王者

2018/09/03

最近彼女の様子が何かおかしい。
僕には高校の時から付き合っている「さやか」という彼女がいるのだが、最近その彼女が全然僕と会ってくれない。
久々に会えると思っても、急に用事が入ったり、体調を崩してしまったりとかで、ここ数か月は本当に会えない日が続いている。
ちなみに僕も彼女も今年の春、大学に入学したばかりの大学1回生なのだが、残念ながら通っている大学が違う。
僕としては彼女と同じ大学に入りたかったのだが、向こうの親の方針で彼女は女子大へ行くことになり、それは不可能となってしまった。
しかし、お互いに大学には通いで、家もさほど遠くなかったこと、一番はお互いにラブラブだったこともあり、彼女と話し合った結果、もちろん大学に入っても恋人関係を続けていこうと言うことになった。
僕も彼女の行く大学が女子大だったこと、また彼女が本当にしっかりした性格だったこともあり、安心して今まで通りの関係を続けていけるだろうと何の気兼ねもなく思っていた。
また、彼女は誰にでも優しく、元気で、容姿も端麗で、僕からすれば本当に完璧な女性であった為、通う大学が違うからと言って、彼女を手放したくはなかった。
さやかは、顔もミタパンとかいうアナウンサーに似ており僕の好み中の好みで、本当に僕からすれば完璧の女性だった。
彼女とは高校の部活で知り合い、色々な苦難を乗り越え、切磋琢磨している内に自然と付き合うことになった。
彼女は男女いるうちの女子部長だった。もちろん僕は部長でなはい。男の部長は他の奴だ。
僕は特に運動神経が良いわけでもなく、しょっちゅう怪我をしてチームの足を引っ張ったりしていたのだが、そんな僕を毎回気にかけてくれたのがさやかだった。
僕は頼りなく、さやかは、おせっかいなぐらい責任感があり、今となっては情けないが、このお互いの特性の相性が良かったんだと思う。
彼女も僕と付き合ってくれた理由として、僕が危なっかしくて、ほっとけないし、過程はどうであれ接しているうちに僕が純粋で優しくていい人だとわかったから付き合ったと言ってくれた。
付き合えただけでも最高だったのだが、さやかの初めての人が僕だと知った日には本当に感極まって嬉しかった。
他の人のを見たことがないからわからないが、たぶん僕は性行為が下手な部類に入ると思う。すぐ逝ってしまうし、いまだに照れで正常位以外のことはできない。
しかし、そんな僕でも求めるとさやかはほとんどその要求に応えてくれていた。
初めは痛い思いをさせたし、今もさやかはあまり気持ちよくは感じていないと思う。
僕もバカじゃないのでそのことを察し、彼女との行為の回数を徐々に減らしていった。
それでも僕とさやかのラブラブが冷めることはなかったので、僕とさやかは記念日や旅行などの特別な時以外はしないようになっていた。
最後にしたのは去年の高3のクリスマスだったと思う。
それでもお互いの関係はやはり崩れず、このまま将来結婚できたらいいのにね、などと言う会話をするくらいラブラブだった。
僕も実際、社会人になるまで付き合ってゆくゆくは結婚したいと高校生ながら、
本当に思ったりもしていた。
大学へ入学しても初めはお互いに休日にでかけたり、学校をさぼって遊びに行ったりもした。
..................しかし、問題は月日が経つと共に起こっていった。
入学し一か月、二か月が経つうちにお互いが会う頻度が減っていき、携帯でしか連絡が取れなくなっていき、
しまいには夏休みも終わりを迎える今、携帯での連絡もあまり取れない様になってしまった。
僕も大学に入ったら、サークルやバイトや友達付き合いもあり、昔の様な頻度では遊べないことはわかっていたが、まさかここまでだとは思ってもなかった。
最近では彼女から連絡してくることもなくなってしまった。
僕は死ぬほど会いたいのに。
直接家に行ったりもしたが、運悪くいつも不在で結局彼女と会うことはできなかった。
そうこうしていると夏休みも過ぎ去り、後期の授業も始まったある日、地元のコンビニで
紗子という高校の時の同級生に会った。
この紗子という女の子は俺の幼馴染で親友の健二の彼女で、さやかとも仲が良かったため
僕とも少なからず親交があった。
健二はクラスに一人はいる顔はあんまりだが話術が巧みで、
女の子からはそこそこモテるイケイケなムードーメーカー的な奴であり、
そんな健二の彼女の紗子もイケイケで、さやかとは違うケバイ系の美人だった。
見たところ大学に入り、そのケバさがいっそう増した様に感じられ、若干話しかけずらかったが、
どうしてもさやかの情報も欲しかったため、勇気をだして声をかけることにした。
そして、恐る恐る「久しぶり」と僕は紗子に声をかけた。
すると、あろうことか紗子はこちらを振り返り僕と目があった瞬間、全速力で僕の逆方向に逃げ出した。
