マコトがマコになって、彼女になった
2018/03/23
男同士の話になっちゃうんだけど、暇だったら、まぁ聞いてくれ。
俺は、中高と男子校に通っていた。
いわゆる進学校で、当然だが男ばかりで、ガリ勉というかオタクっぽい奴らばかりだった。
俺は、アクティブすぎる親父に、あちこち引っ張り回されて育ったので、結構なんでも出来るタイプだった。
スキー、スノボ、クライミング、サーフィン、ゴルフ、ビリヤード、ダーツ、トライアルバイク、レーシングカートなどをする。
多趣味とも言えるが、どれも中途半端とも言える。
そんな俺なので、インドア派が多い学校の奴らとは、反りが合わなかった。
とは言っても、クライミングジム、ビリヤード場、ダーツバーなどに学校帰りに入り浸っていたので、友達は多かった。
俺が高2の時、いつもみたいに学校帰りにビリヤードをしていると、見かけない顔が入って来た。
俺が通っていたビリヤード場は、わかりづらい場所にあって、おまけにけっこうガチな人が多いところだったので、一見さんは珍しかった。
子供みたいな見た目のそいつは、マイキューを持って一人でフラッと現われた。
まだ時間も早く、俺も連れがまだいなくて一人で突いていたので、声をかけた。
「一人なの? 四つ玉?ポケット?」
『あ、どっちも好きです。』ちょっと緊張気味に答える彼。
近くで見ると、本当に子供と言った感じだ。
俺も高3だったので、ガキと言えばガキだが、彼は子供と言った方がしっくりくる感じだった。
『じゃあ、フォティーン・ワンやらね?』
「良いんですか?ありがとうございます!」
嬉しそうに頭を下げる彼。
名前はマコトで、幼く見えるが、高2だそうだ。
しかも、俺と同じ高校だった。
『じゃあ、先輩ですね! よろしくお願いします!』
オタクみたいなヤツの多い高校だが、マコトはなかなかイケメンで、服装もおしゃれな感じだった。
ゲームが始まると、舐めていたけどかなり上手かった。
と言うか、余裕カマしてられないくらい強かった。
かなりの熱の入った接戦になり、気がついたら周りにギャラリーが出来るくらいだった。
そして、僅差で俺が勝つと、拍手が起きたくらいだった。
『先輩、すっごく強いですね! このゲームで初めて負けました!』
「いや、マコトも相当強いよね!マジ驚いた。 ナインボールでもするか?」フォティーン・ワンで、かなり精神が消耗したので、気楽なナインボールに切り替えた。
これもほぼ互角で、勝ったり負けたりしながら、楽しく突いた。
俺の周りには、俺よりかなり弱いか、歯が立たないくらい強いかという、両極端な人達しかいなかったので、マコトの登場はマジで嬉しかった。
この日から、よく一緒に突くようになり、学校でも学食で一緒に飯を食べるようになった。
最初の頃は、ネコでもかぶっていたのか、マコトはかなりおとなしめだったが、慣れてくるとけっこう馴れ馴れしいヤツに変わった。
高校の頃なんて、一つ上と言うだけで、絶対権力でも持っているような感じで偉そうにするものだが、マコトのキャラと、俺の性格もあってか、友達のような感じになってきた。
マコトも学校の連中とはなじめないようで
『あいつら、ヤフーのコメント欄とか、まとめサイトのコメント欄に、自分が全能の全てわかった人間みたいな感じで書き込むような奴らだしw ドンだけ他に話を聞いてもらう場所がないのかって感じだよねwww』
「あぁ、何となく言ってることわかるわw 自分の価値観が絶対だと思ってる感じなw 自分は消費するだけで、何も生み出さない空っぽのくせになw」
『でも、それは僕らも同じでしょ?w 何も生み出さないw』
「まぁそうだけど、少なくとも、文句は言わないw」
『確かにw でも、あいつらずっと張り付いてて、ホントにごくろー様だよねw』と、意外と口も悪く、考え方も俺と似ていた。
そして、俺もマコトも意外とモテた。
マコトはどこから見てもイケメンだし、俺は社交的で、スポーツ万能という感じだからだと思う。
たまにナンパで引っかけて、4人で遊んだりしていた。
ただ、マコトは女の子達と遊ぶよりも、俺と二人で遊ぶ方が好きって言う感じで、ナンパもその後のコンパ的なのも、イマイチノリが悪かった。
俺もすでに童貞ではなかったけど、女と遊ぶよりは、マコトと真剣に勝負している方が楽しいと思っていた。
「マコトって、なんで彼女作らねーの?」
ビリヤードをしながら聞くと
『めんどくさいし、先輩と遊ぶ方が楽しいからw』
「そっかw 俺もオマエと遊ぶ方が好きかな?w」
笑いながら言ったのだけど、マコトはなぜか顔を赤くして、珍しくキューをペチンとか言わせてファールした。
「初心者かよw」
『先輩が、恥ずかしい事言うから!』
「え?何が?」
本気でわからずに聞き返すと
『いや、なんでもない、、 僕も好きだよ、、』
