同期の桜
2017/12/21
会社の同期の女との話だ。
彼女におっさん連中が酒の席で、
「○○ちゃん、渡辺典子に似てるね?。ぐひひ?。」
とか言ってたから、ここでは彼女の仮名を典子ってしておく。
・・・渡辺典子、誰どすえ?
調べてみたら、まあ似てた。
典子、何と言うか姉御肌な奴で、
同期入社で同い年のくせに何かと口うるさい。
仕事できるし、少々ムカツク時もあるけど、
こっちが折れて上手くおだてて頼れば、
結構いろいろとやってくれるので、活用して重宝している。
さて、とある金曜、仕事終わった後、転勤者の送別会で会社の連中と飲みに。
別派閥の奴だったから深入りしてはマズイと思い、適当なところで帰ろうとしたが、
「次、行こうか」と典子に捕まり、強制連行された。
こんな感じで典子とは何度か付き合わされ、二人で飲んだことがある。
大体は俺は彼女の愚痴聞き要員。今回もそう。
典子、酒は底無しなんだな。
アパートには俺の帰りをPS2が待っていたのだが、
二人で飲みに行くと、普段は威張ってる典子が、
「?はどう思う?」なんて俺に聞いてくる。
仕事ではそんなこと言われたことないのだが。
まあ、会社で上司に、
「お前は釣りバカのハマちゃんだな、ただし釣りのできないハマちゃんだ。」
と言われた事のある俺。
そんな取り柄のないダメ社員の俺。
そんな俺に飲みのときは甘えてくる典子。
何とも気色悪い、もとい、悪い気はしない。
飲んだ。
その日の典子はいつにもましてかなりハイペースだった。
俺は初期段階で烏龍ティーに切り替え。
しかし会話は普段と同じ内容にて、別段変わった話なし。
そしてこれまた珍しく典子はべろんべろんに酔っ払ってしまった。
帰り、何とも七面倒なことに典子を送っていくことになった。
典子のやつ、しまいには酔いに任せてか、
「酔った。帰るの面倒。あんたんち泊めてけ。」
と、のたまう。
俺もへらへら最初は適当にあしらっていたのだが、結構しつこい。
はしたないオナゴだ。分かった分かった。しゃーない。
「何なら私のこと襲ってもいいぞ?。」
俺の頬にぐりぐり人差し指を押し付けながら(*´∀`)σ)A`)からまれた。
女のくせに何ともタチの悪い酔っ払いだが、
ジョークにはジョークで返すのが礼儀と思い、
「よ?し、朝まで寝かさないぞ?。ふはふは。」
と言っておいた。これで満足か。
さて、ふらふらの彼女の腰を支えながら、アパートまで連れ帰った。
途中、コンビニでビールを買い込んだ。
もうちょっと飲みたいんだとさ。これだけふらふらなのにか?
部屋でビールをぐいっと。ほとんどの缶を典子が空けた。
ぐでんぐでんに酔う典子。仕方なく布団を敷いてやる俺。
布団に寝そべった典子は苦しいのか、「む?ん。」とか言って、
自らスカートのホックを外しチャックをおろす。
ブラウスのボタンも胸の際どいところまで開いてやがる。
鬱陶しいのでタオルケットかぶせてやった。寝冷えすんなよ。
俺も部屋の端っこで丸まって寝た。
酒が入ったからよう眠れるわい。
グッナイベイベーzzzzz
朝。
その日は土曜日、会社は休み。
・・・のはずが、かなり早い時間に体に何か触ったような気がして目が覚めた。
む?ん・・・寝ぼけマナコで見上げると、
爆発コントような髪型の女が足でつんつんと俺の体をつついている。
あ、そう言えば典子泊めたんだった。
泥酔女を泊めてあげた恩人を足蹴にするとは失礼だな、キミィ。
「よう、典子。すげー頭してんな。うっひゃひゃひゃ。」
上半身を起こし、いつものノリでそうからかったら、
何故か背中に思いっきりサッカーボールキックくらった。
う?ん・・・。
「帰る。」
「あっそ。駅まで送ってくか?え?いい。そう、じゃあね。」
やっと布団が空いた。
俺はさっきまで典子の寝てた布団にもぐり込み再び睡眠態勢。
・・・と、思ったらまた、ぼふっと蹴られた。
「・・・女心知らないんだから。」
そんなような事を言い残し、典子は帰っていった。
一眠りして、楽しみにしてたゲーム。脇田君が貸してくれた真・三国無双3+猛将伝。
月曜日。
職場でいつものノリで典子に接する。
が、反応悪ぅう。
何か素っ気ないし、挙句の果てにシカトされる。
感じ悪ぅう。
「何だよ、つまんねーな。生理中かよ?」
と言ったら、つま先でカツンと弁慶の泣きスポットを蹴られた。
「痛えじゃねえか、この野郎。ばーかばーか。ウンコ漏らせ!」
と、心の中で叫んだ。
うむ。どうやら女心というのを学ぶ必要がありそうだ。
仲のいい女の先輩つかまえて聞いてみた。
「女心とは何ぞや?」
「知るか。仕事しろ!」
そりゃ俺だって大人の男さ、包茎だけど。
女心くらい分からない事はないけど、まさか、な。
むう・・・。
