健康おたくな義姉

2018/01/21

近所のショッピングセンターみたいな場所に惣菜やらを買いに行った時のお話。
なにやら幸せそうなファミリーやら枯れ果てた人妻やキュートな新妻の中に紛れて買い物をしていた時の事。
このショッピングセンターには、買い物する部分以外にも「ふれあいコーナー」みたいな、座ってテレビを見たりタバコを吸ったりジュースを飲んだりすることができる場所がある。
買い物を終えた僕は、ちょっとタバコでも吸おうとそのふれあい広場に行ったのだが、どうも普段と様子が違う。
いつもは椅子が並べてあって、枯れたオッサンや無理やり買い物に付き合わされたお父さんが座ってタバコを吸ってるだけなのに、やけに人でごった返している。
というか、椅子すらも撤去されていた。
椅子も撤去され、灰皿も撤去され、全ての物がなくなったふれあい広場コーナーで何をやっていたかというと、なにやらピンク色の数枚のパネルが並べられ、近くの小学校の児童が作成した版画展をやっていた。
版画を見ながら数人の主婦らが「上手ね」などと意見を述べ合ったり、自分の作品を見に来た小学生が恥ずかしそうに笑ったりと、ふれあいコーナーの名に恥じぬふれ合いぶりだった。
普段のように、タバコを吸うオッサンやらが座っているだけの「ふれあいコーナー」は実は全然ふれあっていない。
好き勝手にタバコを吸っているだけ、ただの喫煙所に過ぎない。
実はこういった版画の展示会などをやることこそが真の「ふれあい」なのだ。
「へぇー、最近の小学生は上手だなー」
などと、真の意味でのふれ合いを理解した僕は、買い物袋をぶら下げながらしばし展示されている版画に見入る。
自分が小学生だった頃と比べてやけにテクニカルな版画たちに少し感動すら覚えた。
それと同時に自分の中の版画に関する切ないメモリーが蘇った。
僕が通っていた小学校も、なぜかだか毎年3月くらいになると全校規模の版画展が催されていた。
だから、ちょうど今ぐらいの時期になると版画ばかりをやっていたような記憶がある。
冬=版画という思考が成立するほどこの時期は版画を彫っていた記憶がほとんどだ。
版画というのは面倒くさい物で、普通に絵を描く以上にやたらと工程が多かったような気がする。
死ぬほど面倒、できればやりたくない、などと美術センス0の僕は冬が来る度に思っていた。
まず、下絵を描く。
これは普通に絵を描くのと何ら変わりがないのだけど、後に版画にすることを考えて線画で描いていたような気がする。
そして、その下絵をカーボン紙を使って気に写す。
そいでもって、彫刻刀を使って木を彫り、最終的にはインクを木に塗って紙に写して完成だ。
この最後のインクを塗って紙に写す部分だけは常に先生がやっていたと記憶している。
僕らは横で見ているだけだった。
傍目には彫った木にインクをローラーで塗り塗りするのが楽しそうでやってみたいと思っていた。
ある年の版画製作の時のお話。
その年の版画のテーマは「スポーツ」だった。
クラス中のみんなが各々得意なスポーツやら好きなスポーツのワンシーンを版画に写し出していた。
ある者は野球をしている光景を、ある者は陸上の幅跳びのダイナミックな瞬間を、水泳のワンシーンを水しぶきまで細やかに表現する者も。
それぞれが静止画であるはずの版画に動きを表現し、躍動感を見事に演出していた。
そんな中で僕が描いたのは「じゃんけんをする三人のオタクっぽいお兄さん」。
それぞれが三すくみで向き合い、グーチョキパーを出している絵。
もう躍動感とかクソもなくて、ボケーとグーを出してるお兄さんとかだったからね。
しかもスポーツですらないし。
今更ながら思うけど、あの当時も僕ってバカだったんだと思う。
それでもまあ、じゃんけんの図を紙に描きまして、カーボン用紙を使って木板に絵をトレース。
それに従ってサクサクと彫り進めていったわけです。
皆が水泳やら野球やら陸上やらの躍動感のある絵を彫っている中で、シコシコとじゃんけんを彫っていたわけです。
しかしまあ、彫っていたといっても異常に不器用だった当時の僕。
なにやら一本のラインを彫るのにも相当の時間を要していました。
この版画は図工の時間を利用して彫っていたのですが、当然ながら遅すぎてその時間だけでは間に合わない。
仕方なく家に帰ってからも彫るのだけど全然間に合わない。
結局、僕の制作活動は遅れに遅れてしまい、周りの皆から取り残される形になりました。
図工の時間。
この日は彫り終わった皆の作品をインクを使って印刷する日でした。
先生がローラを使って木板にインクを塗っていき、紙を乗せてバレンだかアレンとかいう餅巾着みたいな物で擦る作業をやっていました。
次々と完成していく作品にクラスメートたいからは歓喜の声があがります。
