深夜の公園

2018/07/28

小さい頃からまどかには被レイプ願望があった。
小学生のころに、男の子たちが読んでいた大人向けの雑誌。
雨にぬれ、ぼろぼろになった雑誌は糊が取れてバラバラになっていた。男の子たちはグラビアとか漫画とかそんなのに夢中。
彼女はというと、そんな男子を窘めながら、実は自分もこっそり拾い集めた小説のページに心を奪われていた。
ほんの2ページの短編小説だけどとても刺激的だった。
女の人が夜の公園で複数の人に無理やり犯されながらも感じてしまうというストーリー。
当時男女がそういうことをするということもまだ判らない頃だったが、ものすごくドキドキしたのを覚えている。
それから初めての一人エッチをするまでそんなに時間はかからなかった。もちろん男の人にむりやり奪われるシチュエーション。
それ以降も、ごみ屑のように犯され捨てられるところを想像することが多かった。
公園の隅のホームレスたちに輪姦されたり、公衆トイレで滅茶苦茶に犯されたり。
そんなことを思い出しながら、深夜の郊外の公園を酔っぱらって歩いていた。
前後不覚、あたまもボワーンとして、目を細めないと視界も定まらない。
そんな状態でフラフラと。
高校時代から5年付き合い、結婚も約束した彼に振られヤケ酒。気が付いたらこの公園にいた。
別にもう何がどうなってもいい。
公園内は案外明るくて、想像していたようなドキドキは感じられなかった。
「なぁんだ」
思わずつぶやいて、手近にあったベンチに腰を下ろす。
シルエットしか見えない奥の林を風が鳴らす。その中に煌々と光を放つ小さな建物があった。公衆トイレ。
近づいてみると最近改装されたのかまだ新しい。
ブルブルっと体が震える。オシッコ・・・。
丁度良かった。とトイレにふらふらと歩いていく。
ふと男子トイレのマークが目に入る。目の奥がジンジンしてくる。
「さすがに…誰もいないよね」
入り口のまえできょろきょろとあたりを伺う。誰もいないのを確認するとそーっと中を覗いてみる。
こんな時間に人が居るわけないのだが、それを確認すると大胆にずかずかと中に入っていく。
右手の壁に並ぶ見慣れない小便器を眺めながら、反対側の壁に並んだ個室の一番奥に入る。
扉を閉め、ストッキングとパンツを乱暴にスカートの中から引き下ろし中腰になる。
ほどなく下半身が温かい感覚に包まれる。
「ふぅ…」と息をつくと同時にチョロチョロというおとがシーンとしていた公衆トイレの中に響く。
あたし、男子トイレでオシッコしちゃってる…。新しいながらも若干に追ってくるかすかな小便臭。本能で感じる女子トイレとは違う臭いにお腹の下がキュンキュンなる。
用を足し終え立ち上がると、急激に立ちくらみが襲ってくる。急に立ち上がったのと、興奮で心臓がどきどきしたのとでお酒が回った。ぐるぐると世界が回り始める。
ヤバい…。
カギを開けるのももどかしい。扉を開けなんとか外ん出ようとするが急激に気持ち悪さが意を駆け上がってくる。
顔を突き出し大きくエヅいて、もう一度個室に戻り、便器に向かってしゃがみ込む。
「うぇえっ」と声を上げる。
何も出てこない。唾液が糸を引いて落ちる。吐きやすいように腰を上げ一度腰を上げる。直立した状態で上半身を倒し、水洗タンクに手をつく。うぇ…と声を上げる。
今度は胃から逆流して、ほとんど液体だけの吐瀉物が便器の中に放出された。パシャパシャと音を立てる。
ほとんど酒しか飲んでいないのだ。吐き出されるのは混じり物のないほぼ酒。濃いアルコール臭に包まれ、余計に嘔吐感がこみあげる。
涙があふれて頬を伝う。
「うぅえぇぇえぇ」
誰の来ないだろうと油断し扉を閉めていなかった。気持ち悪くてそれどころじゃなかったんだが―
タイトスカートから伸びる黒ストッキングをまとった足をくねらせながら、口から2回、3回とほぼ透明の液体を吐き出す。
その一種の性癖の方には官能的な姿を披露してしまっていた。
その姿を見ているひとりの男がいた。都内の一流企業に勤めながらも自分が公衆便所化してしまっている女の痴態を求めて近所の大きい公園を深夜徘徊する男。
女のみっともない姿を見るのが何よりのストレス解消だった。
彼は外の暗がりから彼女が男子トイレに入っていくところからの一部始終を見ていた。酔っぱらいとはいえ、この時間に公園の男子便所に入る女に、微塵も劣情がないわけがないんだ。
ここで何があっても和姦だ。舌なめずりする男。こんなシチュエーションに遭遇できるのは年に数回だ。心臓が跳ね心が躍る。
出てきたら後をつけて、暗がりで…そんなことを考えながら待つがなかなか出てこない。
意を決して気配を殺しそっと覗きに入ったらこのありさま。心の中で小躍りする。頭に血が上るのを感じる。