「ヘイ!典子ンドーム!今週の土曜の夜、暇かい?飲みに行かない?」
誘ってみた。
典子は冷めた目で俺を見る。しばし無言。
「場所は、こないだと同じとこでいいだろん?」
典子は何も応えず、しばらく俺を射るように見つめていたが、ボソッと、
「つきあったげる。」
とだけ口を尖がらせて言い、さーっとどっか行ってしまった。
その後、仕事が暇だったので、書類の切れ端に、
『○月×日(sat.)△△駅改札付近で待つ。目印は胸に赤い薔薇。Mr.Xより』
と書いて、丸めて典子の席に放ったら、大きなため息をついていた。
土曜日。
3分遅れて待ち合わせ場所に典子はやってきた。
「待った?」→「いや、今きたところ。」
なんてカップルなやり取りは当然ない。
飲む。
店をかえて飲む。
更に店をかえて飲む。
典子、顔色一つ変わらず。
恐るべし酒豪女。酒豪女恐るべし。
でもまァ、何だかんだで典子とは話題が尽きない。
サッカーの話、格闘技の話、永田町の噂、国際情勢、などなど。
そして極めつけは典子の毒舌炸裂、職場のオッサン上役批判。
ぶふふふ、俺は実は隠れ部長派なので、いずれ密告しとこう。
言いたい事も言えないこんな世の中じゃポイズン。
しかしまァ何ですねェ、典子に釣られて飲みすぎちゃいましたぜ。
典子酔わせるつもりが、俺のがグロッキー直前。
ミカン取りがミカンになってしまった。
まァ、典子を先に潰そうなんてもともと無理な話だが。
でもこないだはべろんべろんになったのになあ。
「典子タン、ボク酔っ払って一人で帰れないナリ。アパートまで送ってって。」
そんな我ながらキモイ俺にも典子は表情を変えず、
俺の体を支えるように寄り添ってきて、
「いいよ。私も酔ったから、ちょっと休ませてもらおうかな。」
酔っ払い二人、家路につく。
肩を組みながら、『おーれーとおまーえわー同期の桜ー♪』
とか歌ったりはしなかった。
実際のところ妙にお互い意識して気まずくなってしまい、二人ともほぼ無言。
帰宅。
この日の為に買っておいたビールを冷蔵庫から出して典子に献上。
またしても缶のほとんど典子が空けた。
あんまり飲まなかった前回とは違い、
今回の俺は飲みすぎて上体がふらふらしていた。
逆に今回の典子は平然。
「かはー。」
缶ビールを飲み干した典子はオヤジみたいに息を吐き、
「何か酔えそうで、酔えないわ。」
そしてそう呟いた。
「・・・相手が俺じゃつまんないってか?」
典子ははっとした表情でこっちを見て、
「違う違う。ん?。何て言うか・・・その・・・。」
「女心ってやつか?」
俺がそう言うと典子はしばらく無言になり、
そして俺が飲みかけの缶を奪い、一気に飲み干し、
その場にぐでーんと横になった。
目をつぶって横たわる典子を見て思った。
何だよ、普段と違う化粧してきやがって。気持ち悪い奴だな。
さっきまでのいい匂いも酒で台無しだぞ。
女豪傑のくせに色気づきやがって。
・・・でも結構かわいいんだよな。
ふと俺の目が前々から気になっていた典子の胸にいく。
細身なのにおっぱいはボリュームありそうなんだよね。
もちろん別にそれに欲情したとか言うんではなく、
興味本位で触ってみたいとは思ってた。
俺も酒で頭がぼやーんとしてせいもあり、
寝ている典子のボインにたーっち。
・・・おう。
寝そべったままの典子、ふっと目だけ開いた。
あ、ヤベ、殴られる。
俺はすぐ手を引っ込めて、防御の体勢をとった。
「いいよ。」
「ん、何が?」
「いいよ・・・好きにして。」
何だよ、ここで殴ってくるのが典子のキャラだろが。
それが俺とお前のコミュニケーションだろうが。
俺はMなんだぞ。
それを、好きにしてって・・・お前。
「じゃあ、お言葉に甘えて、好きにさせてもらう。
言っとくけど俺、かなりアブノーマルだから。」
「えっ・・・!」
唖然とする典子を尻目に俺はラックから小物入れ出し、
「え?っと、浣腸は、と・・・。」
とゴソゴソと探す。
「ちょ、ちょーっと待ったー。」
典子は狼狽した様子で俺の服を引っ張った。
「・・・出来れば、そういうのは勘弁。」
「けけけ。本気にすんなよ。冗談だよ。」
カッと典子の表情が変わるや否や、ドガッ!と彼女の蹴りが横っ腹にヒット!
痛恨の一撃。
「ふざけるのもいい加減にしなさいよ!・・・帰る!」
典子は立ち上がりドアの方へ歩き出す。
「待てよ、典子!俺に言いたい事があるなら、ハッキリ言ったらどうだ?
こないだからお前らしくもない。」
どーん!・・・決まった!俺、かっこいい。
キッと典子が涙目で俺を睨む。あ、もう一発蹴られそうな予感。
が、急に典子はしょんぼりとして、
「・・・ゴメン。」
予感は外れた。
「いやいや、こちらこそゴメン。」
よく分からんが、謝られて恐縮し、謝り返してしまった。
すると典子、しばらく考え込…