流石はイケメン、女心をわかってるね!っていう話

2018/02/17

中学時代から仲の良かった相馬という男がいた。
イケメンなのにそれを鼻にかけないタイプだ。
俺とは最初から気が合った。
高校も同じ高校に進学し、そこでそのイケメン目当てに近寄って来たと思われる和美が仲間に加わった。
正直相馬との付き合いが無ければ俺にとっては高根の花といった風情の可愛い女の子だ。
しかし友達になってしまえば、後は内容だけの問題だということを当時学習した。
俺は和美にちょっぴり罠を仕掛けることにした。
相馬もその罠にはノリノリで早速計画を実行する。
和美はちょっぴり馴れ馴れしいところがあり、相馬と俺がヒソヒソ話をしていると、必ず割って入って来て
「何の話? 何の話? あたしも仲間に入れて~!」となって聞き出すまで折れないというタイプだったので、そのパターンを利用して言わせてしまおうと思ったのだ。
いつオナニーをしているのかを…。
和美がそばに来るのを確認したら、これ見よがしにヒソヒソ話を開始した。
案の定、和美が足を止めて聞き耳を立てている。
俺はその様子を横目で見て「うっしっし!」と押し殺した笑い声を洩らした。
演技ではなく、『和美め、まんまと引っかかりそうだな』という本心からの笑いだ。
そしてソワソワしはじめ、居ても立ってもいられなくなり、ついに声をかけてきた。
和美:「そこの二人! 男なのにそんなヒソヒソ声でイヤラシいな~。私にも話してみなさい!」
そこで、俺と相馬は示し合わせていた通りに『うわっ、まずい』という顔をして、「えっ? なんのこと?」ととぼけて見せた。
和美:「今、これ見よがしにヒソヒソ話してたでしょ?」
『あちゃ~、さすがにワザとらしかったかな?』と心配になったものの、乗り気な相馬が切り返す。
相馬:「いや、和美が近くにいるのは気がつかなかったな。それに大した話ではないよ。まぁ男の事情っていうかね…。」
和美:「ははぁ~、そんなこと言ってあたしを締め出そうとしたって無駄だよ。教えてくれるまで離れないんだからね。」
俺 :「う~ん、どうする相馬? これって親友の和美であっても流石に話せないよなぁ?」
相馬:「あぁ、無理無理、何しろ俺らの品性を疑われちゃいそうだからな。」
和美:「ひょっとして、そんなに下品な話をしてたの?」 俺 :「下品? 下品だなんて失礼だな。俺たちは真剣な悩みを相談してたんだぜ? まぁちょっぴり笑える話だけどな。」
相馬:「ははは、まぁ俺らからすれば笑えるけど、和美からすると怒り出すかもしれないな。」
相馬は本当に相手の気持ちを揺り動かすのがうまい。
「怒り出すかもしれない」と前フリしておけば、その後話の内容がどんなにエゲツナイものでも怒ることは出来ないからだ。
和美:「………。私が怒るような事? それって私の事?」
≪違う、違う!≫
俺たちは声を揃えて否定する。
相馬:「さっきも言ったけど、いわゆる男の事情って奴だよ。だから和美にはちょっと相談しにくいことなんだ。」
俺 :「そうそう、だから今回はちょっぴり遠慮してくれると助かるぜ。」
和美:「う~、またまたそんなこと言って~。こうなったら意地でも聞き出したくなるじゃないのよ~。」
相馬:「まぁ、話してやってもいいけど、多分和美は心底引くと思うよ? それに絶対に軽蔑すると思う。」
和美:「そんなこと話してみないとわからないじゃない?」
相馬:「話さなくたってわかるの。なぁ、智也(俺の仮名)」 俺 :「あぁ、さすがにちょっと話しにくい話ではあるよな。特に和美には…。」
和美:「わかった! それなら、どんな内容でも絶対に怒らないし、軽蔑もしないよ。」
相馬:「いやいや、それだけじゃないんだ。俺らの話はそれぞれ本当に個人的な問題なんだけど、この話を聞いたら、和美にも正直に答えてもらわなければならなくなるんだ。」
和美:「えっ、個人的な問題を正直に?」
相馬:「そうそう、こればっかりは『イヤ』と答えざるを得ないだろうからね~。

