やっと出来た彼女が目の前で

2018/05/20

僕は、20歳の大学生だ。
170cmで57kgという、女の子よりも貧弱な身体をしている。
昔から、いくら食べても太れなくて、こんな感じのまま大学生になった。
性格も内向的で、彼女も一度も出来たことがない。
このまま、一生童貞のまま終わるのかな? と思っていたとき、奇跡的に彼女が出来た。
彼女の真央は、同じ大学の1年後輩で、偶然バイトが同じだった。
真央は、美人という感じでも、可愛いという感じでもなく、普通のルックスだ。
でも、笑顔が凄く可愛くて、リスみたいだ。
愛嬌もあるし、僕にはもったいないくらいの彼女だと持っている。
真央も内向的な女の子で、読書とか映画が好きだ。
本屋さんに行ったり、映画に行ったりしてデートしている。
始めて映画に誘ったとき、手も声も震えた。
でも、真央も同じくらい震えていた。
そして、3回目のデートの時、勇気を持って手を繋いだ。
『あっくん、私たち、付き合ってるって思っていいの……かな?』
手を繋ぎながら公園を歩き、顔を耳まで赤くしながら真央が言った。
僕は、自分の身に起きた奇跡が信じられなかった。
そして始まった、彼女のいる毎日。
何もかもが新鮮で、幸せな日々だった。
僕はデートをするたびに、キスしたい……そう思ったが、どうしても勇気が持てなかった。
『あっくん、私なんかと付き合ってくれて、本当にありがとう……好きです……』
こんな事を言ってくれる真央に、いつも泣きそうになる。
いつまでもいつまでも、大切にしたいと思っていた。
そして3ヶ月ほど経ち、真央の家に行くことになった。
一緒に映画を見るという流れだったのだけど、僕は死ぬほど緊張していたし、もしかして……キスできるかも……そんな風に思っていた。
それ以上もあるかも! と、心が弾むのを抑えきれないくらいだった。
一緒に学校を出て、手を繋ぎながら歩く。
いつもと同じだが、今日は上手く話が出来ない。
それは真央も同じみたいで、妙に無口なまま家まで歩いた。
真央の家は3階建てのマンションだ。
マンションと言っても、結構古く、賃貸仕様なのでアパートに毛が生えたみたいなモノかもしれない。
オートロックもないので、そのまま2階の真央の部屋に入った。
初めて入った女の子の部屋は、良い匂いがした。
カーテンとかベッドのシーツとかも可愛らしくて、それだけで正直勃起してしまった……。
『い、今、紅茶でも入れるね』
ガチガチに緊張した真央の声。
「あ、ありがとう、良い部屋だね」
僕も、それ以上に緊張した声で言う。
『あ、ごめん! 紅茶切れてた! 買ってくる!』
慌てて言う真央。
「いや、いいよ、水でいいしw」
こんな風に言ったけど、
『ダメだよ、クッキー作ったから、紅茶がないと……待ってて、すぐそこにコンビニあるから!』
そう言って、部屋を出る真央。
クッキーを作ってくれた事に感激しながら、キョロキョロしてしまう僕。
さっきから、ドキドキしっぱなしだ。
しばらくドキドキしながら待っていると、ガチャガチャッとドアのカギが開いた。
僕は、玄関まで出迎えに行くと、真央が入ってきた。
と同時に、男が押し入ってきた。
30~40歳くらいの男は、黙って真央を押しながら部屋に入ってくると、僕を見て驚いた顔になった。
でも、僕はそれ以上に驚いていた。
小さく悲鳴を上げる真央。
「声出したら、殺すぞ!」
男が野太い声でそう言うと、僕は震え上がってしまった。
ケンカなんかも一度もしたことがなく、親も含めて誰にも殴られたことがない僕は、パニックで震えてしまった。
それは真央も同じみたいで、真っ青な顔で震えている。
すると、いきなり殴られた。
頬に、ガンッと強いショックを受けて、一瞬何が起きたのかすら理解できなかった。
しばらくして、痛みが襲ってくる。
そして、目頭も熱くなる。
恐怖で何も言えない僕……男はドアのカギをかけ、キーチェーンもした後、僕を部屋に連れて行き、椅子に座らせると後ろ手に縛りあげた。
それだけではなく、ガムテープを取り出すと、僕の口を何重にもグルグル巻きにしてしゃべれない状態にした。
一瞬、窒息の恐怖でパニックになったが、鼻は覆われていなかったので、呼吸が出来た。
こんな風に、ドラマや映画みたいに縛られることがあるなんて、想像もしたことがない。
僕は、ただただ怖くて夢なら覚めてくれと願い続けた。
「ねぇ、なんて名前なの?」
男が真央に聞く。
真央はビックリした顔で、なんと言ったらいいのか、わからないようだった。
すると、いきなり鼻に衝撃を受けた。
鼻の奥の方で、何かがスパークしたみたいな感じで、涙があふれる。
やっと僕は殴られたことに気がついた。
「名前は?」
人を殴ったのに、驚くほど冷静な声で言う男。
僕は、初めて死の恐怖を感じた。
『真央です……ゴメンなさい、もう叩かないで下さい……』
泣き声で言う真央。