誰だって、自分が必死に彫った作品が紙に写しだされて完成形になると嬉しいものです。
「わー、○○君の凄く上手」
「どうやって彫ったらあんな綺麗な模様が出るんだろう」
「あーあ、私のちょっとインク塗るの失敗しちゃった。もう一回やって欲しいな」
などと、クラスメイトたちは躍動感あるスポーツ版画の出来を見て悲喜こもごもでした。
そん中、まだ完成していない僕を含む三人は教室の隅で彫り作業。
皆が熱心に印刷する影でシコシコと木板を彫っていたのです。
三人がまるで落ちこぼれのように教室の隅で彫り作業をしていたわけですが、その理由は千差万別でした。
まず、僕は異常に不器用で彫るのが遅かった為に印刷には間に合いませんでした。
松尾君は、ただ単純に面倒くさくて彫っていなかったために遅くなっていました。
学校に彫刻刀を持ってこないわ、なかなか絵を描かないわで遅くなったのです。
まあ、単純に怠け者だったみたいです。
それでまあ、先生に怒られて嫌々彫り始めたという按配でした。
でも、後藤君は違った。
彼は異常に上手すぎるために間に合わなかったのです。
異常に上手で賞なんかも取れる可能性がある、そう睨んだ担任は後藤君に「とにかく遅くなってもいいから慎重に彫れ」などと命じていました。
優等生だった後藤君はそれはそれは慎重に慎重に彫っていたために、ここまで遅くなったのです。
上記二人とは明らかに遅れた理由が違う。
それでまあ、遅れ組三人はシコシコと教室の隅で木板を彫っていたわけです。
僕の隣には怠け者松尾君が座り、その前に後藤君が座って慎重に彫っている、そんな構図でした。
僕のじゃんけんの絵も順調に進んで行き、後は手前でチョキを出すオタク兄さんの服の模様を彫るだけという所まで進んでいました。
コレが完成したらやっと印刷に移れる。
あっちでキャーキャーと自分の作品の出来を喜んでいるクラスメイトに混じることが出来る。
それはそれは必死で彫りました。
その横で松尾君は「あー、面倒くせえ、面倒くせえ」とか呟きながらジョリジョリと彫っていました。
確か彼はローラースケートをしている光GENJIみたいな絵を彫ってました。
面倒くさくて細かくシャリシャリと彫ることが嫌だったのが、シャーシャーとまるでローラースケートのように木板の上に彫刻刀を滑らせ、大胆に彫り進めていました。
そして、優等生後藤君の作品をチラリと見ると、さすがに担任が見込んだとおり上手な作品でした。
棒高跳びかなんかで飛ぶ瞬間の選手を真正面から描いたような作品は、ガキの僕が見ても構図といい躍動感といい素晴らしい物でした。
「やっぱ後藤君はすごいな・・・」
自分のじゃんけんの図が急に恥ずかしく思えてきました。
なんだよ、じゃんけんってと自分で自分を恥じ入るほどに蔑んで思えました。
「それでもこれが自分の作品なんだ。頑張って完成させなくては。もう少しで完成だし」
と、自分の作品が恥ずかしい物と思いつつも、なんとか必死にじゃんけんの図を彫っていました。
その間も、隣に座る怠け者松尾は、大胆に大きなストロークで彫っていました。
シャーーーーーーー
シャーーーーーーー
シャーーーーーーー
と聞いていて心地よくなるぐらい大胆に彫っていました。
そして、その瞬間に事件は起こったのです。
シャーーーーーーー
シャーーーーーーー
シャーーーーーーー
ズル
ズボッ
なにやら小気味良い彫り音に混じって、異様な音が聞こえました。
そして松尾君の「やべっ」という声。
何事かと思って松尾君の方を見ると、彼の手には彫刻刀がありませんでした。
さっきまでこっちが気持ちよくなるほど大胆に彫っていたのに、その手には彫刻刀がないのです。
果たして彫刻刀はどこに行ったのだろう・・・と見回してみると、それは見事に松尾君の前に座る後藤君の背中に突き刺さっていました。
プラーンと背中に彫刻刀が、三角刀が突き刺さっていたのです。
たぶん、あまりにダイナミックに彫りすぎたが故に、手が滑ってしまった松尾君。
そのまま彫刻刀と彼の右手は宙を舞い前に座っていた後藤君にズブリと。
うわっ・・・。
と思い、突き刺した犯人である松尾君の顔を見ましたが、恐怖からか何からか知りませんがポカーンとした表情でした。
故意ではないとは言え、人を突き刺した犯人の他人行儀な表情にビックリ。
でも、それ以上にビックリさせてくれたのは後藤君。
いやね、彼は担任に言われたとおりに真剣に彫っていたわけではないですか。
ジリジリと真剣に真剣に棒高跳びの絵を彫っていたわけです。
そこにズブリと彫刻等が。
普通なら、ギャアーーという断末…

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