和美:「ひょっとしてものすごく答えにくいこと?」
相馬:「うん、答えにくいと思うね。少なくとも正直に本当の事は言えないだろうね。」
和美:「そ、そうか…。ちょっと怖い気もするな。と、とりあえず今回は聞かなかったことにするよ…。」
相馬:「うん、うん、それがいいよ。」
相馬は満面の笑みを浮かべながら自信満々に勧めている。
俺の方は正直心底ガッカリしてしまった。
これでは当初の計画は失敗したも同然だ。
もしかしたら脅しすぎてしまったのかも? 和美が離脱した後、俺は相馬に「やっぱり脅かしすぎたかな? 完全に失敗したね。」と切り出した。
相馬は今でも満面の笑みで自信満々の様子だ。
相馬:「俺の表情を見て、本気でそう思うのか?」
俺 :「だって和美のやつ、完全に腰が引けてたぜ?」
相馬:「大丈夫。今は最悪の事態を想像して一旦身を引いたに過ぎないよ。恐らく性的なことも頭をよぎっただろうね。」
俺 :「『男の事情』なんてキーワードを何回も聞かせたからな…。

相馬:「だけどあいつの性格だ。一旦最悪の想像をシミュレーションして、それを覚悟した上で再度来るに決まってる。」
俺 :「好奇心旺盛だけど、さすがにそれは無いんじゃないか?」
相馬:「まぁ、良いからそのまま放っておけ。必ず我慢しきれなくなって向こうから切り出してくるさ。」
俺 :「そうかなぁ~。」
相馬の予想は怖いほど的中した。
放課後になって俺と相馬が無駄話に花を咲かせていると、和美が近づいてきて悩んだような表情を浮かべている。
そういう表情も悪くないなぁと思ってしまった。
いわゆる萌えてしまうような表情と言っても良いだろう。
和美:「午前中に話してた事だけどさ~。」
俺 :「午前中? あぁ、あの件ね。」
和美:「怒らないし、軽蔑しないし、聞かれた個人的な事に正直に答えれば、私にも教えてくれるのかな?」
俺 :「えっ、本当に聞きたいの? だけどなぁ…。どうする? 相馬。」
相馬:「う~ん、俺は構わないけど…。っていうか正直俺は和美の話も聞いてみたいと思ってるけどね。」
俺 :「おいおい、そんなことを言っちまっていいのか? 後でお前の立場がまずくなるんじゃないの?」
相馬:「そういう智也だって聞いてみたいだろ?」
俺 :「そ、そりゃそうだけどさ…。」
和美:「ちょっとぉ~、二人だけで勝手に話を進めてくれちゃって酷いじゃない? そろそろあたしも仲間に入れてよ!」
相馬:「わかった、わかった! それじゃあ、もう一度確認するけど…。なんだっけ?」
和美:「怒らない、軽蔑しない、個人的な質問に正直に答える…でしょ?」
相馬:「あぁ、そうそう、そういうことだ。それを約束出来るんだな?」
和美:「う、うん…。約束するよ。その代り、あたしが内容を知らないからって、今さら内容を変えないでよね。」 俺 :「そりゃあ勿論!」
和美:「う~ん、信用できないな。二人とも同時に言ってくれる?」
俺 :「同時に?」
和美:「そうそう、二人同時に言って、その内容がほとんど同じなら信頼できるじゃない?」
相馬:「しょうがないな。それじゃあ智也。いいか?」
俺 :「あぁ、いいよ。1、2の3で良いよね?」
相馬:「あぁ、それでは1、2の3を言い終えた後に二人同時に言うのな。」
俺 :「それじゃ行くぞ!」
≪1、2の3! いつオナニーした?≫
和美:「………………。は?」
相馬:「いや、だから『いつオナニーした?』って話だよ。

みるみる顔色が変わっていく和美。
そこに畳みかけるように言葉を繋ぐ相馬。
相馬:「大丈夫か? まさか怒らないだろうね?」
和美:「本当にそんな話をしていたの? だって智也なんてさっき笑ってたじゃん。」
俺 :「あぁ、だってあまりに相馬のペースが速いもんだから『おまえやりすぎ』ってことで笑っちまってね。

和美:「うっ…。」 相馬:「話の内容としてはそういう事なんだよ。それで俺だけど、正直日に2回くらいはやってるってことだ。」
相馬が恥ずかしげもなくサラッと切り出してしまう。
俺もその流れに乗って「まぁ通常は毎日1回だけど、時々2回ということもあるかな。」と打ち明ける。
相馬:「和美ちゃん、その表情はちょっと想定外だったって感じだねぇ~。無理に答えなくてもいいよ?」
俺 :「う…

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