僕と同じで、本当に、心底恐怖を感じているのだと思う。
「真央ちゃんか、なんか、クルクル回りそうな名前だなw」
男は、ニヤニヤしながら言う。
最初意味がわからなかったが、フィギュアスケートだと気がついた。
この状況でふざけたことを言うなんて、信じられない。
「よし、服脱げよ」
男が、恐れていたことを言う。
すると、すぐに真央がボタンを外し始めた。
震える手で、ブラウスのボタンに指をかけるが、震えすぎて外せない。
僕は、無駄だとわかっていながらも、”やめてくれ!”と、叫び続けた。
ガムテープで、声にもならないが、必死で男に向かって言った。
真央だけは許して欲しい……僕は殴られても、お金を取られても良いから、真央だけは……そんな事を言いたいのに、一言もしゃべれない。
「ほら、早くしろよ」
男は、また僕を殴った。
鼻がズキズキと痛くて、涙も止まらないし、鼻水? 鼻血? よくわからないが、出続けている感じだ。
僕が殴られるたびに、小さな悲鳴を上げる真央。
真央の恐怖を思うと、本当に可愛そうになってくる。
僕は、何とかして逃れないと……真央を助けないと……そんな思いでいっぱいだ。
『ごめんなさいぃっ! す、すぐ脱ぎます! お願い、ぶたないでぇ!』
真央が泣きながら言う。
僕は、突然超能力に目覚めて真央を助けられないかとか、偶然誰か訪ねてこないかとか、そんな事を必死で考えていた。
男は、ただニヤニヤしながら見ている。
本当に怖い。
殺される……もう、夢なら覚めて欲しい……。
真央は、必死でボタンを外そうとする。
多分、モタモタすると僕が殴られてしまうからだと思う。
すると、男がいきなり真央のブラウスを引き裂いた。
ブチブチブチッ! と、ボタンがはじけ飛び、真央のブラが見えた。
想像以上に谷間が大きいのが見えたが、見ちゃいけないと思い、目をそらした。
『イヤァッ!』
真央の叫び声と同時に、また鼻に強烈な痛みが走った。
「ほら、真央ちゃんが声出すからw 鼻、かんでやれ。窒息するぞw」
男が指示すると、真央が僕の鼻をティッシュでぬぐってくれる。
血で染まるティッシュを見て、僕は倒れそうだった。
でも、真央が僕の目を見つめる。
恐怖で青ざめているが、僕を励ますような目をしていた。
すると、男がいきなり真央の胸を後ろから揉み始めた。
僕は、とても見ていられなかった。
僕の大切な恋人が、見たこともない男に胸を揉まれるなんて、受け入れられるはずもなく、固く目を閉じた。
目を閉じても、状況は何も変わらないとわかっていても、目を閉じ続けた。
「へぇ、デカいね。何カップ?」
男が、真央に聞く。
『ディ、Dカップです……』
真央が、僕の鼻血を拭きながら答える。
声が震えていて、痛々しくて聞いていられない。
「へぇ、彼氏に揉まれてデカくなったの?」
男がそんな事を聞く。
僕は、当然揉んだことなどない。
『ち、違います……』
真央が小さな声で答える。
「なんで? 彼氏に揉んでもらってるんだろ? あ、もともとデカかったって事かw」
男は、下品な言い方で聞いてくる。
本当に、底辺中の底辺の男だと思う。
憎いし、殺してやりたいとさえ思うが、身動き一つ出来ない僕……。
『……揉んでもらったこと……ないです……』
さっきより小さな声で言う真央。
「ハァ? なんで?」
男が不思議そうに、そしてイラッとした感じで聞く。
『ごめんなさい! ま、まだ付き合い始めたばかりだから……です』
真央は、男の口調に怯えながら言う。
「なに、まだやってないの?」
男は馬鹿にしたような口調で聞く。
『な、なにをですか?』
真央が聞き返すと、いきなり男が僕を蹴った。
僕は鈍い痛みに、思わず目を開けて、また恐怖を覚えた。
きっと、男にしてみれば、軽く殴ったり蹴ったりしているだけだと思う。
でも、生まれて初めて味わう暴力の恐怖は、僕の心を完全に支配していた。
『ごめんなさい、ごめんなさい! もう、許して下さい……』
真央は、パニックで謝り続ける。
「まだセックスしてねーの? そいつとw」
男は、楽しそうに言う。
『はい、してないです』
真央は、すぐに素直に答える。
「なんで?」
『そ、それは』
真央は、言葉に詰まる。
すると、男が僕を殴ろうとする。
思わず目をつぶってしまう僕。
本当に、怖くて仕方ない。
『結婚するまではダメだからです!』
真央は、叫ぶように言った。
「マジw 処女なの?」
男は、本当に下品な顔で笑いながら言う。
「キスは? それくらいあんだろ?」
そして、続けてそんな事も聞く。
『な、ないです、まだ一回もないです!』
真央が必死で言う。
すると、男がいきなり真央にキスをした。
僕は、信じられなかった。
夢であって欲しい、こんなのは間違いだ! もう、絶望で倒れそうだ。

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