「おえぇ…」透明の液体がビチャビチャと吐き出される。こちらに突き出した尻はスカートがずり上がりストッキングのランガードまで見えている。
その足を苦しそうにすり合わせる様はなんともエロチックで、いきなり襲い掛かりたい気持ちにかられる。
彼ははやる心を押さえて彼女の後ろ姿に言葉のジャブを放つ。ここで逃げ出さなければ第一段階はオーケーだ。
ゴクリと唾を飲み込み可能な限り冷静な声を絞り出す。「大丈夫ですか?」
突然の声に飛び上がるほど驚くが、冷静を装う。
混濁している意識の中でも、さすがに男子便所でゲロを履いているところを目撃されては女として申し訳が立たない。
「だ、大丈夫です。」
「こっちの洋式のトイレのふた閉めたので腰を下ろしてはどうですか?」彼は優しく手を伸ばして私の手を取り、もう片方の手でハンカチを渡し顔を拭くように促した。
落ち着いた物腰と、線の細い男の姿に完全に油断する。促されるままに広めの多目的トイレに入る。
洋式便器に腰を下ろす。確かにこれは楽だ…と考えていると、彼も個室に入り後ろ手に扉を閉める。
「あの…」
さすがにこの状態はまずい。ふらつきながら立ち上がる。
「すみません。もう大丈夫ですから、出してくだ…」と彼を見上げる。
「何をしてた?」
何をって…気分が悪くなったからトイレで吐いていただけなのだが、なぜ男子便所で、という問いだということに気付き言葉が出ない。
「おい。変態女」
ガンと頭を殴られたかのような衝撃が全身を走る。頭に血が上り、逆に全身の体温が下がったように感じ、ゾクリとした感覚が背中を駆け上がった。
思わず腰をくねらせ太ももをこすり合わせる。
「ちが…」
その微妙な表情の変化を男は見逃さなかった。
「変態ちゃん?男便所に入っていくところからずっと見てたよ」
恥ずかしくて直視できない。怖い…。
足が震えて動くことができない。しかし体は全く反対の反応を示す。この追いつめられた感じに興奮が高まり乳首は痛いほど固くなり、蜜壷は宿主が望まない侵入者のための潤滑油を絶え間なく送り出し始め、太ももまで濡らしていた。
一歩前に出てしゃがみ込む男。
「おい。変態じゃないってんなら、ちょっと見せてみろよ。」
瞳孔が開き世界がフラッシュしたように感じた。命令される感じに脳が痺れまともな思考ができない。
暫しの躊躇いのあと、ゆっくりとスカートの裾を上げる。
「お前、こりゃ…」とさすがの男も言葉に詰まる。
まどかの果汁はストッキングの粗い生地を伝い、本人が想像していた以上に刺激的な風景を展開していた。
男は吸い込まれるようにスカートの裾をさらに大きくめくり上げ、その濡れたクロッチの部分をゆっくりと指でなぞる。
しゃがみ込み太ももを撫でまわす男を見下ろす。広い多機能トイレだけど出口までは3mくらい。
夢中になっている今なら逃げられるかもしれない。
男が太ももに顔をうずめようとしたとき、弾かれたようにその男を突き倒し扉に飛びつく。
横にスライドさせるだけのカギだがなかなか開けられない。
「っ痛」
と男が立ち上がる気配と同時にカギが開いた。ドアをスライドさせ外に転がり出る。
追ってくる男の視界に入らないように角を曲がり、桜林を抜け、背の高い植え込みの横を通り抜けた。
はぁはぁと息をつきながら、後ろに全神経を集中する。ひとの気配がないことを確認してほっと息をつく。
ちょっと余裕が出てくると周りを確認し始める。あまりこの公園には詳しくないので自分がどこにいるかわからない。
さっきいた場所より一層暗い。足元は舗装されていない。長く林の中を通る遊歩道。
この遊歩道から離れたところには街灯がところどころについている。その下には遊具が見えている。アスレチックだろうか。
今は当然静まり返っている。
ゆっくりと真っ暗な遊歩道を進み、ちょっと先に見えている立て看板に地図を期待して近づく。
看板の中に園内図を見つけてそれを見ようとしたとき、後ろから大きな手で口を覆われる。
耳元で聞き覚えのある声「酷いじゃないか。」男は開いた腕で体を抱きしめると引きずるようにまどかを遊歩道から雑木林引き込む。
足をばたつかせて抵抗するもどんどん雑木林の奥へ連れていかれる。この力の差に抵抗する気力がそがれていく。
ヤられちゃうのかなぁ…。と他人事のように考えてしまう。
雑木林からも、アスレチックのエリアからも離れ風が木々を鳴らす音しか聞こえない真っ暗な場所に放り投げられる。
「きゃっ」と思わず声が出る。
すぐに男がのしかかってきた。
「やめてください…」
男の体をどけようと両腕で必死に抵抗する。
「やめて…」
恐怖に見開かれるまどかの眼。これがさらに男の劣情をかき乱した。

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