20年目の再プロポーズ

2018/04/09

オレ、元カノを十数年振りに抱きました。
そして、その彼女は私の隣に居ます。
男ばかりの会社の店長代理で女性と知り合う機会も殆どないし(出入の業者はオッサンばっかり)・・・休み無いし・・・仕事終わるの遅いし・・・。
数年前までは彼女も居てそれなりに普通の生活もしてたけど会社の業績悪化と共に、社員→派遣→パート→無し・・・って具合に人員整理されて、名前だけの昇格+給料カット+仕事は増える一方=モーレツ会社人間って感じで悪循環。
当時の彼女にも親からも「結婚は?」って言われていたのに何かタイミングを逃して、そしたら田舎帰って見合いで地元の旧家に嫁いでしまって女のほうも悪循環って具合だった。
そんなオレに、会社から急に1週間休暇を取れって話になって・・・でも3日前ですよ言われたのが!!
そうなると旅行に行くにも誘うのにも時間無さ過ぎですよ。
って事で、去年結婚した学生時代の後輩がいるんですが、遠方だった事もあり結婚式にも行ってなかったので事情を説明してみると、是非遊びに来て下さいとの返事。
話を聞くと、奥さんは妊娠中であり、嫁の実家に行く以外予定なしとの事だった。
後輩は泊まれって言ってくれたんだが、一応すぐ近く(歩いて10分位)のビジネスホテルを取った。
当日、新幹線と在来線を乗り継いで途中の駅から電話をすると後輩は都合が悪く駅まで奥さんが迎えに来てくれるとの事。
奥さんの顔は写真で知っているので駅ではすぐに見つける事ができた。
そして、3人一緒に食事に出かけた後、後輩の奥さんに送ってもらい飲みに行く事になった。
3軒程飲み歩きフラフラになった後輩を送って行き、後輩宅のインターホンを押した。
ところが、オレが押したインターホンは隣の家のものだったのだ。
そこで出てきたのは、オレの人生で初めての彼女、信代だった。
彼女も「えっ!!!」て感じで気付いていたようであった。
信代は高校の2年先輩で少し天然な所もあったが、色白で背は高くスレンダーで非常に人気のあった先輩であった。
当時高校入学間もない頃に一目惚れしたオレは部活の先輩から信代が彼氏から振られた事を聞き、熱心に毎日のように口説いた事を思い出す。
そして、夏前から丸2年間付き合った。
勿論オレの初めてのヒトでもあった。
その後、信代の転勤と共に高校生のオレの手の届かなくなったヒトであった。
後輩は信代に謝ると後輩の奥さんも気付いて玄関先まで出てきて、一緒にスイマセンと謝っていた。
後輩宅で水を一杯飲んだ後、ホテルに戻るつもりで待たせていたタクシーに戻ろうとエレベーターの前で待っていると後ろから声が聞こえた。
「植田さんですよね?」
紛れも無く信代の声だった。
振り返るとやはり信代だった。
オレは近寄り抱きしめた。
「だめ!」っと一言だけ言うと、信代はそっと紙切れを差し出した。
ちょうどエレベーターが到着し、運転手が怪訝そうな顔をしながら「まだですか?」とやって来た。
すると信代は「お願いします」と言い家に戻って行きました。
オレはホテルまでのタクシーの中で右のポケットにしまいこんだ紙切れをずっと握り締めていた。
ホテルの部屋で見た紙切れには、信代の電話番号とアドレスが書かれてあった。
直ぐにでも電話をしよう、メールを送ろうと思いましたが、家庭もあるだろうと逸る気持ちを抑え、眠りに就いた。
翌朝、後輩には二日酔いだと嘘の電話を入れ、その後信代に「電話、大丈夫?」とメールを送った。
すると、直ぐにOKの返信があり電話を掛けた。
十数年振りのぎこちない会話の途中で信代が「何で進ちゃんがここにいるの?」と言いこの地に来た経緯を説明していた。
オレは「少しでいいから会えないか?」と言うと、信代は待合せ場所を駅前のホテルに指定しました。
その時は、食事をして近況報告等しながら昔話ができればなんて思っていたのだが、ホテルに現れた信代は今にも泣きそうな顔をしていた。
ティーラウンジで泣き顔の女性といると目立ってしまうのでオレは信代に部屋を取るのでそこで話をしようというと信代もそのほうが良いと言ってくれた。
部屋に行くと信代は「進ちゃん、ごめんなさい」と言いながら泣き出してしまった。
泣き止むまで自然と抱きしめていると、信代は「今から言うことを聞いて」と言い椅子に座り直した。
そして、会社の上司と不倫したので転勤させられた事、高校生だったオレは浮気を許してくれないだろうと連絡を絶った事、別の不倫がバレて子会社に飛ばされた事、その不倫した相手と結婚した事、家から勘当された事、旦那が会社の若い子と不倫をしている事、結婚して10年程になるが子供はいない事、ここ3年位は抱かれていない事など矢継ぎ早に信代は言った。
