたらいまだに処女なのは私だけかもしれません。
本音を言うと、焦る気持ちもあるんです。

「実は俺も、しばらく前に彼女に浮気されたんだよ」
「多田さんも……」
そう言われると妙な親近感が沸いてきます。

「どうだ、二人でお互いの恋人に復讐しないか?」
「復讐?」
「一次会が終わったら、ふたりでホテルに行こう。
裏切った罰として他の男を相手に処女を捨てるんだ」
多田さんが耳元でささやきました。
肉厚の唇がかすかに耳たぶに触れています。
(処女を捨てる……? 多田さんを相手に……?)
私の全身に電流のような衝撃が走りました。

酔っているせいか、ストレートに口説かれているせいか分かりませんが……
異様なほど体の芯が熱いんです。
じわり、と下腹部が濡れていることに気づき、私は赤面しました。
多田さんが勢い込んだように体をすり寄せてきました。
太い指先が私の太ももを撫でます。
ぞくり、と鳥肌が立ちました。

「セックスなんて大したことじゃないって。
みんなヤッてることさ。
だから、な?な?しようぜ、宮原」
多田さんはしつように誘ってきます。

私は言葉を失いました。
こんなに露骨な誘いは、普段なら即座に断っていたでしょう。
だけど今日は──
「裏切られたのに、笑って許す気か?裏切った相手には罰が必要だろ」

罰──

心が、激しく揺れているのが自分で分かります。
たしかに、自分を裏切った佐伯さんを罰してやりたい気持ちが先立っていました。

「頼むよ、俺も気持ちがモヤモヤしててさ。
こんなこと宮原にしか頼めないんだ。ちょっとだけだから。
俺、痛くしないし」
「え、でも……」
「大学生にもなって、いつまでも処女じゃ恥ずかしいだろ。
な?裏切った彼氏の代わりに俺が教えてやるから」
「でも……」
「どうせ、佐伯さんも今頃別の女とよろしくやってるって」
「…………!」

突然、佐伯さんのことが遠い存在に感じられました。
三ヶ月間付き合った彼氏なのに。なんだか、見ず知らずの他人の話のように
──
(悪いのは、佐伯さんのほうよ。
先に裏切ったのは向こうだもの。
そのせいで、私は好きでも何でもない男に……処女を奪われるんだから)

言い訳するように、心の中でぶつぶつと呟いてみます。
セックスなんて大したことじゃない。
そんな背伸びをしてみたくもなりました。
女子大生にもなって、いまだに処女だという焦りもありました。
多田さんが返事を待つように、私の顔をのぞきこみます。
私は言葉を失いました。
(これは佐伯さんへの罰……罰なのよ……)
自分への免罪符のように、心の中で、同じ言葉を呪文のようにつぶやいていました。

……それから彼のアパートに行くまでの間のことは、あまり記憶に残っていません。
気がつけば、八畳の部屋の中で、緊張をあらわに多田さんと向き合っていました。

彼が手早く私の衣服を脱がせます。
三カ月付き合っている佐伯さんにも見せたことがない、私のオールヌードがあらわになりました。
自分の裸体を男性の前に晒すのは、もちろん生まれて初めてのことです。
私は恥ずかしさで真っ赤になって、胸と股を両手で隠しました。

「隠さなくていいよ。きれいなハダカだ」

多田さんは無遠慮な視線を私の白い裸体に浴びせながら、優しく抱き寄せてきました。
顎を仰向けさせられ唇を奪われます。
それから床に寝そべると、重量感のあるたくましい体がのしかかってきました。

「嫌、恥ずかしい……」

思わず声がかすれました。
雑誌や友人との会話でしか知らなかったセックスが、自分の身に起ころうとしている……
そう思うと、心臓が異様なほど早鐘を打ちました。

「はやく挿れてほしそうな顔してるな。よしよし、今好きなだけハメてやるからな」
多田さんは私の股を大きく左右に開くと、汗ばんだ割れ目に堅いものをあてがいました。
(ああっ、とうとう挿れられてしまう!)
大きな亀頭がぐっと入ってきます。膣の入り口が開いて、すごい圧迫感を感じました。

「ああっ、ヒッ……!」

股間を襲う異物感に私は顔をしかめました。
ずぶっ、ずぶっ、と私の内部を押し開きながら、彼が侵入してきます。
私は四肢に力を込めて踏ん張りました。

「あ、入ってくる……やっぱり、駄目ッ!」
「ここまで来て、今さら『駄目』はないだろ。奥まで入れるぞ」

彼は両手で私のお尻を引き寄せ、からだの奥へ向かって容赦なく腰をねじ込みました。

「あーっ……ううっ!」

割れ目の奥で何かが突き破られる感覚がありました。
痛みと圧迫感に同時に襲い掛かられ、全身から冷たい汗が吹き出します。

「ああ……すごい締まるなぁ。やっぱり初めてだった」

胎内いっぱいに、あふれんばかりの充実感で広がっている男性の体の感触に、私は自分が処女を失ったことを実感しました。

「佐伯さんから宮原と付き合ってることを聞かされて、俺がどれだけ嫉妬したかわかるか」
私のバージンを奪った男が独白します。

彼の口元にわずかに浮かぶ笑みは、してやったりという満足感でしょうか。
なにしろ二十年間守り通した私の純潔を奪ったのは、彼なのですから。

「佐伯さんが浮気したなんて、嘘だよ。
バージンなんて宮原が言うからどうしても欲しくなった。
たとえ彼氏が相手でも、他の男にバージンを奪われたくなかったから、ムキになってしまったんだ。
卑怯な手段かもしれないけどな」
「そんな……ひどい!」