気付けば僕も彼女を追いかけていた。脳より体がなぜか動き出した。
逃げる者を追いかけるのは人間の本能だろうか。
やがて脳も回るようになってきたが、とりあえず何かあると無我夢中で走り続けた。
傍から見ると異様な光景だったと思う。
そして数分後、ついに彼女の体力がつき
ようやく、僕は紗子を捕まえることに成功した。
しかし僕が彼女を捕まえると同時に
「止めて、健二のもとに連れていくのは止めてっ、あなたがさやかと私に怒るのもわかる」
「でも、お願い。見逃して、ごめんなさい、ごめんなさい」
といきなり紗子が意味のわからない事を叫びながら発狂しだした。
まるでライオンに捕えられたかのような必死っさだった。
僕はとにかく意味がわからなかったので
「何のことだ、全く意味が分からない。とりあえず落ち着け。」
「俺は怒ってないし、おまえが健二から逃げる理由もわからない」
と彼女をとりあえず落ち着かせることにした。
周りの目もあったので、とりあえず僕は彼女を落ち着かせることに集中した。
紗子もとりあえず僕が怒っていないことに気付き安堵したのか、しだいに冷静さを取り戻していった。
そして数分後、冷静になった紗子の口から出た言葉は、
「知らないの?」
という言葉だった。
僕はやっぱり、全く意味がわからない。
さらにさっきの紗子の「あなたがさやかと私に怒るのもわかる」という言葉が頭にずっと残っており
紗子が、健二や僕から逃げる理由、さやかになぜ僕が怒るのか、今この状況で自分が気になっていることを全て、しつこく紗子に問うた。
とにかくさやかのことについて知りたかった。
しかし何度きいても紗子は下を向いたまま黙っていた。
あろうことか、僕の目を盗んでまた逃げ出そうともした。
そして、僕が痺れを切らし
「質問に答えないんなら真剣に健二のもとに連れていく」
と彼女の手を引っ張ると
ようやく紗子は観念し、紗子が健二から逃げていること、さやかのこと、あらいざらい全て話すと言いおとなしくなった。
とりあえず場所も場所なので僕は紗子と近くの喫茶店に移り何が起きているのか、二人で話すことにした。
僕が全てを嘘なく話すなら、紗子をを健二のもとには連れて行かないと断言すると
紗子は完全に落ち着きを取り戻し、自分が健二が逃げている経緯、さやかの事について話し始めた。
「ことの始まりは入学当初。」
「学校はそこら中でサークルの勧誘活動が盛り上がってて私もさやかも一緒にどこに入るか
で迷ってたの」
「これでもない、あれでもないと迷っていると、あるサークルの勧誘の人に声をかけられたの」
「パンフレットのようなものを見せられて、色々説明を聞いていると、他大学と合同のサークルで、その他大学っていうのが近くの慶○大学医学部との合同スポーツサークルだった。」
「私は、あなたの知っていいるように彼氏はいたけど、慶○の医学部の男とお知り合いになれるならと、即決でそのサークルに入部を決めちゃった。」
「それで初めは、さやかも渋ってたんだけど、私の説得、そのサークルがスポーツ系でしっかりしてそうでもあって、さやかも私と一緒にそのサークルに入部したの。」
「それが歯車が狂いだす第一歩だったの。」
「私もさやかもあの人に出会ってしまった。」
すると彼女が数秒黙ったので、
僕は間髪入れずに「あの人?」と彼女に聞き返した。
すると彼女はまた口を開き話し始めた。
「あの人との出会いは、入部後の新歓コンパだった。」
「あの人は龍也っていう名前で私たちと同じ19歳だった。」
「龍也はとにかくイケメンで、たぶん私が生きて、出会ってきた中で一番イケメンだったと思う。
そして医学部とは思えないような色黒で背も高く、話もうまい、私からすれば完璧といえる男だった」
「さらに医学部ということもあって私はすぐに彼の虜になった。」
「もちろん私だけじゃない。サークルの女性ほとんどが虜になっていた。」
「同い年なのに彼が一回りも二回りも大きく見え、さらに彼のドSっ気の半端なさに引かれた女性はわんさかいた。」
「サークルとしてはちゃんとしたサークルだったんだけど彼のおかげで全てがめちゃくちゃになっちゃったの。」
「彼がすごいのは、その圧倒的な自信。」
「全てを掌握するような迫力。カリスマ性。目力」
「現にサークルに私たちの学年に女の子は30人いたんだけど、数週感もたたずに可愛い子はほとんど彼に喰われたわ。」
「そう彼はあのスペックな上に女好きなの。無敵よ」
「まぁ当然っちゃ当然よね。何もしなくても女の子がよってくるんだもん。」
「健二には申し訳ないけど、私もすぐに抱かれてしまったわ。」
「なぜっ!」と僕
「あの人に口説かれたらもう女の子なら心が蕩けちゃうのよ」と紗子

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