不倫のツケは戻ってくるもんだと信代は繰り返し言いながらまた泣いていた。
オレに出来る事は唯一抱きしめる事だった。
信代は「抱きしめるだけなら後で私が後悔するから止めて!」と言いました。
オレの気持ちは高まった。
信代の長いストレートの髪を掻き揚げると指でそっと涙を拭った。
腫れ物に触るが如くゆっくりとしたキスの後濃厚なキスをした。
見つめ直すと涙で潤んだのとは違うオンナの眼になっていた。
背中のファスナーに手を掛けた時、信代が「進ちゃん待って、シャワー」と言いましたが、オレは「昔みたいにお姫様抱っこさせてくれ」と言い、そのまま服を脱がせました。
当時のオレは、初めて信代と過ごすクリスマスの時お姫様抱っこをした。
それは、信代が憧れていた事を知っていたからだ。
そして、次の年も同じホテル同じ部屋でお姫様抱っこをした。
そして、彼女の誕生日にお姫様抱っこをしながらプロポーズもした。
彼女の両親にもその話をしていた事を思い出した。
3回目のクリスマスは過ごせなかったが・・・。
信代は「重くなったからイヤ」と言うものの嫌がる様子は見せない。
久々に見る黒の下着から見える信代のカラダは全然弛みがなく綺麗なままだった。
下着姿のままお姫様抱っこでバスルームまで連れて行った。
ブラに手を掛けると「恥ずかしい」と言い抱きついてきた。
そのままキスをしながらホックを外す。
信代は自分で器用にショーツを脱いでいる。
脱いだ瞬間にスルッとオレの腕から離れ反対を向き、バスルームに入って行った。
オレは何一つ脱いでいない。
慌てて服を脱ぐオレ。
バスルームから「やっぱり恥ずかしいから待ってて」と信代の声。
オレに待つほどの余裕は無い。
そのまま服を脱ぎバスルームに突き進む。
シャワーを浴びている信代を後ろから抱き寄せると信代は「進ちゃんとの頃とは違うよ、汚れたオンナだよ」と言いながらまた泣き出した。
オレはバスタブに湯を溜めながら「こうやって全て話してくれたじゃないか」とさっきよりも強く強く抱きしめた。
バスタブに湯が溜まり一緒に入ろうと言うと小さく頷くのが判る。
後ろから抱き上げながら体を廻し対面する形で湯船に収まった。
信代は「さっきから私ばっかりよね、進ちゃんはどうしているの?」と尋ねてきた。
オレは何人かと付き合ったりしたがずっと独身だと言った。
信代は「まさか私のせいじゃないよね?」と言いながら今日始めての笑顔を見せた。
そして、旦那が不倫相手と旅行中であることを告げた。
オレはこの瞬間、今、信代を抱かないと心に決めた瞬間でもあった。
何故ならあと2日旦那が帰ってくるまで余裕があったからだ。
風呂から上がると俺は信代の心を解放させるが如く全ての胸の内を打ち明けるように仕向けた。
すると、不倫・勘当・その他で友人とも連絡が取りにくくなった事や、知らない土地で本当の友人がいない事、略奪愛で奪った旦那だから何時かこんな日が来るのではと思っていた事、カラダの手入れは欠かさずしていた事も判りました。
そして2~3時間掛けて信代の安堵の表情を確認したオレは思い切って連れ出す事を提案した。
「どうせ帰って来ない旦那の事でモヤモヤする位だったら出掛けよう」と。
後輩には会社から緊急事態の連絡があり今日中に戻らないといけないと嘘を言い、ビジネスホテルへ戻り荷物を取り駅で信代と再度待合せた。
時間は夕方近くなっており「何処に行きたいか?」と問いかけると、信代は「花火が見たい」と言い、オレは咄嗟に電車で1時間程の場所にある某遊園地に向かった。
夏場の遊園地は必ず花火が付き物だと思ったからだ。
遊園地に着くとナイト営業の張り紙があり花火の告知もありホッとした。
花火の時間までもう少しある。
これ以上信代に話をさせるのは酷だ。
気分転換にでもと何か乗るか?と聞くと「アレ」と観覧車を指差した。
信代は何か吹っ切れたように腕を絡ませてきた。
辺りは薄暗くなり周りは若いカップルばかりだ。
観覧車に着くと係員が「花火までもう少し時間がありますよ」と教えてくれたが、逆に「閉園までの間、貸切とは言わないがずっと乗っていたいんだが」というと「今日は人が少ないから3回分で良いよ」と言ってくれた。
観覧車に乗ると暫しの沈黙の後、信代は「初めてキスした日のこと覚えてる?」と言い、すかさずオレは「俺の誕生日の前日」と答えた。
そうだ、オレの誕生日の前日は地元の花火大会の日だ。
「だから花火が見たいと言ったの?」とオレ。
信代は頷くと
「あの頃はキレイだったのになぁ。私」と呟いた。
そのまま抱き寄せた。
オレはゆっくりとやさしいキスを何度もした。
そして、信代はオレのほうにカラダを向けた…

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