騙されたことに気づき、私は思わず声を上げました。
佐伯さんは裏切ってなんていなかった……
それを知っていたら、私は多田さんに体を許したりはしなかったでしょう。
多田さんの嘘に踊らされ、動揺し、処女を失ってしまったのです。
猛烈な後悔が湧き上がりました。

「ほら、動くぞ」
「あっ、はぁっ! こんなことはダメ、抜いてくださいッ……」

股間に奥深くまで潜り込んだ肉塊が熱くうごめくのを感じて、私は悲鳴を上げました。
多田さんはおかまいなしにガクガクと腰を揺さぶります。
生まれて初めて男性を迎え入れた膣の中で、熱い塊が容赦なく暴れ回りました。
苦しみとも快楽ともつかない感覚。
力強いピストン運動に揺さぶられながら、私は必死で相手の体にしがみつきます。

「はぁぁぁぁっ、許してッ……!」
「おおっ、締めつけてきたぞ、宮原。ほら、キスしようぜ」

多田さんは私の唇に吸いついてきました。
激しく唇を吸われ、口の中を舌でなぶられると、ジン……と腰に甘い痺れが走ります。

「どうだ、本物のセックスの味は。気持ちイイか」

処女を破られたばかりの下半身が熱くなっていました。すでに痛みはありません。
あるのは、どこか麻痺したような感覚だけ。
そのくせ、じわっ、と尻から背中にかけて這い上がってくるものがあります。
(これが本物のセックス……想像していたのとは全然違う!)

生まれて初めての経験に興奮し、肉が疼きました。
甘酸っぱい腰の感覚が増していくうちに、体のほうが勝手に動き、私は自ら腰を揺すりはじめました。
ぼんやりとした痺れ……これがセックスの快感なのでしょうか?

「自分から尻を回してるな。気持ちイイのか? 初めてのセックスで、しかも好きでもない男にヤられて感じるなんて随分淫乱だな」
「い、嫌、言わないで……」

「うぅ……そろそろイキそうになってきた」

多田さんがなおも腰を揺すると、下半身全体にずん、ずんと重い衝撃が響きました。
彼のものが体の奥まで届いているのをはっきりと体感できます。

「お、おぅっ、締まるッ……イクぞッ!」
と叫んで、多田さんはぶるっぶるっと腰を震わせました。
同時に、アソコの奥に熱い吹き出すものがドクドクと流れ込んでくるのを感じました。

「きゃっ、あ、熱いッ……! んっ……!」

膣の中に、びゅっ、びゅっ、と精液がほとばしるのがはっきり分かります。
多田さんはドクドクと最後まで放出すると、満足したように肉棒を引き抜きました。

「ふう、気持ちよかった。中に出してやったぞ、宮原」
「ああ……」

彼が離れると、私は急に体の力が抜けて、その場にズルズルとへたり込みました。
痺れるような感覚の残る下腹部に目を向けると、破瓜の赤い血が太腿に薄く付着していて、私が処女を失った痕跡をとどめていました。

私が多田さんに純潔を奪われ、女として一番大切なものを征服された証でした。
何か大切なものを失ったという後悔と、これで一人前の女になったのだという誇らしさ。
ふたつの気持ちが複雑に交じりあう初体験が終わり、私は深々とため息をつきました。

──翌朝、私はまどろみの中で目を開けました。
隣で大きな影が動き、男の唸るようないびきの音が聞こえます。
私は全裸のまま、仰向けでベッドに寝ていることに気づきました。

なかば酔っ払って辿り着いた男の部屋。生まれて初めてのセックス。
下腹部の奥には鈍い痛みが残っています。
股の間に太い杭が挟まっているような、不快な異物感……私が純潔を失った証しでした。
(ホントに処女じゃなくなったんだね、私……)

自分がセックスを経験してしまったことがいまだに信じられず、なんだか夢の続きを見ているような気持ちです。
私はのろのろとベッドから起き上がりました。

暗い部屋で、丸出しのお腹をさらして、大の字で寝ている男。
欲望にまかせて女の体を求めた後、充足したように眠っています。
昨夜、自分の処女を奪った男の寝顔を見ているうちに、無性に体を洗いたくなりました。

バスルームに飛び込むと、慌ただしくお湯の蛇口をひねります。
シャワー口から熱い湯が吹き出してきました。
激しい湯に肌を打たせながら、私は丹念に体を洗いだします。

ぼうっとしていた頭が、少しずつはっきりしてきました。
それにつれて、昨夜、自分の身に起きた出来事を思い出します。
たくましい裸身と隆々と勃起した男の器官が脳裏にまざまざとよみがえり、自分の下半身に目をやりました。

濡れた肌が、呼吸に合わせてゆっくりと上下しています。
おそるおそる秘唇に指を這わせました。ひとさし指が狭い肉の通路に押し込まれます。
いとも簡単に根元まで貫通しました。
いままで膣の奥にあった処女膜がなくなっているのが、なんとも奇妙な感じです。

突然、もう自分は処女を喪ったのだと実感し、猛烈な後悔が沸き上がりました。
(どうしよう、私は佐伯さんと付き合ってるのに……
裏切った罰とか言って、なんて軽はずみなことをしてしまったんだろう……
ああ、許して、佐伯さん!)

シャワーを浴びながら、心の中で絶叫しました。
私はバスルームから出て手早く衣服を身につけると、多田さんが起きるのを待たずに、アパートを後にしました。

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