「あぁ、そう、、 まぁ、彼女出来るまでは、俺と遊んでくれよw」
『わかった、、 そうするw』
妙に良い笑顔で言うマコト。
イケメンのマコトがそうすると、けっこうドキッとした。
よく見ると、本当に整った顔をしている。
今時流行の男の娘風にメイクすれば、そこらの女よりもイケる気がする。
そんな風に、マコトのおかげで楽しい高校生活になり、時間は流れて大学に進学することになった。
俺が一つ上だから、マコトは高3になった。
『先輩、大学生になっても、僕と遊んで下さいよ!』
妙に真剣にマコトに言われた。
ちょっと涙目に近い感じで言うマコトは、妙に可愛らしくて、ちょっとドキドキしてヤバいと思った。
「当たり前じゃんw ていうか、俺一人暮らしするから、何時でも遊びに来いよ!」
大学進学とともに、親父の方針で一人暮らしをすることになった。
親父いわく、一人暮らしをしたことのない男は、生活力もなく、嫁への気遣いも出来ない人間になるそうだ。
今の俺には意味がわからなかったが、一人暮らしが出来るのはメチャ嬉しかった。
そして大学生活が始まり、今まで身の回りにいなかった女子もいるので、生活も変わってきた。
飲み会やコンパなどで、意外と忙しかった。
たった二ヶ月ほどで、女性経験も一気に10人近く増えた、、、もともと、高校時代には2人としかしてなかったので、いわゆるデビューという感じだ。
ただ、その高校時代の2人も、大学に入ってからの10人も、彼女ではない。
付き合って欲しいという感じにはなったりするが、何となく決め手に欠けるというか、めんどくさいと思って避けてきた。
なので、俺は彼女いない歴が年齢と同じだ。
そして気がつくと、マコトと2か月近く遊んでいなかった。
悪いと思って、メールすると、これから遊ぼうと言う事になった。
そして、30分ほどしてマコトが来た。
ドアを開けると、マコトが泣きながら抱きついてきた。
「えぇ〜? 何?どうしたの?」
本気で驚いて、東京03みたいなリアクションになってしまう。
『もう、遊んでくれないと思ってた、、 もう、会えないって思ってた、、』
「ちょっ! 大げさだって! 落ち着けよ!」
慌てる俺だが、マコトはいきなり俺にキスをした。
「ちょっちょっ! ちょっとぉ!」
パニクる俺。
でも、マコトの唇の柔らかさに、ちょっと勃起した、、、『僕、先輩が好きですっ!!』
ストレートな告白をされた、、、「それって、なに、、その、、 Likeってヤツじゃなくて?」
『はい、、Loveの方です、、、』
そう言って、ガシッとしがみついてくるマコト。
そこで、気持ち悪いとか、そういった感情が持てたら人生違ったのかも知れないが、逆に理解してしまった。
最近、ゼミで一緒のかなり可愛い女の子と、何となく良い感じになってきたのに、まるっきりテンションが上がらない理由が、、、単純に、俺もマコトの事を好きだったと言う事だと思う。
俺は、思い切ってマコトにキスをしてみた。
ビックリして目を見開いたマコトだが、すぐに目を閉じてキスをされる顔になった。
そして、やっぱり唇を重ねてみても、嫌悪感は湧かなかった。
それどころか、凄くドキドキし始めた。
ゼミのあの子と遊んでいるときには、まったくドキドキしないのに、マコトと唇を重ねたらドキドキがヤバかった。
そして、もっと自分の気持ちを確かめようと、舌を入れてみた。
すると、ノータイムでマコトの舌が絡みついてきた。
俺の口に舌を突っ込みたくてたまらないのだけど、必死で我慢していた感じだ。
俺が舌を差し込んだ事で、マコトも必死で舌を絡めてくる。
そのまま、かなり長い時間キスをしていた。
多分、女ともこんな長時間キスをした事はないと思う。
そして、唇を離すと、『あぁ、、』
と、マコトが名残惜しそうに声を上げた。
そして、潤んだ瞳で俺を見つめる。
「ヤベw 俺も好きだわw」
『本当に? ホント?好き?僕の事好き?』
言い終わる前に唇を重ねてまたキスをする。
キスを終えると
「好きって言ってるだろw」
と言ってみた。
マコトは、嬉しそうに涙目で笑った。
この日から、二人の関係は恋人同士と言う事になった。
ただ、さすがに俺はホモでもゲイでもないので、恋人モードの時はマコトに女装してくれとお願いをした。
そんなお願いをしたら怒るかな?と思っていたが、逆に喜んで受け入れてくれた。
マコトは、メンタリティは完全に女のようだ。
そして、初めてマコトが女装する日が来た。
もともと家で一人の時などに女装していたらしく、ウィッグもメイク用品も持っていて、服も持っていたマコトは、俺の部屋に大きめのカバンを持って現われると、『先輩w 30分くらいしたら戻って来て。 それで、絶対にマコって呼んでねw』
と、嬉しそうに言った。
俺は、マコトの事を受け入れたけど、まだ愛情なのか友情なのか判断がつかずにいた。
キスはしたけ…